カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

2025-01-01から1年間の記事一覧

第206話 絆 ― 甲羅の奥で交わした約束

吾輩はカメである。名はカメ子。 これから語るのは、ただの思い出話ではない。 甲羅の奥底に静かに刻まれた、吾輩とこの家族との「絆」の物語である。 これは五年ほど前の出来事であった。 当時、吾輩は今より少しばかり気難しく、そして何より疑い深い性格…

第205話 昔はよかったー吾輩、夢の中にて“黄金の日々”を思う

吾輩はカメである。名をカメ子という。この小さな水槽が吾輩の終の棲家であろうと、ふと考えると胸の奥に微かな翳りがさす。しかし、そこは生き物の知恵。限られた世界の中に、吾輩なりの楽しみを見つけてひそやかに暮らしている。 その最大の悦楽といえば、…

第204話 カメ子の運動会

あれは、たしか2015年の10月頃のことであったか?主人が、近所の小学校の運動会なるものへ、吾輩を初めて連れて行ってくれた日の出来事である。 その日、吾輩は小さな水槽の中に閉じ込められ、まるで箱舟に乗せられた異国の旅人のような心持ちでいた。水槽は…

第203話 初めてのお墓参り

人間社会には、どうやら「墓参り」という風習があるらしい。お彼岸だとかお盆だとか、定められた時節に、子孫たちが墓所に集い、先祖を偲び、花を供え、線香を手向けるという。まことに美風である。主人と奥方も、そうした伝統を欠かさぬ人で、月に二度は必…

第202話 絆、入口と奥、そして互いの評(ひょう)

* カメ子とカメ輔とカメ吉です。 吾輩はカメである。名はカメ子。齢は十四を越えたが、甲羅の重みは歳の数を語るより、水に映る月の揺らぎに似つかわしいものを知っているように思う。さて、本日は少し長くなるが、我が家のこと、人のこと、そしてカメのこ…

カメの結婚観 〜独りを選んだ理由、語ってみようか〜

吾輩はカメである。名はカメ子。年齢は推定13歳だが、カメ年齢でいえば、もう少し大人びているかもしれぬ。 最近、主人が妙なことを言い出した。 「なあ、カメ子。結婚って、なんだと思う?」 不意を突かれて、吾輩は首をかしげた。そもそも、吾輩は独りで…

第200話 おままごとという幻影

吾輩はカメである。名前はカメ子。今宵は一篇、吾輩の心に刻まれた小さな出来事を語ってみたいと思う。 それは、奥さんの実家に居候していたある春の午後の出来事である。主人とともに家の前の道路を散歩していた時だった。ふと視線を感じて顔を上げると、隣…

第199話 花見と鳩とテレパシー 

春というものは、妙に人の心を浮き立たせる。桜が咲いたとなれば、老いも若きも弁当を抱え、公園へ繰り出すのがこの国の慣わしである。 さて、吾輩―否、私はカメ子という名の亀である。名前からして女性のようだが、れっきとした雄である。名前の由来は聞か…

第198話 働かざる者、食うべからず

あれは確か、西暦2015年の春のことであったか? 吾輩の住まいの隣に、新築の家が建ち、そこへ新たな家族が引っ越してきた。 ある日の午後、その一家が挨拶に訪れた折、吾輩は主人と共に自宅の庭先で散歩をしていた。ちょうど、そのとき、5歳になるという娘…

第197話 心の眼鏡

※左側の女性は、ユッカ、右側の男性は、カメ輔です。 吾輩はカメである。名前はカメ子。 最近、吾輩の主人は、またしても、未来から来た子孫、カメ太に無理難題を押し付けていた。今度の代物は、なんと“心の眼鏡”なる不思議な道具である。 「カメ太よ、頼む…

第196話 AI革命

吾輩はカメである。名前はカメ子。せっかくの機会ゆえ、我が家の近況について一筆認める(したためる)としよう。 さて、吾輩の住まう家では、近頃夜がひどく明るい。否、それは単に照明の話ではない。奥さんが、夜な夜なパソコンに向かい、何やら熱心に作業…

第195話 一国一城の主

今回は、これまでブログに未公開だった、「カメのひとりごと」をご紹介したいと思います。 吾輩はカメである。名前はまだない。いや、正確にはあるのだが、世間一般のカメと一線を画すほどのものではないので、ここでは省かせていただく。 さて、本日は吾輩…

第194話 思いやり

さて、本日は「思いやり」について一筆したためたいと思う。 吾輩は、主人と奥さんの家で、恙無く(つつがなく)毎日を過ごしている。 だが、最近、主人が慢性副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎を患い、通院を余儀なくされているようである。 そんなある日の午後、…

第193話 諸行無常の響きあり

ある日の朝、主人と奥さんは、健康診断を受診するため病院へ出かけた。人間は、健康診断ができて良いなぁ~カメには、健康診断なんてものはない。しかも、無料で受診できるなんて羨ましいなぁ。 そして、その日の午後、2人は少々疲れた様子で、家に帰って来…