カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第119話 蓄膿症Part2

 

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 水槽の上の方から声が聞こえてきたので、見上げると、困っているような顔をした主人が見えた。

「どうしたのかな?」と思っていると、主人がポツリポツリと話しだしたのである。

読者の皆様、いよいよここから「主人のひとりごと」が始まるよ!

主人:ああ~また、カメ輔が首を上に伸ばし「ヒユーヒユー」と悲しそうに泣いている。昔、カメ輔が幼かった頃、ワシは、カメ輔のためにと思い、水槽の水を深めに入れていた。

そのことが原因で、呼吸がしやすい口呼吸ばかりするようになり、次第に鼻呼吸を忘れてしまったようだ。

その「主人のひとりごと」を聞き、落ち込んだ様子の主人を見て、奥さんは、遂に口撃を開始した。

奥さん:カメ輔がこうなったのもあなたのせいよ。

主人にとってこの一言は、きっと辛い言葉であったに違いない。

一瞬顔が引きつったように見えた。

一方、吾輩は、以前にも同じような経験をしたことがあるような気がしてきた。

そうだ、吾輩はあの時のことを思い出した。

(この内容の詳細については、【カメのひとりごと】の本『蓄膿症 Part1』に掲載しています)

その時も、カメ輔が同じように首を上に伸ばし「ヒユーヒユー」と鳴いていたのを見て、吾輩は、カメ輔に「鼻が詰まっているのか?」と聞いたことがある。

すると、カメ輔は、鼻が詰まっているとは言わず、「呼吸は口でするものでしょ」と

しか言わなかった。

そして、吾輩は、このことを主人に伝えようとしたが、「カメ語がわからない主人には、きっと理解出来ないだろう」と思い、言うことを断念した。結局、主人は、鼻詰まりの原因を勝手に蓄膿症とか風邪とかだと決めつけ、水槽に温かいお湯を張ったりして対処した。そして、水槽の水を少量にし、カメ輔が甲羅干しを出来るように小さな岩を置いたりもした。

そう考えると、主人は、カメ輔のために、何もしなかったわけではない。

このことから考えると、どうもカメ輔が口呼吸をするようになったのは、全て、主人の責任ではないようだな。

だとすると、奥さんが全て主人の責任にするのは、ちょっとおかしい気がする。それよりもむしろ、その時からこれまで、カメ輔が苦しんでいるのを、ほったからかしにして、何もしてやらなかった、主人と奥さん、そして吾輩にも連帯責任があると思う。

吾輩は、奥さんに対し、いささかの怒りを覚えてきた。

その一方、奥さんは相変わらず、主人を問い詰めている。

そして、今度は奥さんからビックリ仰天するような言葉が飛び出してきたのだ。

これは、まさしく、青天の霹靂であった。

奥さん:えっ、待ってよ。確かにカメ輔が、マメ(カメ用配合餌料)を食べていた時、鼻から水を出していたわ。そんな事、なぜ、早く気付かなかったのかしら?

私にしちゃ、ミスったわ!

この一言で、主人と吾輩の気持ちが晴れ、これで、「カメ輔は口呼吸から解き放される」かのように思えた。

ところが、今度は主人から、カメ輔の幸せな前途を打ち消すような言葉が飛び出してきたのである。

主人:この話で、カメ輔の鼻が詰まっていないことがわかったなぁ。

しかし、もう一つクリアしなければならないことがある。

それは、どうやって、カメ輔に鼻呼吸を教えるかだよ。

吾輩は、「そのとおり。でも、そんなこと、とっくに気付いているよ」と思った。

すると、今度は、主人が、吾輩の方を見て言ったのだ。

主人:お前は、ワシの言葉を理解出来ないかもしれないが、カメ輔とは同じカメ属ということで、なんとか、鼻呼吸できるように指導してやってくれないか。と言った。

ほらね。案の定予想していたとおり、吾輩にお鉢が回ってきたぞ。まあ、半分覚悟はしていたから、しょうがないなぁ。

今度は、奥さんの一言で、カメ輔は鼻呼吸ができることがわかったので、自信はあるよ。吾輩は、「一丁やってやるか」と決心し、カメ輔のいる水槽へと向かった。

【追記】

この後、カメ子は、カメ輔に、鼻呼吸するように説得したようである。

ただ、上手くいったかどうかは、これから、カメ輔の様子を注視してみなければわからない。

これは余談だが、また、ひとつ困ったことが起こった。  

これまでの二人の会話の中で、主人が奥さんに、「もし、カメ輔が蓄膿症になっていたら、病院に連れて行くのか?」という質問した。

すると、奥さんは、戯れ(たわむれ)に「そんな面倒なことはしないわよ。近くの川に放流するつもりよ」と言ったのである。主人は、この奥さんの発言にびっくりし、慌てて水槽の中にいるカメ輔の顔を見た。

すると、カメ輔も主人の顔を見上げていた。その時、カメ輔の目は、吊り上がり主人を睨み返していたのだ。

もしかして、カメ輔は、奥さんの言った言葉を理解していたのかもしれない。

時すでに遅しか?

カメ輔は、まだ、冗談がわかる年齢ではないし、奥さんが、本気で言ったと思っているであろうな。

ああ、これは、カメ輔の誤解を解くのに相当時間がかかりそうだ!本当に困ったなぁ。

今日の奥さんは、いつもの奥さんとは全く別人のようで、カメ輔が口呼吸をするのは主人の責任だと言ったり、カメ輔を川へ捨てるような発言をしてしまった。

ああ、気まぐれな奥さんには、まったく困ったものだ。

奥さん、少しは反省して下さいよ!

カメ子より。

 

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