今日は、「こどもの日※1」だそうだ。
人間の社会には、いろいろお祝いの日があって良いなぁ。
だって、カメの社会には、お祝いの日なんてないよ。
僕なんか、祝ってくれる親もいないよ。
即「唯我独尊」で生きていかなくちゃいけないんだ。
あっ、そうそう、ご報告が遅れましたが、今回も前回に引き続き、僕、カメ輔が担当することになりましたので、読者の皆様、どうぞよろしくお願い致します。
現在、僕にとって「旬」にあたる時期なのか、今風に言う「モテ期」到来という時期なのかなぁ。
昨夜、主人が僕の傍にそっと近寄り、「明日、お前を撮影するので、心の準備をしておけよ」と小さな声で囁いた。
その時、僕は「【こどもの日】と何か関係があるのかな?」と思った。
そして、「やっと、僕を撮ってくれるんだ」と思い、嬉しさがこみ上げてきた。
【捕らぬ狸の皮算用】かなぁ?
でも、次第に「僕が一番若くて、一人前じゃないので、僕を撮るんだな」とも思えてきた。
僕も、今年で5歳になる。
身体の大きさも、カメ子兄ちゃんとそれほど変わらなくなってきたのに悔しいなぁ。
僕の心は、だんだんと萎えてきた。
その一方で、どうして、主人が僕に、ひそひそ話をしたのか?
もしかして、カメ子兄ちゃんには、内緒にしているのかなぁ?
もしそうだとしたら、僕一人で出演するのは、カメ子兄ちゃんに悪いなぁ。
僕の頭の中は、パニック状態になった。
おかげで、その夜は、寝付きが悪く、睡眠不足で目覚めが悪い朝を迎えることになった。
主人は、さっそく、僕とカメ子兄ちゃんをベランダに連れて行き、甲羅を洗ってくれた。
今日のが、いつもとちょっと違うと感じたのは、歯ブラシを使い入念にゴシゴシ洗ってくれたからだ。
どうも、カメ子兄ちゃんより、僕の方に力が入っているように思えた。
僕は、今までにないような緊張感と心が洗われるような気持ちでいっぱいになった。
次第に、頭はスッキリし、寝不足で虚ろな気持ちも、いつの間にか、吹っ飛んでしまった。
カメ子兄ちゃんも、いつもこんな気持ちで撮影に臨んでいたのかなぁ?
主人は、二人の甲羅掃除が終わった後、いつものように、僕とカメ子兄ちゃんと向かい合わせに置いた。
今度も、カメ子兄ちゃんは、にらめっこをした後、僕の後ろ側に回り甲羅の上に載ってきたが、いつもと何も変わらない様子だった。
やはり、カメ子兄ちゃんは、今日の撮影のことは何も知らないのかなぁ?
そして、時が過ぎ、撮影の時間になった。予想どおり、僕だけが、いつもの撮影会場に連れて行かれた。
僕は、「カメ子兄ちゃん、ごめんね」と、心の中で謝った。
僕が、カメ子兄ちゃんの楽しみを奪ったような気がして申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
その時、「僕もお兄ちゃんの分まで頑張ろう」と覚悟を決めた。
そして、子供から一人前の大人になった、カメ輔を見せてやろうと思った。
撮影会場には、以前、カメ子兄ちゃんと一緒に撮影したときに使用した「ひな壇」が置かれてあった。
そして、そこには、何か得体の知れない物体が、2つ※2並べられていた。
「いったい、これはなんだろう?」と思っていると、奥さんが僕に近づき、何かを甲羅の上に付け始めたのである。
そして、あの悪夢の出来事を思い出し、(第108話 銀幕デビュー)
「今度こそ、同じ轍を踏まないぞ」と心にかたく誓った。
あの時は、奥さんが僕の甲羅に何かを付けようとしたので、それを振り落とそうとして暴れ、僕とカメ子兄ちゃんのツーショット写真が、幻になってしまった。
そして、また、今度も、得体の知れぬ2つの物体を甲羅の上に付けてきたのだ。
非常に不気味で、気持ちが悪い。
ああ、また、振り落としたくなり、お尻をフリフリしたい気持ちになってきた。
しかも、そのうちの1つが、長ったらしくて、足にからまってきた。
「まったく困ったもので、我慢の限界だ」と思った。そして、ようやく、装着が終わった。
今度は、我慢が出来、なんとかもちこたえることが出来たので、「あ~ホッとした」と思い、第一関門を突破することができた。
でも、これで、安堵することはなく、次の試練が待っていた。
奥さんが、スマホを持って、僕をフォーカスしながら後退りを始めた。
ついに、撮影が始まったのだ。
果たして、子供から一人前の大人へと成長した、カメ輔の姿を、
読者の皆様がご覧頂けるかどうか?
次回を、乞うご期待!
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こどもの日※1:日本における国民の祝日の一つで、端午の節句である5月5日に制定されている。 祝日法2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨である。1948年7月20日の祝日法の公布および即日施行により制定。ゴールデンウィークを構成する日の一つである。
2つ※2:兜(かぶと)と鯉のぼり (出典先:Wikipedia)