*リビングを徘徊するカメ子です。
ある日の午後、主人が久しぶりに吾輩とカメ輔をベランダに出してくれた。
主人は、最近暇を持て余している様子であるが、以前のようにかまってくれない。
早速カメ輔は、吾輩の目の前を素通りし、ある方向に向かって進んで行った。
その行く先を見ると、袋の中に何かが入っている荷物が山積みになっていた。
カメ輔は、そこに向かって突き進んで行ったが、吾輩は、何か嫌な予感がしてきた。
山積みになった荷物が置いてある場所に到着したカメ輔は、次は、荷物と荷物の間の隙間に入ろうとしていたのである。
その時、吾輩は一瞬ヤバイと思った。隙間の向こう側にはいったい何があるの?
何も考えていないカメ輔は、前進するのみであった。吾輩は、カメ輔の身に何かが起こりそうな予感がしたので、カメ輔の後を付いて行くことにした。
ヤバイ、言わんこっちゃない。
カメ輔の進む方向を見ると、そこにはそびえ立つ荷物があって行き止まりになっていたのだ。このままカメ輔が前進すると、カメ輔はここから一生抜け出すことができなくなるかもしれない。吾輩は、「なんとかしなくちゃ」と思った。
しばらくの間どうしたらいいか?よく考え、ついに伝家の宝刀を抜くことに決めた。
ガブッ、ガブッ。吾輩は、生まれて初めてカメ輔の尻尾に嚙みついたのだ。
ところがどうだ。
カメ輔は、一瞬動きを止めたが、なんとその後も前に突き進み、そして袋小路の終着点でやっと歩みを止めたのである。
カメ輔は、これまで前進あるのみで、後ずさりした経験がなかったのである。
さて、どうやって助けるか?吾輩はカメ輔の救出方法を考えなくてはならなくなった。
その時、ふと吾輩の右側を見ると、あの憧れていた光景が拡がっているではないか。
その光景とは、水槽の壁をよじ登って何回も脱出を試み、いつも主人から「ダメ、ダメだよ」と叱られ水槽の中に戻された、あの夢のような憧れのリビングルームのことである。
吾輩は、一瞬ヤバイと思った。
カメ輔を助けるより、夢のリビングルームで遊んだほうが楽しいよ。という悪魔の囁きが聞こえてきた。
吾輩は、しばらく考え、そしてついに決断した。
一旦、カメ輔を助けるのをやめ、人間が住む夢の世界に突き進もう。と、思った。
そして、進行方向を右側に変え進んで行った。
吾輩は、リビングの床を一歩ずつ前進し、やっと70cmぐらい進んだであろうか?
どこからともなく、人間の声が聞こえてきたのである。
そして、こう言った。
人間の声:ああー、カメ子が大変なことをしているよ!
すると、その声を聞いた奥さんはびっくりして吾輩を見た。
奥さん:しっかり見ていなきゃダメじゃない。早くカメ子を水槽の中に戻して!
そう言われた人間は、しぶしぶ吾輩を水槽の中に戻したのである。
そう、最初の声を発したのは、主人であった。
カメ子:なんたることをしてくれたのか!
まったく主人は、余計な事をしてくれたなぁ。この告げ口野郎が。
吾輩は、主人の卑劣このうえない行動が頭にきた。
しかし、この後、主人から意外な言葉が飛び出してきたのである。
主人:最近、「カメ子のひとりごと」の新作をあまり書いていないみたいだね。
それで、話のネタを作ってあげようと思ってわざとやったのだよ。
すると、奥さんは、
奥さん:そのことと、カメ子をリビングルームで徘徊させることは別問題よ。
余計なことをしないで。そんなことをするからいつも私から怒られるのよ。
私は、アレルギーが多いのだから、カメ子、カメ輔を飼う時は、水槽の中だけにしてよね。
吾輩は、主人のことをこの告げ口野郎と言って一度は怒りを覚えたが、この主人の発言を聞き、その怒りも失せてしまった。
一方、奥さんに対しては、「相変わらずクールだなあ~」と思い、そして、自分の行ったことを改めて考え直してみた。
すると、自分が主人のことを告げ口野郎と言えるほどの立場なのか?
疑問に思えてきた。
だって、主人が告げ口野郎なら、吾輩は悪魔の誘惑に負けた輩(やから)ではないか。吾輩もまだまだ修行が足りんなぁ。
ええい、こうなりゃ~吾輩のせめてもの罪滅ぼしじゃ。
奥さん、吾輩の未熟さをネタにして、おもしろおかしく「カメのひとりごと」の話を書いてください。
吾輩は、奥さんから何と書かれても文句は言いませんから、安心してくださいね!
【後 記】
主人は、奥さんにネタを作ってあげるためにわざとやった。と、言っていましたが、
果たして本当のところはどうだったのでしょうか?
読者の皆様は、どう思いますか?
そのヒントは主人と奥さんとの会話の中にあるようですね。
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