カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第170話 火事です火事です

 

「火事です、火事です。火事です、火事です。すぐ避難してください」

ある日の深夜に大きな音で鳴り響く、けたたましい火災警報器の音。

どうやら、すぐ、近くのお宅が火事のようである。

吾輩とカメ輔は、この火災警報器の大きな音にびっくりして、飛び起きた。

カメ輔:カメ子兄ちゃん、なんだかよくわからないけど僕、怖いよ~。火事って何?

いったいどうなっちゃうの?

カメ子:カメ輔、落ち着け!僕もどうなっているか?よくわからないが、いざとなれば、きっと奥さんが助けてくれるから大丈夫だよ!

と自分を落ち着かせるようにカメ輔に叫んだ。

この火災警報器の大きな音にびっくりして、主人と奥さんも飛び起きた様子である。

主人:おい、起きろ、火事だぞ!火元は我が家ではなさそうだなぁ。

ちょっと、外の様子を見てくる。

とだけ言い、奥さんと吾輩たちを部屋に残したまま自分だけ一目散に外へ出て行った。

奥さん:そう言って一人だけ先に逃げて!

もう、男って本当に自分勝手でいいかげんで、ずるいわ!

一人では、すべての物は持ち出せないし、大切な物とカメ子、カメ輔をどうしよう?

と奥さんは、部屋の中をただウロウロ歩き回っているだけだった。

そういう奥さんには、苦い思い出がある。

奥さんが、まだ、小さかった頃、突然大きな地震が起こった。

この地震が起きた時も深夜で、奥さんはスヤスヤと眠っていた。

この時、奥さんの父親は隣で寝ていた母親と奥さんを起こそうともせず、自分だけ一目散に外へ飛び出して行き、地震の揺れが収まってからバツが悪そうに戻って来た。

この時から奥さんは、いざというとき男は、我先に逃げる者だということを悟ったようである。

奥さん:私ひとりでは、すべての物は運び出せない。命が一番大切だ!

仕方がない、大切な物も諦めて、すぐ避難しよう。

と思った。

奥さんは、自分が持てるだけの大切な物をリュクサックに詰め込んで外へ避難した。

外に出ると、すでに大勢の見物人が集まっていた。

その中に、一際目立っている赤い丹前を着た変なおじさんを見つけた。

その男性の顔をよく見ると、なんと、主人ではないか?

奥さん:恥ずかしい。なんで、私の赤い丹前なんか着て避難したの?

すると、主人は答えた。

主 人:慌てていてそこら辺にある物を着て避難したんだ。

何を着て外に出たか?なんて覚えてないよ!

非常事態なんだから着る物なんて何でもいいじゃないか?         

奥さん:あなたは気にしなくても、私が恥ずかしいじゃないの。

もう、しっかりしてよ!

しばらくして、サイレンを鳴らし赤色灯をつけた消防車と1台のパトカーがやって来た。

しかし、消防士たちは、いつまでたってもホースを出すこともせず消火活動を開始しようとしない。

果たして本当に火事なのだろうか?

もしかして、殺人事件だったりして?

いったいどうなっているのだろうか?

と不安に思っていると、3人の警察官が火元と思われるお宅の中へ入って行き、事情聴取をしてパトカーに戻って来た。

そこで、好奇心旺盛な奥さんはすかさず、いちばん偉そうな警察官に質問してみた。

奥さん:火事じゃないのですか?

警察官:火事ではありません。大丈夫です。安心して家に戻ってください。

と言いパトカーに乗り込んでしまった。    

どうやら、この火災は、火災警報器の誤作動だったようである。

まったく、もう、真夜中に突然鳴りだすなんて、なんと人騒がせな火災警報器だ。

これから、家に戻ったら、一緒に連れて逃げなかったことをカメ子とカメ輔に何と言って謝ればいいのだろう。

と思いながら帰宅すると、案の定カメ子からの鋭い質問が飛んできた。

カメ子:僕たちは、奥さんの大切な家族じゃなかったの?

奥さんを信じていたのに・・・。僕は、奥さんを見損なったよ!

なぜ、一緒に連れて逃げてくれなかったの?

カメ輔:そうだ、そうだ。カメ子兄ちゃんの言うとおりだ。

僕も奥さんを信じていたのに・・・。見損なったよ!

奥さん:カメ子、カメ輔、本当にごめんなさい。

私ひとりでは、重たくてすべての物は運び出せなかったのよ!

文句を言うなら、先に逃げた主人に言ってよ。

カメ子:そうだ、いちばん悪いのは、ご主人様だ!

自分だけ先に逃げて、僕たちと奥さんを助けに戻って来てはくれなかった。

これからしばらくの間、主人が呼んでも無視しようかなぁ?   

カメ輔:そうだ、そうだ、それがいい。

僕も主人が呼んでも無視することに決めた。

そして、当分の間、この2人の怒りは収まりそうになかった。

でもね、本当の火事の時は、絶対に一緒に連れて逃げるから安心してね!

本当にごめんね。今回だけは、機嫌を直して許してね!

 

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【読者の皆様へ】

ペットも大切な家族の一員です。

何か一大事が起こったときは、可能な限り一緒に連れて逃げてあげてください。

そうじゃないと、ペットはあなたの行動をじっと見ているので、我が家のように大変なことになりますよ!