カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第216話 刺身より大切なもの

これは、今から6年前のことである。 世の中が、新型コロナウイルスという得体の知れぬものに覆われ、人々が外へ出ることさえためらっていた頃の話である。 もっとも、吾輩はカメである。 人間世界の騒ぎなど、本来ならば知らぬ顔をしていればよい。 ところ…

第215話 幻のデザート

今回のお話は、カメ子が毎日のように目にしている、主人の「ある習慣」から生まれました。 人間にとっては何でもない日常のひとこまですが、 カメ子には、どうやら、 とてもおいしそうな「白いもの」に見えていたようです。 でも、匂いは少し苦手。 それでも…

第214話 今日のお礼は、ひと踊り

人間は、感謝の気持ちを言葉で伝えるものだという。 しかし、言葉を持たぬ者は、いったい何をもって、その思いを伝えたらいいのであろうか? 吾輩は、時折、そんなことを考えている。 あれは、六年ほど前の、ある冬の夕暮れのことである。 その日の夕食には…

第213話 主人が急に逃げ出した

この話は、今から6年前のことである。 ある日のこと、主人と奥さんが何やら深刻そうな顔で話をしていた。 吾輩は、水槽の中で甲羅干しをしながら、その話にそっと耳を傾けた。 「どうやら世間では大変なことが起きているらしい。」 主人によれば、お隣の国…

第212話 主人の机の上から聞こえる謎の音

この話は、今から6年前のことである。 ある日の午後、吾輩は水槽の岩の上で、のんびりと甲羅干しをしながらうたた寝をしていた。 すると、どこからともなく、不思議な音が聞こえてきた。 いや、音というよりも音色と呼ぶべきであろうか。 人間たちは、これ…

第211話 主人と奥さんとのマイペースな亀たちの日常。のんびり癒やされる『マンガ版:カメのひとりごと』を初公開!

皆さん、こんにちは! 今回は、新たに完成した『マンガ版:カメのひとりごと』をご紹介します。 本作の主役は、我が家の愛すべき2匹のニホンイシガメたち。 14歳の「カメ子」(女の子みたいな名前ですが、立派なオスです!)と、9歳の「カメ輔」です。 それ…

第210話 出生の秘密

この話は、今から8年前のことである。 ある日の午後、吾輩は岩の上で甲羅干しをしながら、うとうとしていた。すると、どこからともなく主人と奥さんの話し声が聞こえてきた。 どうやら、その話題は吾輩に関することらしい。 特にすることもなかった吾輩は、…

第209話 新天地

この話は、今から七年前、冬の名残がまだ残っている頃のことである。カメ輔の身に、見過ごすことのできぬ異変が生じていた。 主人が水替えをしていた折、ふと気付いたらしい。「カメ輔の足の付け根に白いものがある。これは、いったい何だろう」その問いに対…

第208話 失われていくもの

この出来事は、今から七年前の冬のことである。当時、吾輩カメ子は八才、そして、カメ輔は、まだ生まれて間もない幼き命であった。今となっては遠き日の記憶ではあるが、あの朝の寒さだけは、いまだに甲羅の奥に残っている。 前夜、主人と奥さんが居間で語り…

第207話 別腹

これは、今から七年ほど前の話である。当時の吾輩は七つ、カメ輔はまだ二つで、市販の餌以外を、ほとんど口にしたことがなかった。 一般に、亀は十一月頃になると寒さのため食が細くなると言われている。物知り顔の人間に言わせれば、「亀は変温動物で、気温…

第206話 絆 ― 甲羅の奥で交わした約束

吾輩はカメである。名はカメ子。 これから語るのは、ただの思い出話ではない。 甲羅の奥底に静かに刻まれた、吾輩とこの家族との「絆」の物語である。 これは五年ほど前の出来事であった。 当時、吾輩は今より少しばかり気難しく、そして何より疑い深い性格…

第205話 昔はよかったー吾輩、夢の中にて“黄金の日々”を思う

吾輩はカメである。名をカメ子という。この小さな水槽が吾輩の終の棲家であろうと、ふと考えると胸の奥に微かな翳りがさす。しかし、そこは生き物の知恵。限られた世界の中に、吾輩なりの楽しみを見つけてひそやかに暮らしている。 その最大の悦楽といえば、…

第204話 カメ子の運動会

あれは、たしか2015年の10月頃のことであったか?主人が、近所の小学校の運動会なるものへ、吾輩を初めて連れて行ってくれた日の出来事である。 その日、吾輩は小さな水槽の中に閉じ込められ、まるで箱舟に乗せられた異国の旅人のような心持ちでいた。水槽は…

第203話 初めてのお墓参り

人間社会には、どうやら「墓参り」という風習があるらしい。お彼岸だとかお盆だとか、定められた時節に、子孫たちが墓所に集い、先祖を偲び、花を供え、線香を手向けるという。まことに美風である。主人と奥方も、そうした伝統を欠かさぬ人で、月に二度は必…

第202話 絆、入口と奥、そして互いの評(ひょう)

* カメ子とカメ輔とカメ吉です。 吾輩はカメである。名はカメ子。齢は十四を越えたが、甲羅の重みは歳の数を語るより、水に映る月の揺らぎに似つかわしいものを知っているように思う。さて、本日は少し長くなるが、我が家のこと、人のこと、そしてカメのこ…

カメの結婚観 〜独りを選んだ理由、語ってみようか〜

吾輩はカメである。名はカメ子。年齢は推定13歳だが、カメ年齢でいえば、もう少し大人びているかもしれぬ。 最近、主人が妙なことを言い出した。 「なあ、カメ子。結婚って、なんだと思う?」 不意を突かれて、吾輩は首をかしげた。そもそも、吾輩は独りで…

第200話 おままごとという幻影

吾輩はカメである。名前はカメ子。今宵は一篇、吾輩の心に刻まれた小さな出来事を語ってみたいと思う。 それは、奥さんの実家に居候していたある春の午後の出来事である。主人とともに家の前の道路を散歩していた時だった。ふと視線を感じて顔を上げると、隣…

第199話 花見と鳩とテレパシー 

春というものは、妙に人の心を浮き立たせる。桜が咲いたとなれば、老いも若きも弁当を抱え、公園へ繰り出すのがこの国の慣わしである。 さて、吾輩―否、私はカメ子という名の亀である。名前からして女性のようだが、れっきとした雄である。名前の由来は聞か…

第198話 働かざる者、食うべからず

あれは確か、西暦2015年の春のことであったか? 吾輩の住まいの隣に、新築の家が建ち、そこへ新たな家族が引っ越してきた。 ある日の午後、その一家が挨拶に訪れた折、吾輩は主人と共に自宅の庭先で散歩をしていた。ちょうど、そのとき、5歳になるという娘…

第197話 心の眼鏡

※左側の女性は、ユッカ、右側の男性は、カメ輔です。 吾輩はカメである。名前はカメ子。 最近、吾輩の主人は、またしても、未来から来た子孫、カメ太に無理難題を押し付けていた。今度の代物は、なんと“心の眼鏡”なる不思議な道具である。 「カメ太よ、頼む…

第196話 AI革命

吾輩はカメである。名前はカメ子。せっかくの機会ゆえ、我が家の近況について一筆認める(したためる)としよう。 さて、吾輩の住まう家では、近頃夜がひどく明るい。否、それは単に照明の話ではない。奥さんが、夜な夜なパソコンに向かい、何やら熱心に作業…

第195話 一国一城の主

今回は、これまでブログに未公開だった、「カメのひとりごと」をご紹介したいと思います。 吾輩はカメである。名前はまだない。いや、正確にはあるのだが、世間一般のカメと一線を画すほどのものではないので、ここでは省かせていただく。 さて、本日は吾輩…

第194話 思いやり

さて、本日は「思いやり」について一筆したためたいと思う。 吾輩は、主人と奥さんの家で、恙無く(つつがなく)毎日を過ごしている。 だが、最近、主人が慢性副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎を患い、通院を余儀なくされているようである。 そんなある日の午後、…

第193話 諸行無常の響きあり

ある日の朝、主人と奥さんは、健康診断を受診するため病院へ出かけた。人間は、健康診断ができて良いなぁ~カメには、健康診断なんてものはない。しかも、無料で受診できるなんて羨ましいなぁ。 そして、その日の午後、2人は少々疲れた様子で、家に帰って来…

第192話 ごめん Part2 

ちょっとカッコ良くなりすぎたかなぁ? しばらくすると、吾輩の後方に何者かが近づいて来る気配を感じ、後ろを振り向いた。すると、黒い猫がこちらをじっとみつめていたのである。 吾輩にとっては、初対面の黒猫であるが、主人にとっては例の黒猫であったよ…

第191話 ごめんPart1

カメ子:行ってきます。と言うと、吾輩は玄関に向かって進んでいった。 そして、玄関のノブに触ると、奥さんから 奥さん:気をつけて、いってらっしゃい。鍵は首にかけて、この前のように落とさないでよ。鍵を交換したら、20万円かかるのよ!と言われた。 …

第190話 能ある亀は頭を隠すPart2

*さすが、大物カメ輔! 背中に何かが乗っても、少しも動じる様子はありません。 吾輩は、何か嫌な予感がしていた。 すると、今度は奥さんが、吾輩に対してとんでもないことを言ったのである。 奥さん:カメ子、あなたは、どうしていつもガタガタと音を立て…

第189話 能ある亀は頭を隠すPart1

ある日の午後、主人が吾輩のいる水槽に近づいて来た。 吾輩は、「きっと、いつもの巡回だろう」と思い、相手にしなかった。 しかし、主人は、いつもとは違い、水槽全体に被せている板の一部をはずし、その隙間から吾輩をじっと覗いていたのである。 いつもは…

第188話 夫源病

※ 久々にカメ輔君が登場! 最近、どうやら、奥さんの体調が悪い様子だ。 大丈夫かなぁ?奥さんが病気になって寝込んだら、我が家は崩壊してしまう。 吾輩は、とても心配なので、いつものように二人の会話を盗み聞きすることにした。 主人:おい、体調が悪そ…

第187話 女は〇〇〇〇〇男は〇〇〇〇〇〇Part2

主人が、吾輩に向かって言った。 主人:おい、カメ子。いつの間にか随分たくましくなったなぁ~ お前に噛まれた指が、まだ、痛くてたまらんよ。 ところで、お前にとても残念な知らせをしなければいけなくなった。 今日のお花見は、奥さんの都合で中止するこ…