カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第182話未来からの訪問者 (入れ替わりシールPart2)


 吾輩は、しばらくの間、白いモヤに覆われていた。そして、その向こう側から突然黒い影が現れたのである。

「いったい何だろう?」と思い、恐怖心を抱いたが、それは、見覚えがある者だった。

そして、その黒い影が徐々に近づき、吾輩の前で立ち止まった。

すると、突然、謎の影にスポットライトがあたり、その正体が顕わになったのである。

その影の正体は、以前夢の中に出てきた西暦3000年に生まれる予定の我が子孫※1であった。

吾輩は彼に向かってこう言った。

カメ子:これは、これは、我が子孫ではないか。

いったいどうしたんだい?

すると、子孫からびっくりするような発言が飛び出してきたのである。

子孫:お久しぶりです。本日の奇想天外な体験はいかがだったでしょうか?

御先祖様が常日頃から「少しの間でいいから人間になって、その気分を味わってみたい」とおっしゃっていたので、私がそのようにして差し上げたのです。

そして、私達の時代に使われているおもしろい物を持ってきました。

それは、入れ替わりメカという物です。(子孫の前にその物体が二つ現れた。物体と言うよりはシールのようなものであった。あれっ、これは、洗面所の鏡で見たとき、吾輩の額に貼ってあった星の形をしたシールと同じ物ではないか?)

そして、それを御先祖様の頭に貼ると、シールを貼った人との間で入れ替わりが起こるのです。

シールを張ると、全てが入れ替わるわけではありません。

自分の意思、心はそのままで、五感や第六感※1、その人がこれまでに獲得した知識や思い出、性格、好み等が相手と入れ替わるのです。(そういえば吾輩は夢の中で、御主人様の生い立ちを経験し、家の中の鏡がある場所がわからないはずなのに、足が勝手に動き洗面所まで行っていたなぁ。)

実はこのシールは、30世紀の小学生の道徳の教材で使われている物なのです。

テーマは、「ことを成すとき、何事も相手の気持ちになって考えることが大事」ということで、実際に相手と入替わりを体験することができるシールなのです。

そして、入れ替わり体験終了後は、自然に元の自分に戻ることができるのです。

初めての入れ替わり体験はいかがでしたか?

御主人様の気持ちが少しは理解できましたか?

御先祖様に入れ替わったことで、御主人様を見る目が変わったのではないでしょうか?たぶん御主人様もご先祖様と同じようにショックを受けていることでしょう。

いつも吾輩は、30世紀の私の子孫に驚かされているが、今度ばかりは、恐れ入った。そして、最後に子孫はこいう言った。

子孫:これからも、御先祖様からの御要望があれば、いつでも馳せ参じますよ。と言う言葉を聞いた途端、急に眠気を催してきた。

そして、しばらくすると再び白いモヤが現れ、その向こう側にどこか見覚えがある光景が広がっていた。そこには、いつもの見慣れた水色の水槽があった。

どうやら吾輩は、眠りから覚めたようで、夢を見ていたようだ。

でも、今日の夢は、今までの夢とは違い光景もはっきり覚えているので、「もしかしたら、正夢かもしれない」と思い、水槽の表面に映っている自分の顔を覗いてみた。

すると、そこには、夢の中に出てきた星形のシールが映っているではないか。

やはりこれは正夢だったのか?

そして、夢の中に出てきた我が子孫は、もしかしたら、本物だったのかもしれない。

吾輩は、さっそく同じ星形のシールを額に貼っている御主人様に聞いてみることにした。

御主人様は、まだ、布団の中でスヤスヤと寝ていたが、吾輩はテレパシーを送り起こした。

すると、御主人様は、まだ、眠たそうな目をしていたが、水槽に来て、吾輩の顔を見た。そして、御主人様は、「朝早くからいったい何の用事だい?ワシはまだ眠たいのだよ」と言った。

吾輩は、「おはようございます」と言うや、御主人様の額を見た。

すると、御主人様の額には、あの星形のシールは付いていなかった。

吾輩は、「あれっ?」と思うや、今日夢の中に出てきた内容を御主人様に話したのである。すると、最後まで真面目に聞いていた御主人様は言った。

主人:なかなか面白い話だったので、最後まで聞いていたが、本当の話なのかなぁ?~ワシは、記憶がなくて、全く覚えていないよ。と言うと、再び床に就いてしまった。

吾輩は、自分の額にはシールが貼ってあり、記憶もあるのに、どうして、御主人様には、シールもなく、記憶もないのだろう?と思ったが、しばらく考えてから、ふと我が子孫が言ったことを思い出したのである。

子孫:連邦政府は未来が変わるほどの重要な情報が洩れないようにAIがブロックし、夢から覚める時には、その情報を消去するのです。

そのため人間である御主人様は、その情報を消されたのだと思います。

その一方、吾輩のテレパシーを理解することができる人間は、御主人様と奥さん以外にはいないので、情報が拡がることはないと思い、情報にブロックがかからなかったのではないかと思います。

読者の皆様、吾輩の推論をどう思いますか?

:第151話 未来からの訪問者Part1

 第152話 未来からの訪問者Part2

 第160話 お彼岸Part1

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