ある日の午後のことである。奥さんが、段ボール箱とゴミ袋を持ち、部屋の中を行ったりきたりしている。
とても忙しそうだが、いったい何をしているのであろうか?
気になった吾輩はいつものように聞き耳をたて、奥さんと主人のようすを観察してみることにした。
すると、あんなに慌ただしく動き回っていた奥さんが、急に物静かになり、突然呟き始めたのである。
奥さん:ずっと着ていない洋服、食器、本、昔好きで集めた雑貨などがたくさんあって、クロゼットと納戸のドアが閉まらなくなっちゃった。
この際、思い切って捨てることにしよう。
でも、まだ、新品同様で使える物ばかりだから捨てるのはもったいない。
それで、私より年配の方に「何か要る物があれば差し上げます」と、言うとみんな喜んで貰ってくれる。
しかし、私より年下の友達に「何か要るものがあればあげるよ」と、言うと皆、同様に要らないと答える。
昔は、今のように欲しい物がなかなか手に入らなかった時代で「物は大切にしなさい」という教育を受けた年配の方は、物をため込んでしまう方が多いようである。
年齢で差があるのはどうしてだろう?と、思い、若者に理由を聞いてみると「自分の物がたくさんあるので、もう、これ以上増やしたくない」と答える。
やはり、物が豊富な時代に育った若者とは考え方が違うと思った。
これは、断捨離という言葉が世の中に浸透しているからかもしれない。
人にあげても喜んでもらえないし、どうしたらいいのだろう?と、思って考えているときに、突然良いアイデアが浮かんだようで、奥さんは、こう言ったのである。
奥さん:そうだ、いいことを思いついた。すぐに結果が出て手っ取り早い、リサイクルショップに売りに行くことにしよう。
家の中の要らない物は減って片付くし、現金は貰えるし、一石二鳥だわ!
すると、今度は主人が突然、はなし始めた。
おもしろそうな話題になるといつも会話に入ってきて、まったく調子のいい主人である。
主人:不用品を売ったお金で、焼き肉でも食べに行こうよ!
奥さん:捕らぬ狸の皮算用ね!じゃ、今から、私が、段ボール箱に詰めるから運ぶのを手伝ってね!
主人:合点承知の助だ!
吾輩:そうだったのか。これで、やっと、奥さんが、部屋の中をウロウロしている訳がわかって安心した。
吾輩は、奥さんのようすが少し変だったので、もしかしたら、認知症にでもなってしまったのか?と、少し心配していたところだった。
焼き肉か?そういえば、もう、ずいぶん食べてないなぁ?
もし、可能であれば、吾輩も、焼き肉が食べたいので、一緒に連れて行ってくれないかなぁ!多分、無理だろうなぁ?
奥さん:カメ子、カメ輔。今日、不用品をリサイクルショップに持って行ったら、こんなに高い値段で買ってくれたのよ!今から、おいしい物を食べに行ってくるからね、お利口にしていてね!
カメ子:やっぱり、一緒に行くのは無理か。奥さん、せめて、お土産ぐらいは、買ってきてくださいね!
主人:やったー、やったー!コロナが流行ってから3年間というもの、ずっと外食をしていなかったので、超うれしいなぁ。
奥さん:さあ、これから家の中の必要な物と不用品の整理をして、どんどんリサイクルショップに持って行くことにしよう!
そして、奥さんは、今から思うと身の毛もよだつような怖いことを言い始めたのである。
奥さん:でも、我が家で一番不要な主人は、どこのリサイクルショップでも買い取ってもらえない。
だって、どこのリサイクルショップでも「生き物はお断りします」って貼り紙があるから仕方がない。ああ、私が一番売りたいと思っていたのに、残念。
主人は、奥さんのその一言を聞き、愕然としたようすであった。
これが、我が家の「男捨離」である。
ああ~主人と同じ男である吾輩とカメ輔が、捨てられなくて本当に良かった。
こんなことを平気で言う奥さんって、本当は怖い人かもしれないなぁ?おお、こわ~!
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