カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第192話 ごめん Part2 

ちょっとカッコ良くなりすぎたかなぁ?

 

しばらくすると、吾輩の後方に何者かが近づいて来る気配を感じ、後ろを振り向いた。すると、黒い猫がこちらをじっとみつめていたのである。

吾輩にとっては、初対面の黒猫であるが、主人にとっては例の黒猫であったようだ。

主人の話によると、この黒猫は、公園の横にある資材置場に住みついている野良猫のうちの1匹で、この黒猫の他に、白黒の猫、シャム猫と黒猫とのハーフが数匹いるとのことである。

いつも、夕方の5時頃になると、そこに集まって来るようになり、近所の人が、この猫たちに餌を与えているようである。

その黒猫は、ニャ-ニャ-と泣きながら吾輩に体を摺り寄せてきたので、吾輩は、テレパシーを使って話しかけてみた。

カメ子:おい、猫ちゃん。(主人が命名すると、相変わらず単純な名前だなぁ)

カメ子:何か欲しい物があるのかい?

すると、黒猫が答えた。

黒猫:お腹が空いているので、何か食べ物をください。

おじさんは、とても優しそうだから何か食べ物をくれるかも?と思ったのさ。あれっ、おじさんは、テレパシーが使えるの?人間にこんなことをされたのは初めてだよ。

(主人は、本当に動物に好かれるみたいだ。いつだったか?奥さんが、友達と電話をしていたときに「あなたの旦那さんは、優しそうなので、モテルんじゃない?」と質問されていた。すると、奥さんは、「主人は、外面だけは良いから、そうかもね」と答えていたが、吾輩は、動物には、人間の内面を見通す力がある。だから、そんなことはないと思った)

そして、さらに吾輩は言った。

カメ子:気が利かなくてごめん。今度、来るときは、何か食べ物を持ってくるよ。これからは、テレパシーを使って情報交換をしよう。

黒猫:うん、そうだね。人間の気持ちや生活について、とても興味があるから楽しみだ。また、会おうね。

と言うと、こちらの方を見ている人(夕方、猫ちゃんたちに餌を与えている近所の人)の方へ向かって去って行った。

吾輩は、今回、主人と入れ替わったことで、主人のひととなりや行動範囲がわかっておもしろかった。

さぁ、そろそろ家に帰ろう。今頃主人は、狭くて臭い水槽の中で「なんで、ワシがカメ子にならなきゃいけないんだ」と怒り狂っていることだろう。

でも、吾輩は最近、夢の中で西暦30世紀の子孫に会った覚えもないし、入れ替わりシールを使いたいと思ったこともないのに、どうして主人と入れ替わってしまったのだろう?

しばらくして、来た道とは違う道を歩いていることに気がついた。ああ~ここは、いつも、主人が通っている道なのか?吾輩が道路を歩いていると、向こうから来る人が、みんな「こんにちは」と挨拶をしてくれる。すかさず、主人も頭を下げ「こんにちは」と挨拶をする。主人は、この辺で顔が広いのか?はたまた、人間社会ではあたりまえの作法なのか?人間社会っていうものが、さっぱりわからない。いろいろ考えながら歩いているうちに、我が家が見えてきた。そして、ついに玄関の前にたどり着いたのである。

吾輩は、とうとう覚悟を決めた。「主人に怒られても仕方がない。なるようになるさ」と覚悟を決め鍵を開けて「ただいま~」と言うと、すぐさま自分の水槽に向かって一目散に進んだ。そこには、吾輩と入替わってカメの姿になった主人がいた。そして、吾輩はテレパシ-を使い、開口一番にこう言ったのである。

カメ子:ごめんなさい。

すると、主人から思いもよらぬ言葉が返ってきたのである。

主人:何を言っているんだ?謝らなくてはいけないのは、こちらの方だ。「ごめん」お前の許可も得ず、勝手に、入れ替わりシールを使い、入替わってしまった。突然、人間になってしまい、さぞかしびっくりしただろう?

な~んだ。主人が入れ替わりシールを使ったのか?吾輩が悪いんじゃなかったんだ。吾輩は、いささか拍子抜けしたが、予想だにしていなかった話だったので、一瞬頭の中が混乱し、どう返答したらいいのかわからず戸惑った。

その時、最初の入れ替わりシールを使った時のことが頭の中に浮かんできた。あの時は、吾輩が、主人の了承なしに勝手に入れ替わりシールを使ってしまった。だとすると、今回ここで、主人を怒るのは、おかしいなぁ。

そして、こう返答した。

カメ子:そんなに気にしなくて良いよ。

すると、主人は、「ありがとう」と言うと、奥さんの方をちらちら見ながら、なぜだか急に小さな声で話し始めたのである。

主人:実は、最近、うちのやつ(奥さん)が「これしろ、あれしろ」と、家事を強要してきて、うるさいんだよ。

そして、挙句の果てには、「私が先に死んだらどうするの?困るのは貴方でしょ」と言うんだ。もう、ほとほと疲れたよ。そんな時、水槽の中で日向ぼっこをして、何の心配もなく、人生を楽しんでいる、お前を見たんだ。その時、ワシは、「私は貝になりたい」ではないが、「私はカメになりたい」と思った。そして、例の入れ替わりシールを思い出した。最後に1組残っていたシールをお前とワシに張り付けたんだ。お前の足の裏を見てみろ。シールが貼ってあるだろう。

そして、吾輩は、自分の足の裏を見ると入れ替わりシールが貼ってあった。すると、主人は「今日一晩寝て心をリフレッシュし、明日からまた、家事手伝を励むことにするよ」と言って、水槽の奥の方に去って行った。

御主人様、吾輩は、黒猫や犬たちと、もう一度会う約束をしました。これから、人間社会での挨拶や習慣等について、もう少し勉強したいと思いました。これからも入れ替わりシールを使って入れ替わりたいので、よろしくお願いします。

そして、奥さんの言うことを自分の為だと思い、家事手伝いに勤しんでください。吾輩とカメ輔も、なるべくご主人様に迷惑をかけないようにお利口さんにしていますから。

ここでひとまず本章は終了しますが、次回作も期待してくださいね!

 

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読者の皆様へ

今年1年間「カメのひとりごと」を読んで頂き、どうもありがとうございました。

来年は、更なる飛躍の年にしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。

皆様にとって、来年が良い年になることをお祈りしています。                             

  • ※1:第182話 未来からの訪問者(入れ替わりシールPart2)