白いモヤの向こうから、突然黒い影が現れた。
いったい何者だろう?と一瞬、恐怖を感じたが、それは、見覚えがある、親しみのある形をしていた。
そして、その黒い影が徐々に近づいて来て、ついに吾輩の前で立ち止まった。
すると、突然、謎の生物にスポットライトがあたり、その正体が顕わになった。
その謎の生物の正体は、カメであった。吾輩はそのカメに向かって尋ねてみた。
カメ子:あなたは、いったい誰なの?
すると、そのカメからビックリするような発言が飛び出してきたのである。
黒い影:私は、あなたの子孫のカメ子と申します。
30世紀の未来からやって来ました。尊敬するあなたのカメ子というお名前を勝手に拝借させて頂いております。あなたが困っている時、微力ながらお役に立ちたいと存じます。故あって、あなたの夢の中でお目にかかることになりました。
吾輩は、我が子孫の突然の登場にびっくり仰天し、頭の中が真っ白になり、この後、何を言っていいのかわからなかった。そして、しばらくして落ち着き、一言を発した。
カメ子:えっ、吾輩の子孫のカメ子? すると、カメ子は
カメ子(子孫):あなたがびっくりするのも無理はありません。
1000年前は、平安中期にあたり、紫式部や清少納言が活躍していた時代です。
彼女達も、1000年後の世界は想像もつかなかったことでしょう。
だから、あなたの気持ちもわかります。と少し脅かすように言うと、カメ子は、恐る恐る話し始めた。
カメ子:ところで、あなたは30世紀の世界で何をしているの?
自然界で暮らしているの?それとも、吾輩のように人間と一緒に暮らしているの?
すると、子孫は、雄弁に話し始めたのである。
カメ子(子孫):これから、もっとびっくりするようなことを言いますので、覚悟して聞いてくださいね。
30世紀の世界では、カメは人間社会に参画して、一緒に仕事をしています。
私は、現在、会社を立ち上げて社長をしております。
どうして、カメのステータスがこんなに高くなったかというと、西暦2112年に、ある動物学者が犬、猫とカメ等の動物には、人間が想像する以上の能力が備わっているということを実験で証明したのです。そして、彼らには共通の言語があり、人間にはわからないテレパシーで会話をしていることがわかったのです。人間はこの事実に驚愕しました。そして、それから50年後の2162年には、ついにその言語が解読され、テレパシーも解明されたのです。
ところが、彼らは、人間と比べ語彙力と脳の記憶容量が少ないことが判明し、このことが、さらに大きな壁として立ちはだかったのです。たとえ、会話ができるようになっても、彼らの語彙力と記憶容量の少なさで長続きはしませんでした。そこで、人間は、いかにして彼らの語彙力と記憶容量を増やすべきか、連日連夜格闘しました。
そして、それから49年後の2211年、動物達の脳の記憶容量を増やすことが成功しました。それは、あるチップを脳に埋め込み、動物達の記憶容量を増やす方法です。
そして、彼らの記憶容量がようやく人間の3分の1程度になったのです。
「えっ、この程度で大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、これぐらいでも大丈夫なのです。人間も、一生の間に、そんなにたくさんの記憶容量を使ってはいないのです。
でも、問題はこれで解決したわけではありません。我ら動物達には、語彙力をつける必要があったのです。
ライバルである他の動物たちに勝つために一生懸命勉強し、そして、ついに私は、今の地位を勝ち取ることができたのです。
ここでやっと、我が子孫の話が終了した。吾輩は、この話を初めて聞いたので、何も言葉が出なかった。
もし、この話が本当だとすると、吾輩が生きているうちには間に合わないが、吾輩の子孫、いや、カメにとっては、素晴らしい人生が待っていることになるだろう。
我が子孫よ、いい話を聞かせてくれてどうもありがとう。
吾輩は、なんだか元気が出てきたが、その時、ふと思ったことがある。
でも、ちょっと待てよ?
吾輩に子孫がいるということは、吾輩は将来結婚して伴侶がいるということになるなあ?
吾輩は、生涯独身を貫こうと思っていたのに・・・。
(また、カメ子の妄想?が始まったようである)
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【後記】
カメ子にとって子孫の登場は、本当にカルチャーショックだったようですね。
次回のお話は、地球の未来について、読者の皆様がびっくりするようなことを紹介する予定です。
そして、ついに【アレ】が登場します。
果たして、【アレ】って、いったい何でしょう?
次回の話を楽しみにしてくださいね!