
主人が、吾輩に向かって言った。
主人:おい、カメ子。いつの間にか随分たくましくなったなぁ~
お前に噛まれた指が、まだ、痛くてたまらんよ。
ところで、お前にとても残念な知らせをしなければいけなくなった。
今日のお花見は、奥さんの都合で中止することになった。
(カメ子:やっぱり、吾輩の嫌な予感が的中した)
期待させておいてすまんなぁ。その償いとして、お花見弁当に入れるはずだったウインナーを食べさせたのだ。どうだ、ウインナーは、おいしかったか?
以前に行ったお花見で食べた弁当を思い出し、楽しかったことを思い出してくれ。
カメ子:ああ~そうだったのか。昔どこかで、食べたことがある味だとは思っていたが、残念無念だ。
そう言い残し、主人は、次にカメ輔のいる水槽に向かって行った。
そして、例のウインナーをカメ輔に与えようとした。すると、カメ輔は、主人が指でつかんでいるウインナーに向かって突進してきた。そして、カメ輔も間髪入れず、ウインナーにかじりついたのである。それを観て、主人はびっくり仰天した。
主人:お~なんということか。お前は、そうまでしてウインナーが食べたかったのか。
いつもは、初めて食べる物は警戒して食べないのに、ワシがカメ子と話しているのを聞き、たった一度だけ食べたことがあるお花見のウインナーを思い出して食べたのだな。(カメ子:えっ?)
カメ輔、ごめんなぁ。今日は奥さんの都合で、お花見に行けなくなったのだ。その代わりにこのウインナーを食べて許してくれ。
その時、突然、奥さんが主人とカメ輔の会話に割り込み、主人に向かって言ったのである。
奥さん:あなた、バカなことを言うわね。昔、カメ輔を花見に連れて行ったことはあるけど、ウインナーは食べさせていないわよ。(カメ子:そうだろう。吾輩もそう思ったよ)
今日カメ輔は、物凄くお腹が空いていたので、無我夢中で食べただけで、お花見を思い出して食べたわけじゃないのよ。あなたはいつもロマン※4を追っていて、男の人ってロマンチストなのね。女性は忙しいので、夢を追っている暇なんてないのよ。本当に男性がうらやましいわ。
と言い、次に奥さんは、吾輩に向かって言った。
奥さん:カメ子、ごめんね。私の用事で、お花見が中止になってしまって。実は、急に病院に行かなければいけなくなったのよ。だから、朝早くから起きてお花見用の食べ物を作っていたのよ。次は、必ずお花見に連れて行くからね。そして、あなたの大好きなウインナーと卵焼き、プチトマト等も入れてあげるからね。
吾輩は、奥さんが病院に行かなければいけなくなった話を聞き、「ああ~そうだったのか。それじゃあ仕方がないなぁ」と思った。
奥さんは、自分の病気のことを淡々と話し、体調が悪いのに、朝早くから起きて花見の準備をしてくれていたのか。奥さんの言っていたとおり、女性は本当に忙しいので、夢を見ている時間なんてないのだなぁと思った。
さすが、奥さんはリアリスト※5だ。
一方、吾輩はどうも主人と同じでロマンチストのようだ。
御主人様、夢想に浸る時間があるなら、たまにはリアリストになって、奥さんの家事を手伝ってあげたらどうだい。
でも、奥さんの体調は、大丈夫かなぁ?
ちょっと奥さんの病気のことが心配になってきた。
(後記)
今回の出来事をもう一度思い出すと、何だかムカムカして腹立たしく思えてきました。
第187話は、これで一旦、終わりとしますが、気持ちはこれで修まりそうになく、次回はとんでもない話に発展することになります。
乞う、御期待!
以上
※1:素敵な出会い1 書籍(カメのひとりごと)
※2:素敵な出会い2 書籍(カメのひとりごと)
※3:第150話 フイアンセ
※4:甘美で情緒的なものを好み、夢や理想の世界に憧れを抱いている人のこと。
※5:第147話 リアリスト
リアリスト:現実を最重視する態度。 理想を追うことなく、現実の事態に即して事を処理しようとする人
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