カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第98話 かくれんぼ

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  吾輩は、あの時以来、お世話になっている主人を「餌くれおじさん」や「用なしおじさん」とは、決して思わないように決めた。

あの時とは、奥さんと主人がグルになって吾輩を説教した時のことだ。

(第95話 蜘蛛の糸 Part2をご覧ください。)

そして、そう考えを改めた吾輩を見せつける機会がやってきた。

吾輩は、ある晴れた日の午後、水槽の岩の上で、うとうととうたた寝をしていた。

すると、突然、水槽の上に、主人が「ニョキッ」と顔を出したのである。

その時、吾輩は、主人を横目でチラ見し、説教された内容を思い出して、主人の方をまっすぐ向くように首をねじったのだ。

すると、主人は、その場から姿を消した。「いったい、どうなっているんだ。主人はどこに行ったんだ?」とよくわからないままボーッとしていると、今度は、先ほど、顔を出していた所から少し離れた所に主人が現れたのである。そして、口をモグモグしているではないか。

吾輩は「主人が、何か食べている」と思った。ちょうど、お腹が空いていたので、「グーグー」とお腹が鳴ったが、とっさに、主人の方に向かって歩き出したのである。すると、再び、主人の姿が消えてしまったのだ。「これは、いったいどういうことだ。吾輩をおちょくっているのか?」と思った。

吾輩は、いささか腹が立ってきた。そして、しばらくして再び、主人は、また、別の場所に現れたのである。今度も主人は、口をモグモグして何かを食べていた。

これを見て、吾輩は、主人のいる方向に進んだ。

そして、主人の目の前まで進むと、水槽の壁をよじ登ろうとして、垂直立ちになった。

すると、吾輩の目の前には、主人の顔が立ちふさがっていた。しかし、今度は違っていた。主人は消えなかった。そして、相変わらず、口をモグモグさせていた。

吾輩は、「何かおいしい物を食べているな。お腹が空いているんだよ。吾輩にもくれよ」と顎を鳴らし、主人に訴えた。と同時に、吾輩の身体が無意識に動き始めたのである。そう、餌くれのカメ子ダンスが始まったのである。ところが、しばらくして、主人は「あっ」と驚くことを言ったのだ。

主人:カメ子、「かくれんぼ」をしていたんだ。楽しかったか?おもしろかったか?

そして、口をモグモグさせるのを止めたのである。

(カメ子:いったい、何たることだ!)

そして、主人は、

主人:カメ子。すまん。すまん。口をモグモグさせていたのは、本当は食べ物を食べてはいないんだ。

食べるまねをしていた、嘘のモグモグだよ。お前と一緒に「かくれんぼ」をしたくて嘘をついたんだ。ごめんよ。

吾輩は、「主人に騙された」と思い、愕然とした。

そして、水槽の壁に沿って立ちあがることをやめたので、水槽の床に崩れ落ちてしまった。その拍子に水しぶきが主人の顔にかかってしまい、水槽から離れて行ったのだ。

吾輩も、主人の顔を見ながら後ずさりをした後、一転して向きを変え、その場から立ち去った。

そして、それを見ていた奥さんは、

奥さん:ほら、とうとうカメ子は逃げてしまったじゃない。もう、カメ子はかくれんぼなんかしてくれないわよ。と言った。

それを聞いた主人は、肩を落とし、がっかりしていた。

しばらくの間、吾輩と主人、奥さんの間で沈黙が続いた。

そして、吾輩も、腹を立てていたが、ようやく物事が冷静に考えられるようになってきた。

そして、あることを悟った。

カメ子:今度こそ、主人に対して「餌くれおじさん」や「用なしおじさん」という態度をとらないように接しようと思っていたが、いつのまにか、「餌くれおじさん」、「用なしおじさん」という態度をとっていたよ。

もしかして、主人は、わざと口をモグモグさせて、食べ物を食べているようにみせ、吾輩を試したのかもしれないなぁ。あ~吾輩は、まだ、まだ、修行が足りんなぁ。

 

【追記】

その後、カメ子は、主人と「かくれんぼ」を続けているようである。カメ子の心境の変化には、いったい何があったのだろうか?

でも、絣のはんてんを着て、まんまるにちぢこまり、カメ子と一緒にかくれんぼを楽しんでいる主人の姿を見ていると、なんだか、情けなく思え、ため息ばかりが出てしかたがないのはなしか?あ~あ~

 

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第97話 Happy Halloween

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 主人は、なぜか今朝から機嫌が良い。

今日は、夕方から久しぶりに職場の飲み会があるらしい。

「コロナ禍で自粛しなければいけないときだが、まあ、たまには良いではないか」と

のんきなことを言っている。

一方、奥さんは部屋の隅で、何やらゴソゴソと作っている。もしかして、今度も吾輩の身に何かかが起こるのかも?嫌な予感がしてきた。そして、それが現実になったのである。吾輩とカメ輔をベランダに出し、甲羅の掃除をしているときに「カメ子ちゃん。カメ子ちゃん」と呼んだ後、「今日も素晴らしい演技をしてね」と言ったのだ。

吾輩は、「あ~また、あの時のように、吾輩をダシにして何かをしようとしているのか」と思った。(あの時とは、吾輩と奥さんが初めてテレビ放映されたとき、奥さんは、自分のテレビ映りの事ばかりを気にし、吾輩のことなんか全然気にしていなかったときのことだ。)

そして、夜を迎え、奥さんは、吾輩を水槽から取り出し、濡れた身体をタオルで拭き、意外な行動をとったのだ。

奥さんは、吾輩が未だ踏み入れたことがない、未開の部屋に連れて行き、部屋の中央の床の上に置いた。

すると、吾輩は、横に何かが置いていることに気が付いた。「これは、どこかで見たことがあるぞ!そうだ、奥さんが、朝、部屋の隅で作っていたものに似ている」と、ブツブツ言っていると「さあ、これを着るのよ」と言うや、それを吾輩の身体に着せ始めたのである。

ひとつは、鳥の翼のようで、そして、もうひとつは、帽子のようである。奥さんは「この格好をして、演技をするのよ」と言ったが、吾輩は、いったい何のことだかよくわからぬまま、呆然としていた。

奥さんは、吾輩がいる所から少し離れ、部屋の片隅に移動し、そして、吾輩を「こっちにおいで」と呼んだのである。吾輩は、初めて来た場所なので、辺りを見渡し、敵がいないことを確認して奥さんの呼ぶ方に向かって進んだ。ワックスがかかっていて滑りやすい床と、妙なものを身に付けられているので、なかなか前には進めなかった。

やっとの思いで奥さんの所にたどり着くと、「う~ん」と言い、「もう一回」と言った。

吾輩は、「*よだきいなぁー」とも思ったが、奥さんの命令には絶対服従なので、もう一回同じことをやった。

ところが、奥さんは、納得しないのか、「もう一回」と言ったのである。

吾輩は、「いい加減にしてくれよ。また、同じことをやるの」と思ったが、しかし、奥さんは、また、吾輩を部屋の真ん中に置き、部屋の隅から「こっちにおいで」と呼んだのである。でも、吾輩は、今度ばかりは、我慢が出来ず、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまった。

ビクともしない吾輩を見て、業を煮やした奥さんは、吾輩の方に近寄って来た。吾輩は、近づいてくる奥さんを、にらみ返しながら、後退したのだった。奥さんが最接近したところで、吾輩は、ついに「シューッ」喉を鳴らし威嚇した。ところがどうだ。それを見た奥さんは、「あ、ごめん。ごめん」で済ませたのである。呆れてものが言えない。とその時、「ピンポン」という音が聞こえ、玄関のインターホンが鳴った。「いったいこんな時間に誰だ?」と思ったが、誰だかすぐにわかった。その主は主人だった。

奥さんは、すぐさま、玄関に出迎えに行った。そして、「今、帰ったぞ」と、あのなつかしい声が聞こえてきたのである。酔っ払いオジサンの主人の声だ。彼は、酒臭い匂いをプンプンさせながら、部屋に来て、吾輩の姿を見るなり言った。

主人:カメ子、お前はいったいここで何をしているんだ?それに、背中に翼を付け、頭に帽子のようなものを被って、その恰好はいったい何だ?

「吾輩もよくわからない」と思っていると、その質問に対して、奥さんは、ようやく何をやろうとしているのかを話し始めた。

奥さん:ねえ、今日、10月30日は何の日か知っている?

ハロウィンなのよ。だから、カメ子に変装させているの。

鳥の翼っていうのは、コウモリの翼だし、頭に被っている帽子はカボチャなのよ。

すると、主人は、半分、呂律(ろれつ)がまわらない口ぶりで、「そうか。そうか」と言った。吾輩も、奥さんの言葉を聞いて、ようやく、こんな格好をしてこんなことをするのかが、わかった。

そんな中、奥さんは、「さあ、これからが本番だよ。カメ子、こっちにおいで」と言うと、スマホで吾輩の動画を撮影し始めた。さっきまで、ムカットして、「もう奥さんの言うことはきかないぞ」と思っていた吾輩も、今度は、奥さんの言うことに従った。(これからは、何をするのか教えてくれないで、指図するのは止めて欲しいよ)そして、吾輩は、モデルと化し、カメ子を演じ、ついに奥さんの足元に到着したのだ。そして、撮影が終了した。吾輩は、完璧だと思ったが、奥さんは、ちょっと不満げな顔で、首をかしげているのである。吾輩は、何か嫌な予感がした。奥さんは、早速、録画を再生し、チエックをしていた。そして「これじゃあ駄目だわ。もう一回、やり直し」と言った。吾輩は、一生懸命演じたので、「なに~」と叫んだ。なんと、録画の中に、変なノイズが入っていたのである。そのノイズは、吾輩の隣にいる主人の大イビキであった。

ご当人は、今も、よだれを垂らしながら吾輩の隣で、うるさいノイズを発している。

吾輩は、いつも信頼申し上げている?ご主人さまに対し「あ~何と、情けない姿」だと思った。

ある意味、今回のハロウィンの本当の主人公は、主人かもしれないなぁ。

 

【追記】

カメ子の仮装をした姿の動画をご覧になりたい方は、インスタグラム(hino0719)を検索してくださいね!

 *「よだきい」は、大分県、宮崎県の方言で、ものうい、おっくう、大義という意味。

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第96話 スター誕生

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 吾輩は、ついに、令和2年9月24日、テレビに初出演することになった。

まさしく、「スター誕生」としての第一歩を踏み出そうとしている?

テレビ放映を明日に控え、奥さん、主人、そして実家の母親までもが、親戚、友達、知人に対しての電話攻勢を開始したのである。「立っている者は親でも使え」というが、奥さんは、まさに、それを実践している。(おーこわ、おーこわ)

でも、奥さんは、吾輩に「あなたも電話してね」とは言わなかった。(ざんねん)

電話の内容は、「明日、夕方の6時15分からOBS大分放送 イブニングニュースで、カメ子ちゃんがテレビに初出演することになったの。もし、良かったら見てね」といった内容だ。しばらくして、奥さんは、自分がジャンジャン電話をかけているのに、主人の電話攻勢が少ないことに気付いたようで、「あなた、気合いが足りないわよ。そんなに友達や知り合いが少ないの!」と、いつものように主人が怒られていた。

奥さんと主人とのやりとりを聞いていると、鈍感な吾輩も、「いよいよ、明日に迫って来たか」と、実感し、胸が高鳴りだした。

そして、ついに放送当日の朝を迎え、吾輩は、我が人生の運命が変わる時まで、あと少しだと心を躍らせ、ワクワクしていた。

放送開始1時間前になり、実家へ行き、みんなでテレビを見ることになったが、なぜか?カメ輔はお留守番になった。

そんな最中、奥さんが、びっくり仰天の言葉を発したのだ。

「あ~もう嫌。テレビを見るのが恥ずかしい。私は、見たくない」なんと、奥さんが今までとは、真逆のことを言いだしたのである。吾輩は、「ついに、奥さんは気がふれたか?」と思ったが、吾輩にも理解できる気がしてきた。自分の顔が公に出て、スターになるか、ならぬか、運命が決まるのである。

もう後戻りできないという、怖さからの恐怖心かもしれない。そして、今まさにその瞬間を迎えようとしている。

奥さん、主人、そして母親がテレビの前に陣取り、その出番を今か、今かと待っていた。

吾輩は、主人が両手で掴み、テレビが良く見えるようにしてくれた。

今の吾輩の心臓は、バクバクして、血管が張り裂けんばかりであった。

そして、ついにその時が来た。ニュースが始まったのである。

最初に、画面中央に「人気の秘密はカメ目線」という文字が出て、アナウンサーが、語り始めたのである。(途中、コマーシャルが入った後)まず、奥さんのテレビ初デビュー(インタビュー編)があり、次に、吾輩のテレビ初デビュー(餌を食べる編・「スター誕生」)があった。放映中は、吾輩は、自分の姿を意外と冷静に見ることができた。そして、放映が終了した。心の緊張が解き放たれ、吾輩の頭の中は、空っぽの放心状態になっていた。とその時、奥さんのあの一言で、我を取り戻すことになった。

奥さん:上手く写っていたわね。そんなに、太って写らなくて良かった。

吾輩は、奥さんは「無事にテレビ放映が終了したのに、自分のことだけを気にしているなんて、あきれるよ」と思っていた。しばらくして、番組の放送が終了した。

すると、その途端、奥さんの携帯の着信音が鳴り響き続けたのである。

奥さん:〇〇さん。どうだった。私、太って見えなかった?

すると、携帯電話の向こう側から

〇〇さん:ずいぶん、盛ったわね。誰だかわかんなかったわよ~という声が聞こえてきた。

それを聞き、吾輩も「そうそう。吾輩も初めて奥さんの厚化粧をした顔を見たとき、この女性はいったい誰?」って思ったよ。

そして、この電話が終わると、すぐ、また、次の人から電話がかかってきたのである。今度は、どうも奥さんの知人からの電話のようだ。

知人:「テレビにも出て、本も売れてきたから、もう外は一人で歩けなくなるわね」とお世辞を言い、奥さんはその知人に対して「はい、はい。」と相槌を打ちながら、会話が終了した。

ところが、なぜか奥さんは、たいそう怒っている様子で、

奥さん:この人は本当に調子良いわよ。初めて、私が彼女に「カメのひとりごと」の本を持って行った時、「本にサインをしますか?」と聞くと、この知人は、「そんなの要らないわよ」と言ったのよ。この言葉は、一生忘れないわ。

吾輩は、「奥さんも、本の宣伝や販売をするために、いろいろ苦労をしているんだなぁ」と思った。

奥さんの携帯電話の着信音は、翌日の夜遅くまで鳴り続けた。でも、なぜか、吾輩は、心の中がモヤモヤして吹っ切れない気分であった。奥さんは、吾輩のことなんて、ちっとも気にせず、自分のことばかりが気になっているようである。

だから、「カメ子ちゃん。可愛く写っていたわね。と、○○さんが言っていたよ」という言葉が全く聞けなかった。

吾輩は、撮影当日、くすぐったいのをじっと我慢をして甲羅を洗ってもらい、綺麗な身体で、モデルの「カメ子」を一生懸命演じたのに・・・。

ああ~吾輩の「スター誕生」への道は、まだまだ、遠い道のりのようである。

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第95話 蜘蛛の糸(Part2)

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我が家では、主人が一番早く、その次に奥さん、吾輩、カメ輔の順に目覚める。

「よっしゃ、ついにその時が来たな」と思い、吾輩は意を決し、主人のいる方向に近づいて行った。

水槽の上に見える主人の姿が、段々と大きくなってきた。そして、主人は、吾輩にようやく気付いたようだ。

「今がチャンスだ。(顎を擦り合わせて)カリッ、カリッ、カリッ、~」吾輩は、主人に対して言いたいことをカメ語で、思いの丈(たけ)ぶつけた。すると、主人は、吾輩の姿を見て「えっ」と驚いた後、いつもの、おっとりした調子で喋ったのだ。

主人:おい、カメ子。いったい、どうしたんだ。こっちをじっと見つめているなんて、珍しいじゃないか。いつもは疑うような目つきで、ワシを見上げているのに。それに、何か言っているのか?

お腹が減ったのか?水替えをして欲しいのか?ちょっと、待てよ。お前、昨夜一睡もしていないように、目が充血して真っ赤じゃないか?

それを聞き、吾輩は、予想していたとおり、我が意に介さない主人に呆れてしまい、その後の言葉が出なかった。すると、奥さんが、吾輩の代わりに吠えてくれたのだ。

奥さん:貴方って、本当にカメ子の気持ちがわかってないのね。一睡も眠れず、カメ子の目を充血させたのは、あなたのせいよ。貴方は昨日、カメ子に対して何を言ったのか覚えているの?「今ならお前が地獄に落ちなくてすむ方法がある。それは、今のお前の態度を改めることだ」と言ったわね。カメ子はその「地獄に落ちる」という言葉が本当にショックだったのよ。

吾輩は、「奥さんヤレヤレー、吾輩の思いをもっと言ってくれ。」と心の中で叫び応援した。

すると、それを聞いた主人は、一瞬、顔色が変わったが、その後は、それを予測していたかのように、淡々と語った。

主人:あっ。そうだったな。でも、お前がそんなに、深刻に悩んでいたなんて知らなかったよ。ちょっと、大げさに言ってしまったな~ご免よ。そして、そのことだけど、今のままで良いよ。お前が地獄へ落ちることはないよ。

吾輩は、一番気になっていた、「地獄に落ちる」という心配事が、いとも簡単に解決できたことに驚き、張り詰めていた糸が一気に切れてしまった。ところが、主人の言葉はそれだけでは終わらず、二の次だと思っていた「お前の態度を改めること」の方が問題になってきたのだ。

主人:最近、お前がワシに対して何か、不信を抱いているように見えるんだ。お前は、何か欲しい食べ物や、して欲しいことがある時は、"おねだり目"をしてワシの方を真っ直ぐに見る。ただ、それ以外の時に、ワシがお前の方をじっと見ていると、お前は、ワシを真っ直ぐにみないで、横から疑うような目をして、ワシを見ている。そして、ワシがちょっとでもお前に近づこうものなら、後ずさりをし、向きを反転させて、背後の水槽に向かって走り出し、最後は水槽の壁を這い上がろうとする。今は、こんなことが以前と比べて多くなった。

もしかして、うちの奥さんが言うように、おいしい食べ物を与えてくれる「餌やりオジサン」は餌を食べ終えた後は、ただの「用なしオジサン」となって、その場を逃げ出すのか?

それに、ワシがお前に食べ物を与えた後、以前は、お礼のダンスを、披露してくれたなぁ。

しかし、今は、カメ子ダンスは、ほとんどしてくれない。

こんな態度をみていると、どうも心配でならない。

「う~ん」吾輩は、主人の話しの内容に付いて行けず頭の中が混乱して、思考停止に陥ってしまったのだ。

そして、頭の中を整理し自分なりに過去の行動を振り返ってみることにした。

以前、吾輩は、主人のことを「用なしオジサン」と思っていた。しかし、今は、主人に対して「餌やりオジサン」や、「用なしオジサン」とは決して思わないようにしようと思っている。

でも、主人の目にそういうふうに映っていたのは、どこか吾輩の心の片隅に、まだ、そんな気持ちが残っているので態度に出たのかもしれない。

そして最近、主人には、カメ子ダンスも披露していない。

それもこれも、食事や水替えをしてくれる主人や奥さんに対して、感謝の気持ちが薄らいできて横着になっていたのかもしれない。

吾輩にも責任があるので、反省しなくてはいけないと思った。

うつむいて反省している吾輩を見て、主人は、そっと、その場を立ち去った。

そして、どうして、主人が「蜘蛛の糸」の話をしてくれたのか、その理由を考えてみた。

きっと、主人は、「地獄に落ちなくてすむ方法」を伝授するのではなく、「今の吾輩の態度を改めてたかったのだろう」という結論が出た。しかも、奥さんまでがグルになっていたなんて・・・。

吾輩は見事に、二人にはめられてしまった。

  

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第94話 蜘蛛の糸(Part1)

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10月のある日曜日の午後、主人と奥さんは、いつものように会話を始めた。

今日は時間に追われている様子もなく、暇なひとときを二人で満喫しているようであった。

吾輩のスケジュールも、運良く今日は、空白であった。

(いつも、空白じゃないの?)

さて、二人の間で、どんな話題が飛び出してくるのかなぁ?楽しみだ!

吾輩に火の粉がかからないように祈るしかない。

今回は、主人の方から口火を切って吠えたのである。

主人:おい、芥川龍之介の「蜘蛛の糸※1っていう小説があるだろ。

しばらくの間、主人は、奥さんに小説のあらすじを話しだした。吾輩は、初めて聞く話で、お釈迦様だの、蜘蛛だの知らない言葉がいろいろ出てきて、はっきりとは理解できなかったが、段々と話に吸い込まれていった。

そして、地獄という言葉が出てきた途端に、背筋がゾオ~っとして怖くなった。

「今日は、吾輩には、とばっちりは来ないだろう」と他人事のように思っていた。ところが、突然、主人が振り向き、吾輩と目があったのだ。嫌な予感がし「ヤバイ」と思っていると、主人が吾輩の方に近づいて来たのだ。

すると、主人が、開口一番、

主人:う~ん カメ子。このままじゃお前は、地獄に落ちるかもしれないよ。

カメ子:え~っ 主人は、急に何を言いだすの?

吾輩は、突拍子もないその発言に、主人の資質を疑ったのだ。

そして、「どうして、吾輩が地獄に落ちなきゃいけないんだよ。さっぱり分からない。吾輩を心配してくれるよりも、自分のことを心配してくれよ」と思った。

ところが、主人は、それだけでは収まらなかった。

主人:お前は、小さい頃から飛んでいる子バエを食べていたなぁ。子バエがお前の目の前で、ブ~ンと飛んでいるのを見て「うるさい」といい、パクッと口の中に入れて食べていたなぁ。それを無駄な殺生と言うんだよ。

小説の中のカンダタのように、その報いで、お前は死んだら地獄に落ちるんだよ。

そして、次の言葉で、吾輩は主人からダメ出しを食らうことになったのだ。

主人:それに、お前は、蜘蛛を助けるどころか、蜘蛛を見たことがない。これからも、蜘蛛とは縁がないので、蜘蛛を助けることもない。だから、お前が地獄に落ちても、天から蜘蛛の糸が降りてくることはない。お前はずっと地獄にいることになる。

それを聞いて、吾輩の心は、凍りつき、呆然自失(ぼうぜんじしつ)になり、一点を見つめて腑抜け状態になった。

その状況を見ていた奥さんがついに言ったのだ。

奥さん:そんなにカメ子をがまっちゃ(奥豊後地方の方言:からかう)可哀想よ。カメ子が固まっているじゃないの。

すると、その一言を聞き「ハッ」とした主人は、吾輩の姿を見て、今度は真逆のことを言い出したのだ。

主人:カメ子よ。今ならお前が地獄に落ちなくてすむ方法があるぞ。それはな、(しばらく間を空けて)今のお前の態度を改めることだ。

と言ったのだ。そして、その言葉を告げた後、主人はその場から立ち去った。その夜、吾輩は「地獄」という言葉と、主人の「今ならお前が地獄に落ちなくてすむ方法がある。それは、今のお前の態度を改めることだ」という謎めいた言葉が頭から離れず、眠れなかった。

カメ子:地獄に落ちない方法って、一体何だろう?それに、「今のお前の態度を改めることだ」ってどういう意味だ。小バエを食べる以外に何か地獄に落ちるような悪いことをしているのだろうか?

暗い闇夜の中、答えが得られず、もがき苦しんでいる吾輩は、半ばあきらめ気分になってきた。そして、半ば開き直って、「明日、もう一度、主人にそこのところを聞くしかないな」と思うようになってきた。そう思ったときから、吾輩は、急に心の中の苦悶が薄れてきて、深い眠りに入ったのだ。明日、主人にその言葉の真意を問いただすことになる。何だか怖い気分である。

※1釈迦はある日の朝、極楽を散歩中に蓮池を通して下の地獄を覗き見た。罪人どもが苦しんでいる中にカンダタ(犍陀多)という男を見つけた。カンダタは殺人や放火もした泥棒であったが、過去に一度だけ善行を成したことがあった。それは林で小さな蜘蛛を踏み殺しかけて止め、命を助けたことだった。それを思い出した釈迦は、彼を地獄から救い出してやろうと、一本の蜘蛛の糸カンダタめがけて下ろした。 暗い地獄で天から垂れて来た蜘蛛の糸を見たカンダタは、この糸を登れば地獄から出られると考え、糸につかまって昇り始めた。

ところが途中で疲れてふと下を見下ろすと、数多の罪人達が自分の下から続いてくる。このままでは重みで糸が切れてしまうと思ったカンダタは、下に向かって大声で「この

蜘蛛の糸は己(おれ)のものだぞ。」「下りろ。下りろ。」と喚いた。その途端、蜘蛛の糸カンダタの真上の部分で切れ、カンダタは再び地獄の底に堕ちてしまった。 無慈悲に自分だけ助かろうとし、結局元の地獄へ堕ちてしまったカンダタを浅ましく思ったのか、それを見ていた釈迦は悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

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第93話 運命が変わる日( Part4)

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 謎の女性の撮影が終わると、記者のBさんが「今度は、カメ子さんの映像を撮りましょう」と言った。

カメ子:なにー!そんなの聞いてないよ。だって、打ち合わせも何もないじゃん。何をしゃべって良いのかわからないよ。(カメ語を話したって、人間はわからないとは思うけど。)

そう言って、Bさんと謎の女性が、吾輩のいる水槽に近づいて来たのである。そして、Bさんが「カメ子さんが餌を食べるところを撮影しましょう」と言うと、謎の女性は主人に「餌を取って、そこにあるから」と指示をし、ピンセットで主人が持ってきた食べ物を掴み、吾輩の顔の近くまで持ってきた。

「う~ん。良い匂い」これは昨日、我が家で食べた鳥のササミの匂いだ。謎の女性は「カメ子ちゃん。おいしいよ」と言い、ササミを吾輩の鼻の近くまで持ってきた。

吾輩は、謎の女性がカメ子ちゃん呼ばわりしたことに対して、「カチン」ときた。「どこの馬の骨ともわからぬ人間から、カメ子ちゃん呼ばわりされる筋合はない」と思い、謎の女性

の顔を睨め返した。それでも謎の女性は「カメ子ちゃん、カメ子ちゃん、おいしいよ」と連呼するのである。そして、心が爆発寸前になった吾輩の目の前に、突如、現れてきたのが、小型のハンディカメラだ。そして、その瞬間から吾輩は、日頃の吾輩ではなく、モデルと化した吾輩になったのである。我が心の奥底からモデル魂が湧いてきたのである。モデルとなれば、Bさんの指示が絶対になるのだ。「旨そうに食べろ」と言われれば食べる。もちろん、撮影中のまばたきは、言語道断だ。しばらく撮影が続いた後、Bさんが「撮影は終わりです。うまく撮れましたよ」と言った。吾輩は、その言葉を聞いて今まで張り詰めていた心の糸がプッツンと切れ、頭の中は真白であった。

そして、謎の女性は、Bさんに「次は、カメ輔を撮りますか?」と言ったのだ。すると、Bさんは間髪入れずに「カメ輔君は撮影しなくていいです。」と言ったのである。

「なしか?」それを聞いたカメ輔は、いったいどう思っただろうか?

この後、育ての親のAさんは、BさんとCさんを連れ立って外に出た。そして、謎の女性と主人も外に出たのである。部屋に残っているのは、吾輩とカメ輔、そして、その他大勢の我が兄弟の小ガメ達である。かしましい後輩が少々うるさいが、束の間の静寂の中で、吾輩はようやく冷静に物事が考えられるようになってきた。しばらくして、謎の女性と主人が再び家の中に戻ってきた。そして、謎の女性は、吾輩の方にやって来て言ったのである。

謎の女性:カメ子ちゃん。カメラの前で、堂々とカメ子を演じてくれて、かっこ良かったよ!本番の時に餌を食べずに、顔を甲羅の中に引っ込めたままだったら、どうしょう?と思ったわ。カメ輔は、カメラの前で餌をあげても食べずに、頭を引っ込めたままで、この子ったら、小心者なのよ。(カメ輔が餌を食べるシーンがカットされた訳がわかったような気がする)謎の女性は、ニコニコしながら、吾輩をじっと見つめて、しゃべり続けた。それを聞いた吾輩は、

カメ子:この声は、どこかで聞いたことがあるような声だ。

えっ、もしかして、この声の持ち主は、奥さんなのか?

だとすると、マスクをして、ベレー帽をかぶり、目の辺りだけ出している、謎の女性は奥さんということになる。

でも、目はいつもの奥さんと違い、パッチリしていて、まつ毛も異様に長い。

昨日の夜、奥さんは、「一緒にカメ子の育ての親に会いに行こうね!」と話しかけてくれた。さらに、あの熊本地震で起きた事件のことを知っている人物は、吾輩と奥さんと主人の3人だけだ。吾輩と、主人もここにいる。とすると、吾輩の目の前にいる謎の女性は奥さんなのか?

そうだとすると、部屋の隅っこで、手鏡らしき物を持ち、それとにらめっこをしながら、顔に何かを塗っていた女性は、間違いなく奥さんである。そして、その化粧の成果がでたわけだ。それにしても、女性とは、化粧でこんなに変化し、化けることができるなんて、怖い生き物であることをはじめて知った。(奥さん、吾輩は、化粧をしていない奥さんの方が素敵だと思いますよ!)

男性諸君、女性を選ぶ時は騙されないように気を付けるべし。ああ、人間でなくて本当に良かった。

吾輩と奥さんが出演したこのニュースは、

〇〇〇放送で

令和2年9月24日に放映されました。

果たして、放送終了後、吾輩の運命は変わったのであろうか?

この結果については、また別の機会に報告することにしよう。

次回を、乞うご期待!

 

 

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第92話 運命が変わる日(Part3)

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   部屋の中に入ってきた2人の男性が

「〇〇〇放送です。今日は、どうぞよろしく

お願いします。」と言った。

吾輩は「なに、〇〇〇放送だと!

あの有名なテレビ局か?

これは、とんでもないことになったぞ!

いったい、何でこんな所に来たのかなぁ?」

と思った。

吾輩の育ての親のAさん、謎の女性、主人は、

早速、テレビ局の方に近づき挨拶を始めた。

そして、謎の女性とAさんが、テーブルを挟ん

でテレビ局の記者Bさんと向かい合う形で

ソファーに座り、何やら打ち合わせを始めたの

だった。

謎の女性:どんな質問をされるのでしょうか?

(記者Bさんが座っているソファーの後ろで

カンペを持ち、いたずらをして立たされてい

る少年のような主人を指さし)

「この質問にしか答えられません。それ以外

のことを質問されてもお答えできません。」

と言ったのだ。

どうも、この謎の女性は、事前に想定問答集

を作っていて、それをカンペに書いていたよ

うだった。

これには、謎の女性の隣に座っていたAさん

も唖然としていた。

吾輩は、なぜ、この謎の女性が

インタビューを受ける事になったのか?

不思議に思っていた。

それに、このカンペは、どこか見覚えがある

用紙に書かれているようであった。

3人の打ち合わせが終了すると、すぐに、

インタビューの本番が始まった。

周りの空気に緊張が走り、思わず吾輩も息を

呑んだ。

カメラマンCさんのテレビカメラが、謎の女

性の顔をフォーカスし、インタビューが続い

た。

吾輩も緊張して、胸がドキドキしていた。

インタビューの話は、どこかで聞いたことが

あるような内容であった。

それは、今朝まで、奥さんが1人で何かを

ブツブツ言っていた内容と同じだと思った。

おかげで、吾輩も睡眠不足である。

ところが、突然、撮影中に「バタン」という

大きな音がし、一瞬、インタビューが止まっ

た。

奥さんが、今朝まで一生懸命作っていたカン

ペを、主人が床に落としてしまったのだ。

吾輩は「やばい、主人が奥さんに用紙が汚

れた。と言って怒られるぞ!」と思い

ハラハラドキドキしていたが、何事もなく、

インタビューが終わった。

すると、カメラマンのCさんが「カンペを

見なくても上手く喋れるじゃないですか」

と言った。

そして、それを聞いた謎の女性は、「本当

ですか?ああ~良かった。」と言うと、息

を思いっきり吸い込み、フーッと一気に

吐き出したのである。

それを見ていた吾輩も、何も事件が起こら

ず、胸を撫で下ろしていた。

ところが、安堵する暇も無く、記者のBさ

んの口から驚愕するほどの言葉が飛び出し

てきたのである。

さて、いったい吾輩の身に何が起こった

のでしょうか?

 話は、いよいよこれから、

クライマックスを迎えることとなる。

次回を、乞うご期待!

 

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