ある日の朝、吾輩はいつものように水が入った水槽で寝ていると、主人がやって来た。
そして、それぞれの水槽を覗き込みこう言った。
主人:おい、カメ子、カメ輔、元気か?
そして、吾輩とカメ輔の様子に変わりがないことを確認した後、いつものようにマメ(カメの配合飼料)を水中にばら撒いたのである。
ところが、吾輩は朝が弱いのと、昨日は夜遅くまで主人と奥さんがピーチクパーチク喋っていて眠れなかったこともあり、食欲が全くなかったので、マメをじっと見つめているだけだった。
それを見ていた主人は、突然、奇怪な行動をとり、水中にバラ撒いたマメを箸でかき回し始めた。すると、マメはまるで生きているかのように、吾輩の目の前で動き出したのである。
それを見ていた吾輩は、無意識のうちにマメをパクッと一口食べてしまった。
そして、それを見ていた主人が言った。
主人:どうもカメ子は、朝が苦手なようで、ようやくマメを食べてくれたなぁ。
昨日、夜遅くまで明かりをつけて奥さんと喋っていたので、眠れなくてボーッっとしているのかなぁ。もし、そうだとしたらカメ子には、本当に済まないことをした。カメ子は動いているものに飛びつくだろうと思い、目を覚ましてもらうためにマメを箸でかき回したのだよ。
このときの主人は、吾輩の気持ちを読み取ってくれていたのである。
それにしても、今日の主人は凄く冴えている!
吾輩の思っていることをズバリ的中させたことと、吾輩のことを気遣ってくれたことに対し、主人達の昨日の行動を許してあげることにした。吾輩は、このことがきっかけで、今日は2人(吾輩と主人)に何か良いことが起こりそうな予感がしてきた。
ところで、話は変わるが、水替えのとき、最近、主人が、吾輩とカメ輔の水槽に2時間以上水を入れないようにして皮膚を乾燥させてくれる。
これは、カメ輔の手の皮膚が、水カビ症に罹ったようで、それを治すための治療法らしい。
でも、吾輩は、こんなことをして、果たしてカメ輔の皮膚病が治るのか、少し疑問を抱き始めていた。
ところがこの後、この疑いが一挙に晴れる出来事が起きたのである。。
カメ輔の身体をじっと見ていた主人が、突然、奥さんと吾輩に聞こえるような大きな声で叫んだのである。
主人:見て見ろ、カメ輔の手の水カビが治って、白いカビが消えている。
良かった、本当に良かった。これは、凄い!ワシの思っていたとおりに治った。
これを聞き、吾輩は、思わず心の中で、「主人は凄い。今日は、冴えているね!」と叫んだ。
そして、この主人の冴えわたりは、これでは終わらずに、まだ、続いたのである。
夕方になり、主人が突然、吾輩のいる水槽に近づいてきた。
すると、何だか昔なつかしい匂いがしてきた。もしかして、おやつなのか?
最近の物価高で吾輩は、ずっとおやつを食べていない。
もし、これがおやつだとすると、これが、今日主人と吾輩の身に起こる良いことかもしれない。
すると、主人は、「おい、今からカメ子、カメ輔の大好きなおやつをやるぞ」と言ったのである。(やっぱり、思っていたとおり、おやつだった)
そして、主人は、吾輩の目の前に箸で掴んだ赤いおやつを出したのである。
吾輩は、箸で掴まれたおやつめがけて、水槽の壁をよじ登り、突進した。
すると、それを見ていた主人は、吾輩の鼻の先まで、近づけてきたのである。
そして、吾輩は、いつものとおり、毒が入ってないかクンクンと匂いを嗅いだ後、そっと、そのおやつを口に入れ、少しの間、味を堪能し、一気に飲み込んだのだった。
その昔なつかしいおやつの正体は、この後の主人のひとことで判明した。
主人:カメ子、お前は本当にスイカが好きだなぁ。あれから1年が経ち、そろそろ食べたくなる頃じゃないかと思って、用意しておいたよ!
そして、それを聞いた吾輩は思った。
カメ子:最近、食事も一日一回のマメばかりで、ちょうど飽きてきたところだし、季節柄、そろそろ昔懐かしい食べ物が食べたいと思っていたが、これが今朝から予感していた、「吾輩の身に起こる良いこと」だったのだなぁ。
今日の主人は、吾輩の心が全てお見通しのようである。
どうして、今日は、いつもの間抜けな主人ではなく、吾輩の気持ちが理解できる主人になったのだろう。
次回は、ことの真相が明らかになり、さらに、意外な展開が待っているよ!
次回を乞う御期待!
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