カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第142話 自我のめざめ

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                            (カメ輔の写真だよ!)

 今日も主人 と奥さんが、面白い話をしているようである。

いつものように、奥さんが話して、主人が聞き役だけどね!吾輩は、いつものことだが、今日も何もすることがないので、二人の話をじっくり聴くことにした。

奥さんの話は、こんな内容から始まった。

奥さん:私は昔、走るのが遅かったので、かけっこが苦手だった。

だから、運動会の1週間前から憂欝な気持ちになって落ち込んでいたのよ。

運動会を観に来た両親も、がっかりしていたわ。

でも、私は負けず嫌いなので、小学2年のときに、どうしたら、勝てるか考えて奥の手を使ったの。

それは、私のすぐ前を走っている人の髪の毛を引っ張ることだった。

その人は、いきなり後ろから髪の毛を引っ張られたので、こけてしまった。

そして、その人は、「誰かが私の髪の毛を後ろから引っ張った」と泣いてしまったの。

でも、私は、「髪の毛を引っ張ったりしていません」と知らんふりしたわ。

ビリにはなりたくなかったし、せっかく観に来てくれた両親をがっかりさせたくなかったのよ!

(ところが、その現場を目撃した母親は、「あんなことをするなんて、我が子ながら恥ずかしくて情けない」と言っていたらしい)

また、こんなこともあったわ。

私がまだ、幼稚園生で小さかったとき、鬼ごっこをして遊んでいたのよ。

そして、鬼に捕まりそうになったの。

そのとき、私は、とっさに鬼の腕に噛みついて泣かしたこともあったわ。

すると、その話を初めて聞いた主人は、びっくりし、半ばあきれていた。

そして、奥さんに言った。

主人:ふ~ん。ところで、「ペットは飼い主に似る」というが、カメ輔はお前に似ているのかなぁ?カメ輔は、確かお前が、今から5年ぐらい前に小ガメの里親に当選し、たくさんのカメの中から選んで我が家に連れて帰ったんだよなぁ。

そのカメ輔のことだが、ワシがカメ子を、「カメ子、カメ子」と呼ぶと、カメ子は近づいて来るが、カメ輔は、「カメ輔、カメ輔」と呼んでも全然近づいてこない。途中で止まってしまい、顔を甲羅の中に引っ込めてしまうんだ。これって、ワシは、カメ輔から怖がられているのかなぁ?あれから、もう、5年もたつのに、ちっとも心を開いてくれないよ。

もし、そうだとすると、お前と違って小心者みたいだなぁ。

「ペットは飼い主に似る」っていうのは、違うみたいだね。

すると、奥さんは言った。

奥さん:私は、たくさんニホンイシガメがいる中で、カメ輔を選んだ。

私に近づいて来て、「僕を選んで。僕を連れて行って」と自己アピールしてくる出しゃばりのカメや、全くアピールせずに後方でいじけているカメは選ばなかった。

カメ輔を選んだのは、群れの二番目辺りで、自己アピールしていたからよ。

いちばん前で自己アピールしてくるカメは、カメ子と喧嘩しそうだし、全く自己アピールをしないで後方でいじけているカメは、病気になって長生きはしそうではなかった。でも、決してカメ輔は、怖がりのカメじゃないわよ。私が、「カメ輔、カメ輔」と呼ぶと、すぐに寄って来るわ。

それに、カメ輔とカメ子を散歩させたとき、初めはカメ子がカメ輔の後を追ってお守りをしているが、最後は、カメ輔が勝手に好きな方向に歩いている。それが、カメ輔の本当の姿なのよ。私には、カメ輔が近づいてくるのに、あなたには近づいて行かないということは、もしかしたら、カメ輔はあなたのことが好きじゃないかもしれないわね。あなたは、何かカメ輔に嫌われるようなことをしたの?

それを聞いた主人は、一瞬、愕然とした様子で、奥さんにくってかかった。

主人:えっ、まさかそんなことはないと思うよ。

だって、カメ輔にも「カメ輔、カメ輔」と声を掛けているし、ワシは、カメ子と同じようにカメ輔も好きだよ。

すると、奥さんは、天井を見上げながら、フーッと息を吐いて言った。

奥さん:確かにカメ子と同じようにカメ輔にも声を掛けているわね。でも、声を掛ける順番をよく考えてよ。これまで私達は、長幼の序※1をもって、年長のカメ子の方から声を掛けていたわね。カメ子にとっては、先に「カメ子、カメ子」と言われて心地よかったかもしれないけれど、カメ輔にとっては気に食わなくなったかもしれないわよ。

カメ輔が小さいときは、何もわからなかったかもしれないけど、今では、「どうして?」と思うようになったかもしれないわね。

それに、今思うと、私達は「カメ輔は人間の言葉なんてわからない」と、カメ輔の前で、不細工とか小心者とか言ってきた。

そして、とうとうカメ輔は人間の言葉を理解できるようになってしまった。

カメ輔に「自我のめざめ」がやって来たかもしれないわね。

そして、自我がめざめたうえで、カメ輔は私のことが好きになったようだし、あなたは嫌いになったみたいね。

すると、主人は、ついにいたたまれず、水槽の中にいるカメ輔に向かって言ったのだ。

主人:おい。カメ輔。本当にワシのことが嫌いなのか?

でも、いったい、どうして?

すると、カメ輔は突然、顔を甲羅の中に引っ込め、案の定何も返事はしなかった。

(カメ輔が返事したところで、主人はカメ語を理解できないものね)

そこで、吾輩は、カメ輔に主人に対する気持ちをそっと聞いてみた。

 

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【後記】

「ペットは飼い主に似る」と言いますが、二番目辺りで、自己アピールしているカメ輔って、意外と奥さんに似ているのかもしれません。というのは、その当時の奥さんは負けず嫌いの女の子である一方、人前に出た時は、顔が真っ赤になってしまうほど、おとなしいごく普通の女の子だったそうです。

一方、主人とカメ子(実はカメ子を里子として選んだのは主人なのです)の関係性をみれば、長男でイケメン?な主人に対し、カメ輔の兄貴で男前のカメ子と、境涯や外見はよく似ているようです。

しかし、性格は、総領の甚六(じんろく)の主人に対し、カメ子の性格は「さじい」ようで、随分違っていますね。

果たして、皆様のご家庭のペットは、いかがでしょうか?

 

長幼の序:年長者と年少者との間で、守るべき順序関係のこと。

総領の甚六:長子は大事に育てられるので、その弟妹よりもおっとりしていたり、世間知らずであったりするということ。

さじい※3:すばしっこい、転じて意地が悪い人(大分地方の方言)