僕は、甲羅の中に引っ込めていた首を伸ばし、辺りを見渡した。
そして、スマホをじっと見つめていたが、僕は、まだ、動かなった。
「動かざること岩のごとし」だ。
子供じゃあるまいし、二度と同じ失敗はしないよ。
そして、スマホとにらめっこが、2分間ほど続いたかな?
奥さんが僕に向かって言葉を発し、遂に、事態が動いた。
奥さん:カメ輔、お疲れさま。さあ、少し休憩しょう。
もう少ししたら、第2ラウンドを始めるからね。
この後、主人と奥さんとの間で、ハッとするような言葉が交わされることになった。
主人:さすがだね。前と違って、カメ輔は成長したね。
すると、すかさず、奥さんが言い返した。
奥さん:そうかなぁ?カメ輔が動かないのは、小心者だからじゃないの?
すると、主人も負けてはおらず、少しムッとした様子で言った。
(僕もムカッとしたよ。ご主人、頑張って)
主人:それは違うよ。
奥さんは、そういう主人の言動に呆れた様子で、
「さあ、第2ラウンド、本番を始めるわよ」と言って、撮影を始めたのである。
「さて、今度はどうするか?動くべきか?動かざるべきか?」
時間は刻々と過ぎていき、悩んだ末、遂に決心した。
今だ。50cm位離れた奥さんのスマホに向かって、ゆっくりと歩いて行った。
そして、奥さんの目の前まで進んだとき、奥さんは、僕を捕まえて言った。
奥さん:カメ輔、ご苦労さん。とっても良かったわよ。
速くもなく、ゆっくりでもなく、ちょうど良いスピードで歩いてくれてありがとう。
おかげで、うまく撮れたわ。
すると、それを聞いていた、主人も即座に答えた。
主人:随分上手くなったじゃないか。上出来だよ。
カメ輔も、大人になったなぁ~きっと出来ると思っていたよ。ご苦労さん。
森田健作の「俺は男だ」じゃないが、カメ輔は、「俺は大人だ」だよな。
また、主人の、訳のわからない言葉の会話が始まったようだ。
そんな中、僕は、主人の話を聞いていて、なぜ、僕だけを撮影したのか?
その理由がわかったような気がしてきた。
ところが、奥さんがある物を見つけてから、奥さんのあきれた顔が、
「ここに極まれり」になった。
そのある物とは、ペット用シーツの上に転がっていた僕の大きなウンチのことである。
それを見つけて、奥さんが吠えた。
奥さん:やっぱり、カメ輔は小心者だったみたいね。ビビッて、脱糞したじゃないの。
僕は、それを聞き、かっとなって、遂に、頭に血がのぼってしまった。
そして、間髪入れずに、主人の反撃が始まった。
主人:カメ輔だって、緊張していたのだから仕方がないじゃないないか。
人間だって、緊張すると失禁や脱糞をしてしまうだろ。
だったら、カメ輔もしょうがないよ!
それに、カメ輔も気を使って、ペット用シーツの上にだけしたじゃないか。
カメ輔は、緊張しながらも、ちゃんとモデルという役目をまっとうしたぞ。
少しぐらい、カメ輔を褒めてあげろよ。
カメ輔は、じっと聞いているよ。
僕は、主人の発言を聞いて、涙?が出てきた。
そして、僕は、主人に「応援してくれてありがとう」と心の中で感謝をした。
一方、奥さんは、その後、返す言葉を失ったのか、主人に反論することはなく、
今までにないような神妙な顔つきになった。
僕は、その時、「ようやく、奥さんも、僕のことを大人として認めてくれたのかな」と
秘かに喜んだ。
僕は、この後、マイホームの水槽に戻された。
そして、隣の水槽にいるカメ子兄ちゃんに今日の出来事を話し、
最後に、こう言って締めくくった。
カメ輔:カメ子兄ちゃん、僕はもう、子供じゃないよ。大人になったんだよ。
これから、僕もモデルとして、頑張るから、応援してね。
ところが、カメ子兄ちゃんからの返事はなかった。
なしか?
↑ ↑ ↑
ランキングに参加中です!
無料ですのでポチッとして応援してくださいね!
↑ ↑ ↑
ランキングに参加中です!
無料ですのでポチッとして応援してくださいね!
↑ ↑ ↑
ランキングに参加中です!
無料ですのでポチッとして応援してくださいね!
↑ ↑ ↑
ランキングに参加中です!
無料ですのでポチッとして応援してくださいね!
【追記】
撮影終了後、奥さんは、早速SNSに投稿した。
すると、もの凄い反響があり、800ほどの「いいね」が返ってきた。
そして、そのほとんどのコメントは、「カメ輔くん、可愛い。カッコイイね!」と
いうものであった。
このことを、カメ輔が聞いたらどれだけ喜ぶであろうか。
その中でも、特におもしろいコメントがあったので、
読者の皆様へご紹介したいと思います。
「カメ輔君 かっこいい!まるで、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)みたいですね。」というコメントです。
カメ輔が身にまとっていた「長ったらしくて、足にからまってきた。物体」を見て、
そう思ったのでしょうか?
カメ輔が言っていた、この物体というのは、裃(かみしも)のことなのです。
ちなみに、もう一つの得体の知れぬものとは、柏餅のことでした。
こどもの日※1:日本における国民の祝日の一つで、端午の節句である5月5日に制定されている。 祝日法2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨である。1948年7月20日の祝日法の公布および即日施行により制定。ゴールデンウィークを構成する日の一つである
( 出典先:wikipedia)