カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第154話 おしゃべりトマト Part2

  この写真に写っているのは、カメ子です。カメ輔との違いがわかるかなぁ?

 

 さあ、第153話の続きが始まるよ!

トマト:私達植物は、昼間、空気中のCOを取り込んで、地球温暖化を防ぎ、そして、Oを出してあなた達動物に綺麗な空気を提供しているのよ。

僕は、このことが何のことだか、さっぱりわからなかったが、植物が地球上の全ての生き物に対して、貢献し、役に立っていることだけは理解できた。

そして、さらにトマトの衝撃発言は続いたのである。

トマト:この前、あなたは私の寿命について聞いたわよね。実は、私の寿命は、あと2ヶ月ぐらいなの。その時が来るまで、自分の分身(トマトの実)を奥さんと主人に捧げるのよ。もしかしたら、あなたも私の分身を食べたことがあるかもしれないわね。

そう、私達トマトは、人間に食べられるために、この世に生まれてきたのよ。

だって、私の身体は人間が創ってくれた物だから、後悔はしないわ。

これが、私達の定められた運命なのよ。私は、つい1ヶ月ぐらい前にこの地上に生まれ、そして、あと2ヶ月程で、この世から消えていくの。

ちょっぴり、悲しい気持ちもするけれど、それは、運命なので、仕方がないわ。

あなた達は、「カメは万年」と言われているようで、長生きが出来ていいわね。

ちょっぴり、羨ましいわ。

僕は、トマトの話が初めて聞くことばかりだったので、びっくりしなんだか寂しい思いがした。そして、ひとつの疑問が湧いてきたのである。

1ヶ月ほど前にこの世に生まれてきたのに、どうして、「自分達は、COを吸収して地球温暖化を防いでいるとか、Oを出して、動物に綺麗な空気を提供している」とか難しいことを知っているのだろうか?

そして、トマトは、僕から、この疑問が出ることがわかっていたかのように話しを始めたのである。

トマト:あなたが知っているように植物はいろいろな種類があるけれど、どの植物も身振り手振りもできず、ほとんどが静止しているのよ。

「カメはのろまだ」という話は有名だけれど(カメ輔君、ごめんね)、植物の比じゃないわね。

だから、私はあなたにご挨拶に行こうにも動けなかったのよ。

でも、私達植物は、動物のように身体を動かすことができない代わりに、コミュニケーションとして、テレパシーで話すことが発達したの!そうじゃないと、植物同士の会話についていけないし、決して一人で生きてはいけないのよ。

それに、話をするためには、情報を持ってなきゃいけないの。そのため、周りから情報を得るために、いつも耳を傾けていないといけない。

だから、「声を聞く」ということが大事になってくるのよ。

どこかの国の首相が「誰よりも聞く力がある」って言っていたわね。

そんなことで、私達植物はこの地上に誕生した時から、周りの音や声に敏感に反応するようになったのよ。人間の会話はもちろん犬や猫、カメ等全ての動物の声もね。

そして、すぐさま内容を理解しなくちゃいけないの。だから、あなたは気付いているかも知れないけれど、植物同士で、いつもピーチク~パーチク話しているので、森や林の中は、騒々しいこと、このうえないのよ!

植物はもの物静かで、おとなしいと思っていたでしょうが、とんでもない。

それに、カメ子さんは、「人間が、私達地球の生き物達のテレパシーを習得するには、あと150年はかかる」※2と言ったらしいわね。

(カメ輔:僕とカメ子兄ちゃんしか知らない話をどうしてトマトが知っているの?)

どう考えてみても私からすれば、人間はみんな遠回りをしているわ。

人間は、この地球上の動物の頂点に立っているというプライドや人間以外の生き物は、会話もできない下等な生き物だという偏見を持っているからこうなるのよ。

トマトにモーツアルトの音楽を聴かせると甘いとトマトができることがわかっているのに、どうして人間は、もっと、音楽を通じて、トマトと話しをする研究をしないのかなぁ?今回のように、あなたが私をじっと見つめ、心が通じ合ったときはじめて、互いの言いたいことが理解し合えるのにね。

これがテレパシーで、人間も本来は持っているはずよ。

あ~ようやくトマトの独演会は終わった。そして、僕がほっとしてため息をついていると、トマトは、突然笑みを浮かべて意外なことを言ったのである。

トマト:ところで、この前、あなたのご主人から、「お前に名前を付けてやる」と言われて、びっくりしたわ。どんな名前を考えてくれるのか?今から楽しみだわ。

わかったら、あなたにも教えてあげるわね。

僕はそれを聞き、「また、主人の名付け癖が始まったぞ」と思った。

そして、僕は、その後の展開をある程度予想することが出来たが、「それじゃ、わかったら教えてね」と相槌を打った。

僕は、「トマトは、話題があっちこっちに飛んで、よくおしゃべりをするなぁ」と半ばあきれていた。

ようやくトマトの話が終了したので、僕は、その場から立ち去った。

そして、その日から3日後、僕がベランダでいつものように探検をしていると、トマトの方から声をかけてきた。

すると、僕は、「はは~ん、あのことだな」と思いつつ、トマトのいる場所に向かって歩いて行った。

トマト:やっと、私の名前が決まったのよ。主人がじっと私をみつめ、「三日三晩、寝ずに考えて決めた」と言っていたわ。そして、その名前は、【おしゃべりトマト】だったのよ。私は、涙が出るほどうれしくて、この名前を冥途の土産にすることにしたわ。

主人がトマトを、【おしゃべりトマト】に命名したことで、僕の予想は大きくはずれてしまった。そして、トマトが自分の名前を命名してもらったくらいで、こんなに感激するものなのかと思い、びっくりした。

 

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  「後記」

 いつものご主人だったら、トマトの名前は「トマ子」とか、皆さまもすぐに想像できるような簡単な名前を命名したかもしれません。

しかし、今回はどうして、【おしゃべりトマト】と名付けたのでしょうか?

いつものように、三日三晩寝ずに考えてこの名前を付けたのか?

それとも、トマトをじっと見つめているときに無意識にテレパシーを使ってトマトの性格を見抜き、命名したのか?それについては、主人にしかわからないことです。

もし、後者だとすると主人は人類史上初めてテレパシーを使った人間ということになります。

さて、真実はどうなのでしょうか?後で、そっと主人に聞いておきますね!

一方、トマトがご主人から名前を付けてもらったとき、感激した理由がようやく今になって、理解できたような気がします。

もしかして、彼女は寂しかったのかもしれませんね!

読者の皆様は、どう思いますか?

 

:第57話 ユッカ 【カメのひとりごと】本には未掲載

:第151話 未来からの訪問者 Part1