カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第116話 俺は大人だ Part2

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   僕は、甲羅の中に引っ込めていた首を伸ばし、辺りを見渡した。

そして、スマホをじっと見つめていたが、僕は、まだ、動かなった。

「動かざること岩のごとし」だ。

子供じゃあるまいし、二度と同じ失敗はしないよ。

そして、スマホとにらめっこが、2分間ほど続いたかな?

奥さんが僕に向かって言葉を発し、遂に、事態が動いた。

奥さん:カメ輔、お疲れさま。さあ、少し休憩しょう。

もう少ししたら、第2ラウンドを始めるからね。

この後、主人と奥さんとの間で、ハッとするような言葉が交わされることになった。

主人:さすがだね。前と違って、カメ輔は成長したね。

すると、すかさず、奥さんが言い返した。

奥さん:そうかなぁ?カメ輔が動かないのは、小心者だからじゃないの?

すると、主人も負けてはおらず、少しムッとした様子で言った。

(僕もムカッとしたよ。ご主人、頑張って)

主人:それは違うよ。

奥さんは、そういう主人の言動に呆れた様子で、

「さあ、第2ラウンド、本番を始めるわよ」と言って、撮影を始めたのである。

「さて、今度はどうするか?動くべきか?動かざるべきか?」

時間は刻々と過ぎていき、悩んだ末、遂に決心した。

今だ。50cm位離れた奥さんのスマホに向かって、ゆっくりと歩いて行った。

そして、奥さんの目の前まで進んだとき、奥さんは、僕を捕まえて言った。

奥さん:カメ輔、ご苦労さん。とっても良かったわよ。

速くもなく、ゆっくりでもなく、ちょうど良いスピードで歩いてくれてありがとう。

おかげで、うまく撮れたわ。

すると、それを聞いていた、主人も即座に答えた。

主人:随分上手くなったじゃないか。上出来だよ。

カメ輔も、大人になったなぁ~きっと出来ると思っていたよ。ご苦労さん。

森田健作の「俺は男だ」じゃないが、カメ輔は、「俺は大人だ」だよな。

また、主人の、訳のわからない言葉の会話が始まったようだ。

そんな中、僕は、主人の話を聞いていて、なぜ、僕だけを撮影したのか?

その理由がわかったような気がしてきた。

ところが、奥さんがある物を見つけてから、奥さんのあきれた顔が、

「ここに極まれり」になった。

そのある物とは、ペット用シーツの上に転がっていた僕の大きなウンチのことである。

それを見つけて、奥さんが吠えた。

奥さん:やっぱり、カメ輔は小心者だったみたいね。ビビッて、脱糞したじゃないの。

僕は、それを聞き、かっとなって、遂に、頭に血がのぼってしまった。

そして、間髪入れずに、主人の反撃が始まった。

主人:カメ輔だって、緊張していたのだから仕方がないじゃないないか。

人間だって、緊張すると失禁や脱糞をしてしまうだろ。

だったら、カメ輔もしょうがないよ!

それに、カメ輔も気を使って、ペット用シーツの上にだけしたじゃないか。

カメ輔は、緊張しながらも、ちゃんとモデルという役目をまっとうしたぞ。

少しぐらい、カメ輔を褒めてあげろよ。

カメ輔は、じっと聞いているよ。

僕は、主人の発言を聞いて、涙?が出てきた。

そして、僕は、主人に「応援してくれてありがとう」と心の中で感謝をした。

一方、奥さんは、その後、返す言葉を失ったのか、主人に反論することはなく、

今までにないような神妙な顔つきになった。

僕は、その時、「ようやく、奥さんも、僕のことを大人として認めてくれたのかな」と

秘かに喜んだ。

僕は、この後、マイホームの水槽に戻された。

そして、隣の水槽にいるカメ子兄ちゃんに今日の出来事を話し、

最後に、こう言って締めくくった。

カメ輔:カメ子兄ちゃん、僕はもう、子供じゃないよ。大人になったんだよ。

これから、僕もモデルとして、頑張るから、応援してね。

ところが、カメ子兄ちゃんからの返事はなかった。

なしか?

 

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【追記】

 撮影終了後、奥さんは、早速SNSに投稿した。

すると、もの凄い反響があり、800ほどの「いいね」が返ってきた。

そして、そのほとんどのコメントは、「カメ輔くん、可愛い。カッコイイね!」と

いうものであった。

このことを、カメ輔が聞いたらどれだけ喜ぶであろうか。

その中でも、特におもしろいコメントがあったので、

読者の皆様へご紹介したいと思います。

「カメ輔君 かっこいい!まるで、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)みたいですね。」というコメントです。

カメ輔が身にまとっていた「長ったらしくて、足にからまってきた。物体」を見て、

そう思ったのでしょうか?

カメ輔が言っていた、この物体というのは、裃(かみしも)のことなのです。

ちなみに、もう一つの得体の知れぬものとは、柏餅のことでした。

 

こどもの日日本における国民の祝日の一つで、端午節句である5月5日に制定されている。 祝日法2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨である。1948年7月20日祝日法の公布および即日施行により制定。ゴールデンウィークを構成する日の一つである

( 出典先:wikipedia)

 

 

 

 

第115話 俺は大人だ Part1

  

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 今日は、「こどもの日」だそうだ。

人間の社会には、いろいろお祝いの日があって良いなぁ。

だって、カメの社会には、お祝いの日なんてないよ。

僕なんか、祝ってくれる親もいないよ。

即「唯我独尊」で生きていかなくちゃいけないんだ。

あっ、そうそう、ご報告が遅れましたが、今回も前回に引き続き、僕、カメ輔が担当することになりましたので、読者の皆様、どうぞよろしくお願い致します。

現在、僕にとって「旬」にあたる時期なのか、今風に言う「モテ期」到来という時期なのかなぁ。

昨夜、主人が僕の傍にそっと近寄り、「明日、お前を撮影するので、心の準備をしておけよ」と小さな声で囁いた。

その時、僕は「【こどもの日】と何か関係があるのかな?」と思った。

そして、「やっと、僕を撮ってくれるんだ」と思い、嬉しさがこみ上げてきた。

【捕らぬ狸の皮算用】かなぁ?

でも、次第に「僕が一番若くて、一人前じゃないので、僕を撮るんだな」とも思えてきた。

僕も、今年で5歳になる。

身体の大きさも、カメ子兄ちゃんとそれほど変わらなくなってきたのに悔しいなぁ。

僕の心は、だんだんと萎えてきた。

その一方で、どうして、主人が僕に、ひそひそ話をしたのか?

もしかして、カメ子兄ちゃんには、内緒にしているのかなぁ?

もしそうだとしたら、僕一人で出演するのは、カメ子兄ちゃんに悪いなぁ。

僕の頭の中は、パニック状態になった。

おかげで、その夜は、寝付きが悪く、睡眠不足で目覚めが悪い朝を迎えることになった。

主人は、さっそく、僕とカメ子兄ちゃんをベランダに連れて行き、甲羅を洗ってくれた。

今日のが、いつもとちょっと違うと感じたのは、歯ブラシを使い入念にゴシゴシ洗ってくれたからだ。

どうも、カメ子兄ちゃんより、僕の方に力が入っているように思えた。

僕は、今までにないような緊張感と心が洗われるような気持ちでいっぱいになった。

次第に、頭はスッキリし、寝不足で虚ろな気持ちも、いつの間にか、吹っ飛んでしまった。

カメ子兄ちゃんも、いつもこんな気持ちで撮影に臨んでいたのかなぁ?

主人は、二人の甲羅掃除が終わった後、いつものように、僕とカメ子兄ちゃんと向かい合わせに置いた。

今度も、カメ子兄ちゃんは、にらめっこをした後、僕の後ろ側に回り甲羅の上に載ってきたが、いつもと何も変わらない様子だった。

やはり、カメ子兄ちゃんは、今日の撮影のことは何も知らないのかなぁ?

そして、時が過ぎ、撮影の時間になった。予想どおり、僕だけが、いつもの撮影会場に連れて行かれた。

僕は、「カメ子兄ちゃん、ごめんね」と、心の中で謝った。

僕が、カメ子兄ちゃんの楽しみを奪ったような気がして申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

その時、「僕もお兄ちゃんの分まで頑張ろう」と覚悟を決めた。

そして、子供から一人前の大人になった、カメ輔を見せてやろうと思った。

撮影会場には、以前、カメ子兄ちゃんと一緒に撮影したときに使用した「ひな壇」が置かれてあった。

そして、そこには、何か得体の知れない物体が、2つ※2並べられていた。

「いったい、これはなんだろう?」と思っていると、奥さんが僕に近づき、何かを甲羅の上に付け始めたのである。

そして、あの悪夢の出来事を思い出し、(第108話 銀幕デビュー)

「今度こそ、同じ轍を踏まないぞ」と心にかたく誓った。

あの時は、奥さんが僕の甲羅に何かを付けようとしたので、それを振り落とそうとして暴れ、僕とカメ子兄ちゃんのツーショット写真が、幻になってしまった。

そして、また、今度も、得体の知れぬ2つの物体を甲羅の上に付けてきたのだ。

非常に不気味で、気持ちが悪い。

ああ、また、振り落としたくなり、お尻をフリフリしたい気持ちになってきた。

しかも、そのうちの1つが、長ったらしくて、足にからまってきた。

「まったく困ったもので、我慢の限界だ」と思った。そして、ようやく、装着が終わった。

今度は、我慢が出来、なんとかもちこたえることが出来たので、「あ~ホッとした」と思い、第一関門を突破することができた。

でも、これで、安堵することはなく、次の試練が待っていた。

奥さんが、スマホを持って、僕をフォーカスしながら後退りを始めた。

ついに、撮影が始まったのだ。

果たして、子供から一人前の大人へと成長した、カメ輔の姿を、

読者の皆様がご覧頂けるかどうか?

次回を、乞うご期待!

 

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こどもの日日本における国民の祝日の一つで、端午節句である5月5日に制定されている。 祝日法2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨である。1948年7月20日祝日法の公布および即日施行により制定。ゴールデンウィークを構成する日の一つである。

 

2つ:兜(かぶと)と鯉のぼり  (出典先:Wikipedia

第114話 朋あり遠方より来る Part2

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 さあ、今回のお話は「朋あり遠方より来る」の最終章だよ!

前回の話では、ユッカ姉さんが、僕の触れて欲しくないところに、ドンドン踏み込んできた話で、僕が、耐えきれず、反撃を開始しようと思ったときも、ユッカ姉さんのおしゃべりが続いたんだよなぁ。

ところが、今回は、僕の知らない真実がどんどん出てきて、話しは意外な方向に進むことになるんだよ!

さあ、お話しを始めるよ!

準備は、いいかぇ?

 

ユッカ*1:あなたの良さは、皆がわかっているからね。嫌なことを言われても、我慢しなさいよ!

そこで、あなたの知らないことを、ちょっとだけ、教えてあげるわね!

実はね、カメ子兄ちゃんと今は亡きカメ吉がここに来る前に、私には、無二の親友がいたのよ。

名前はドラセナ*と言って、私以上に背がスラッとしていて美人だったの。

私に似て?美人薄命で、寒さに耐えきれずに死んでしまい、私は、ショックのあまり、水も喉を通らず?死にそうになったことがあったのよ。

その時、主人と奥さんは、やつれた私を慰めてくれ、とても大切に育ててくれたわ。

特に主人は、「ドラセナのようには、死なせない」と言い、ストーブの近くに置いてくれ、私の体(葉っぱ)を優しく撫でてかわいがってくれたの。

主人達は、私の命の恩人で、とても感謝をしているわ。

そして、その後、しばらく経ってから、カメ子兄ちゃんとカメ吉がこの家にやって来たのよ。

でも、その時の私は、カメが、苦手で生理的に受け付けなかったのよ!

(あなたには悪いとは思うけど、仕方が無いの、ごめんね)

だから、自分からは一度も、話しかけたことがなかったの。

そして、しばらくしてから、あなたがここへやって来たのよ。

あれから毎日、カメという異生物を見ていて、免疫ができていたのか、私は、あなたを初めて見た時、ビビッときたのよ。

あなたの顔は、決してハンサムとは言えないけれど、(一言多いぞ!)とても愛嬌がある顔だったので、あなたには、自分から声をかけたのよ。

そんな訳で、決して主人や奥さんを憎んではいけないよ。

主人達は、カメ子兄ちゃんにはない、あなたの良いところをちゃんとわかっているわよ!それに、私をはじめ、皆、あなたの味方なのよ。

ユッカ姉さんの熱弁で、僕は、ユッカ姉さんに対しての見方が大きく変わり、

「ありがとう」と素直に言える気持ちになった。

ちょうどその時、主人が、僕に向かって話しかけてきた。

主人:お~二人で何か良い話しが出来たか?

カメ輔、お前にとって、ユッカは、「朋あり遠方より来る」だなぁ。

でも、真の友って、意外に近くにいたようだな。お前にも、「刎頸の友」が出来たじゃないか。真の友っていうのは、見た目や言葉使いだけじゃないぞ、良かったなぁ。

おめでとう。

日頃は、「また、主人が古い言葉使いをし、訳のわからないことを言っている」と呆れているのであるが、今回はいつもとは違い、まるで、僕とユッカお姉さんの会話が完全に分かっているかのようであった。

僕は、内心、ゾ~として背筋が凍り付くようだった。

この後、僕は、水槽に戻り、ユッカ姉さんの植木鉢も水槽の横に置かれた。

そして、僕は、ユッカ姉さんの方に向かって囁いた。

カメ輔:僕は、これからも、ユッカ姉さんのことを大切にするよ!

カメ子兄ちゃんに言えない悩みがあったときは、相談にのってくれる?

ねえ、ユッカ姉さん、何か、言ってよ!

でも、ユッカ姉さんからの返事はなかった。

僕は、「あれっ、主人と会話をした後から、ユッカ姉さんは、僕に話しかけてこなくなったなぁ。いったい、どうしたのだろう?」と思った。

この後、僕は、主人のいる方を向き、言った。

カメ輔:ユッカ姉さんから色々と、話しを聞き、主人って本当に優しい人だなぁ。と、思ったよ!

これから、いろいろ御迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、末永く

よろしくお願いします。

主人は、今まで自分には決して近づかない僕が近寄って来たので、とても驚いた様子であったが、ニコニコ微笑みとても嬉しそうだった。

  

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ユッカ*北アメリカ大陸から中米に47種が自生。耐寒性のあるものが多く、多くは庭園材料として用いられている。

 

ドラセナ*:熱帯アジアや熱帯アフリカに分布している常緑性の中低木。

 

朋あり遠方より来る*

 心の友と呼べるような親友が遠くから訪ねてきてくれること。

(たいへん嬉しく、楽しいこと)

 論語(ろんご)』の開巻第一に出てくる言葉。

第113話 朋あり遠方より来る Part1

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 僕、カメ輔。今回のブログは、僕が担当することになったので、皆様よろしくお願い致します。どうして、今回は、僕が担当することになったかというと、今日は、僕にとって、特別な日になる予感がしたからなんだ。

さてと、お話を始めるか。

主人は 、ベランダで僕の水槽の掃除を始めた。

その間、僕は、久しぶりにベランダの探検をしていた。

まず、首を長く伸ばし、辺りを見渡して、右側に進むことに決めた。

進行方向の前方には、植木鉢が見えた。その植木鉢には、小さな植物が植えてあった。「あれっ、以前見たことがあるぞ?」とも思ったが、花もない地味な植物だったので、無視してさらに進むことにした。

すると、どこからか、かすかに声が聞こえてきたのである。

耳を澄まして良く聞いてみると、「なぜ、知らんぷりするの!あなたに話しかけているのよ!」という声がした。

その声の主は、どうも、女性の声のようである。

僕は、声が聞こえる後ろの方を振り向いたが、そこには誰もいなかった。

そこにあるのは、花も咲いていない地味な植物だけであった。僕は、「気のせいかな?」と思ったが、その声は、地味な植物から出ていたのだった。そして、再び、その植物から声が発せられたのである。

植物:なんて鈍いの?それとも、無視しているの?ほんと、飽きれちゃうわ。私よ。ユッカ姉さんだよ。もう忘れちゃったの?

僕は、一瞬、「誰だったかな?」と思ったが、以前、話したことがある、口の悪い、あのお姉さんのことを思い出した。

そうだ、ユッカ姉さんだ。

すると、顔の表情が変わった僕を観て、ユッカ姉さんは言った。

ユッカ:ようやく、気が付いたようね。どうせ、私のことを、口の悪い姉さんだと思っているのでしょう。(姉さんには、僕の心は、お見通しのようである)でも、カメ子兄ちゃんと違って若いので、昔のことを直ぐに思い出すことができたわね。

さすがだわ。

そして、さらにユッカ節が続いた。

ユッカ:少し観ない間に、立派になったわね。

でも、あなたとカメ子兄さんのことは、ずっと観ていたのよ。だって、あなた達の傍には、いつも私がいたのよ。

それにしても、あなたは、いつも良く耐えて頑張っているわね。感心するわ。だって、主人達は、カメ子兄ちゃんばかり可愛がっているでしょ。あなたにはそんな風には感じてないの?可哀そうに。

僕にとって、グサッとくる言葉であった。寝た子を起こされた気分になった。さらに、ユッカ姉さんの毒舌が続いた。

ユッカ:でも、しょうがないわね。カメ子兄ちゃんは男前だからね。(カメ輔:まるで、僕がそうでないと言っているようだ。ムカッとする)

私は知っているのよ。「【カメのひとりごと】の本の表紙をどうしようか?」と、奥さんが、友達とメールをしている時、「当初は、あなたとカメ子兄ちゃんを一緒に載せよう」と言っていたわね。ところが、最終的には、あなたがボツになり、カメ子兄ちゃんだけが掲載されることになった。

(カメ輔:ああ~とうとう、また、あの嫌なことを思い出したよ)それに、あなたとカメ子兄ちゃんのテレビデビュー【第93話 運命が変わる日(Part4)】の時も、カメ子兄ちゃんに先を越されて、いじけていたわね。(カメ輔:あ~ユッカ姉さんは、全てお見透しだ。)

ユッカ姉さんが、僕の触れてほしくない胸の内に土足で踏み込まれ、段々と怒りを覚えてきた。

そして、負けたくないと思い、反論しようとした時、間髪入れずに、ユッカ姉さんのおしゃべりが続いたのである。

この後、今まで聞いたことのないユッカ姉さんにまつわる、深い話しが始まり、特別な日の正体が明らかになる。

次回を乞う、ご期待!

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*1:ユッカとは、リュウゼツラン科イトラン属の植物の総称。

第112話 春の甲子園

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  今日、吾輩とカメ輔は、春の甲子園選抜高等学校野球大会の決勝戦、明豊対東海大相模の試合を観戦するために奥さんの実家に来ている。

時刻は、4月1日(木)の12時30分で、今、まさにその戦が始まろうとしているところである。

残念ながら、主人は仕事でこの場にはいないが、野球がとても好きなので、お昼休みにきっとどこかで観戦しているに違いない。

吾輩は奥さんの膝の上、カメ輔は母親の膝の上で、テレビの画面をじっとみつめている。

だが、明豊が先攻なので、吾輩は、とても嫌な予感がしてきた。

このことが、後になって、たいへんな結果を及ぼすことになろうとは・・・。

そして、普段は、あまりスポーツには興味を示さない奥さんが、甲子園の高校野球の試合には気合いを入れる理由があった。

それは、奥さんの父親が、昔、大分県立津久見高等学校の野球部の主将をしており、甲子園に出場していたからだ。

読者の皆様は、ご存じないとは思いますが、大分県津久見高校は、県内では、唯一、

1967年、春の甲子園、1972年、夏の甲子園を制覇した野球の強豪校で、その当時としては、九州勢で初めて春、夏の甲子園を制覇した高校です。

一方、奥さん自身も、明星幼稚園の卒園生なのである。

そこの幼稚園は、お坊ちゃま、お嬢様しか通えない幼稚園らしく、主人が通っていたような、「そんじょそこらの幼稚園ではない」らしい。

奥さんは、いつも、これをネタに、主人をいじめているのだ。

カメの吾輩にとっては、どうでも良いことである。だって、吾輩は、「とある温泉施設」で生まれ、口減らしのため、里子に出された身である。さしずめ、人間社会では、尋常小学校中退ってとこかな。情けないというか、開いた口がふさがらない。

でも、ひがんではいない。だって、吾輩は、学歴がなくても修行をして、こんなに立派なモデルになったのだ。(でも、まだ、モデルの給料はもらったことがないぞ!)

それに、勉強せずとも、奥さんと主人の会話のやり取りで、人間の言葉が分かるようになった。

そして、主人には、カメの言葉を教えたが、やはり、理解することができなかったようである。

また、吾輩は、人間社会のいろいろなことを勉強した。野球もそのひとつだ。

主人が某プロ野球球団の熱狂的なフアンで、一緒にラジオを聴いていたからな。

だから、ルールはもちろんのこと、選手名やその選手の性格も知っているよ。

すごいだろう。こんなカメが、他にいるか?

これも、10年間、主人と奥さんと同じ屋根の下で暮らし、プライバシーなしの生活にもじっと耐え、人間様の知識を吸収してきたからな。あっ、そうそう、カメ輔は、野球なんて知らないかもしれない。だとすると、ルールも分からないカメ輔にとって、野球観戦はちょっと辛いかもしれないなぁ。まあ~ちょっとの間、人間様に相槌を打って、適当に流しておくことだな。

あ~奥さんが、一生懸命明豊を応援している様子を見ていると、野球の応援なんかより、昔の奥さんや主人との楽しいひとときのことが、走馬灯のように浮かんできて、どうしても、応援に集中できないよ。試合は、5回終了した時点で、明豊2対東海大相模2の同点で、決勝戦らしい緊迫とした試合が続いていた。日頃の奥さんは、応援チームの攻撃の時、決まって「ヤレー、ヤレー」と決まり文句で応援しているが、守備に入ると、どこかに行ってしまい姿が見えなくなるのである。でも、今度は違っていた。

必死の形相で応援しているのである。

それを見ていると、吾輩も真剣に応援しなくちゃいけないなぁ。と思ってきた。

そして、ついに最終回9回の裏、東海大相模の攻撃となった。

2対2の同点、そして、運命のその時がやって来た。

結果は、2対3の明豊のサヨナラ負けとなったのである。

吾輩は、一瞬、その結末に、ただ呆然とし、だんだん悔しい思いが湧いてきたのである。そして、無念の気持ちを抱きながら、奥さんの顔を見た。

そこには、唖然として頭の中が、からっぽになったような表情の奥さんがいた。

ところが、その後、奥さんの表情がみるみる変わっていき、不気味な笑みさえ浮かべていたのである。

そして、思いもよらぬ言葉を発した。「次は、夏の甲子園で優勝よ!」その後、奥さんは、試合の結果に、全く動じていなかったのである。これを見て、吾輩は、ため息をつきながら思った。

カメ子:奥さんは、冷静で、大物だ。

人間の男女間で別れ話が出た時は、男は未練がましく別れた相手を思い続ける。

その一方で女性は、すぐに次の良い人を捜そうとする。たぶん、奥さんもそんな女性の一人だろうなぁ。と思う。

それに比べ、吾輩は人間の男性と同じで、女々しくて、なんと情けないことである。

ところで、カメ輔は、野球の事が何も分らないが、つきあいで明豊を応援していたようである。カメ輔には、「宮仕え」ご苦労様と言い、ねぎらってあげたい。

 

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※:1999年(平成11年)4月、別府大学附属高等学校を運営していた学校法人別府大学と明星(みょうじょう)中学・高等学校を運営していた学校法人明星学園の合併によって発足した。校名は明星学園の「明」と別府大学の旧称の豊州女学校の「豊」を合わせたもの。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

第111話 刎頸(ふんけい)の友 Part3 

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 * これが、鳩吉の写真です。
 

「ああ~とうとう行ってしまったか!」

鳩吉が東の空へ飛び立ち、吾輩の心には、ポッカリと穴が開いてしまったようだった。

と、その時、主人から意外な言葉が発せられたのである。

主人:カメ子、お前、鳩吉とずっと話をしていたが、いったい何を話していたんだい?

あっ、そうか。相手がカメだったら、顎の関節を鳴らせば、会話ができるが、鳩が相手だったら、「何をしてるの?」だよな。あの時、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたが、もしかして、お前は鳩吉のことを忘れていて、会話が出来なかったのか?

吾輩は、「やっぱり人間には、わからないだろうなぁ?」と思った。

鳩吉とはたっぷり会話が出来たし、人間には、共通のテレパシーがないから、それすら分ってない。

人間は、「知力」が邪魔をしたり、頭脳を

過信し過ぎて、人間が本来持っている、

異生物との心の解読(テレパシー)が

出来なくなっている。

現に吾輩は、鳩吉と会話をすることができるが、人間にはできない。どうして、人間は、住んでいる国や生まれた国が違うと、言葉が通じないの?

吾輩には、クサガメミドリガメの言葉も理解することが出来るのに。(本当は彼らに、お目にかかったことはないが)

鳩吉だって、人間の言葉が分かっているんだぞ!

ただ、主人と奥さんは、未だカメの言葉を分かってないようである。

いつの日か、生物と会話ができる、自動翻訳機を開発してくれる、優秀な人間が出てくることを期待するよ。

それには、まず、カメが既に人間の言葉を理解していることを認識することだ。カメは、人間が思っている以上に賢いのだ。そして、人間の英知で、カメの会話を充分研究してくれたら、きっと実現可能だと思うよ。

と、吾輩が一人でつぶやいていると、後ろの方で「カリッ、カリッ」という顎の関節を鳴らしている音が聞こえてきた。

その声の主は、カメ輔だった。吾輩が後ろを振り向くと、カメ輔は、さらに猛烈な勢いで、話しかけてきた。

カメ輔:カメ子兄ちゃん。僕もお兄ちゃんが鳩吉兄ちゃんと話しているのを聞いていたよ。いつも自由気ままに飛んでいると思っていた鳩吉兄ちゃんも、実は色々と大変なんだね。それに、僕は、自分の知らないところで、ずいぶん主人と奥さんにお世話になっているんだね。初めて知ったよ!

これからは、もっと主人や奥さんを大事にしないといけないね。でも、カメ子兄ちゃんは、顔が広くて、色んな生き物や人間を知っているなぁ。僕には、少ししか知り合いがいない。友達も少ないんだ。性格が悪いのかな?

それを聞いて、吾輩は答えた。

カメ子:へぇ~そんなことはないさ。「カメの甲より年の功」と言うだろう。いずれ、お前にも分かるときがきて、友達ができると思うよ。それに、お前が、主人や奥さんのことをそんな風に思えるようになったのは、成長した証しだなぁ。

そして、今度は、吾輩の行動をじっと見ていた奥さんが主人と会話を始めたのである。

奥さん:臆病者のカメ輔が、3人の少年達に囲まれながらも正々堂々と円陣を潜り抜けて行ったのよ!

吾輩は、奥さんの話を聞き、「カメ輔もたくましくなったなぁ」と思った。

この後、吾輩とカメ輔は、主人と奥さんに連れられて家路についた。

そして、奥さんは、吾輩とカメ輔が入っている水槽の中を覗き込み、ため息をつきながらつぶやいた。

奥さん:カメ輔は、いつものとおりで、カメ子は珍しいわね。今日の出来事がそうさせたのかなぁ?

なんと、二人とも大胆に、水槽の中で、脱糞をしていたのである。

(ああ~まだまだ、二人とも修行が足らんな)

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第110話 刎頸(ふんけい)の友 Part2

f:id:antabilog:20210329171906j:plain


  主人は、吾輩を透明な水槽の中に入れ、

元居た場所まで戻った。

そして、吾輩を地面の上にそっと置き、

一人残して、近くにある石造りのベンチに座った。

しばらくすると、奥さんが撮影場所から戻って

来て、主人に何か食べ物を渡し

「このコッペパンをちぎって、あなたの前に撒

いて」と言った。

主人は、いつものように奥さんから言われるが

まま「はいよ!」と返事をし、自分が居る前に

食べ物をバラ撒いたのである。

すると、それを待っていたかのように、右上空

から、謎の飛行物体が地表に降りてきた。

吾輩には、それが、羽が生えた生き物のように

見えた。

そして、主人が、その生き物に向かって、

「おおっ、鳩吉じゃないか?久しぶりだなぁ」

と、言葉を発していた。

それを聞いて、吾輩は、あれっ、どこかで聞い

たことがあるような言葉だなぁ。

でも、何だったのか?

どうしても、思い出すことが出来なかった。

鳩吉は、主人がちぎって投げたコッペパン

黙々と食べ続けていた。

でも、鳩吉の食べる速度が非常に早く、コッペ

パンを撒くペースが追いつかない状態であった。

それを見かねた奥さんが、遂に「あなた、

そんなに小さくちぎってあげてもダメよ。

もっと、大きくちぎってあげなさいよ」と、

吠えたのである。

主人は、そのアドバイスを素直に聞き、

今度は、大きくちぎって撒いた。

そして、鳩吉は、これにもひるまず、

おちょぼ口で大きなコッペパンを頬ばっては、

ドンドンと食べ続けたのである。

誠に惚れ惚れするような、素晴らしい食いっぷりであった。

吾輩は、「かわいそうに、よっほど、お腹が空

いていたのだろうなぁ」と思った。

10分ぐらいして、食事タイムは終了したが、

鳩吉は、まだ物足らないようである。

そこで、さらに、コッペパンはないかと、辺り

を探し、何か変な塊の生き物を発見した。

それが、吾輩である。

勘の鋭い鳩吉は、すぐに吾輩のことを思い出し

たようだ。

そして、鳩吉は、吾輩に近づき、衝撃的な言葉

を発したのである。

鳩吉:よおっ、久しぶりだな。元気だったか?

また、一段と太ったようだな。3食昼寝付き

だから、そうなるんだよ!

見ろよ。俺が食べ残したコッペパンを1羽の

カラスが食べているだろう。

そして、カラスの後ろで10羽のスズメが食べ

残しを狙っている。

さらに、その後ろで、何だかわからない、

正体不明の鳥が食べ物を狙って待機している。

みんな、その日に食べ物にありつけるか、毎日

が真剣勝負なんだ。

温室育ちのお前には、そんなことがわからんだろうなぁ?

鳩吉の能書きが終わり、話の中の「久しぶりだ

な」という言葉が妙に引っかかった。

「なんで、初対面で、どこの馬の骨だかわから

ない輩(やから)から、そんなに糞味噌

(くそみそ)のように言われなきゃならないんだ」

と鳩吉に対して、憎悪の念が出てきたのである。

ところが、吾輩の様子を見ていた鳩吉は、その

一瞬の表情を見逃さず、追撃の手を緩めなかった。

鳩吉:おう、鳩が豆鉄砲食らったような顔をし

ているな。

もしかして、俺様のことを忘れたのか?そうだ

ろうなぁ。

お前は、人間様に守られていて、敵から襲われ

る心配もない。

俺の後ろを見ろ。

俺がこっちに来て、カラスは、ようやく、俺の

食べ残しを食べるようになっただろ。

でも、カラスの後方では、スズメが食べ物に

ありつけるのを待っている。

そして、スズメの後方に、得体の知れない鳥た

ちがいる。

なぜ、それぞれが、間隔を空けて待っているか

わかるか?

それは、みんな、飢餓状態の中で、お互い、

襲われないように間隔を空けているんだ。

お前には、そんな心配はいらないだろう。

だって、人間様が守ってくれているからな。

だから、お前の頭はいつもお花畑なんだよ!

吾輩は、ついにダメ出しの「お前の頭はいつも

お花畑」にブチ切れてしまった。

初対面からこんなにバカにされたのは、今まで

の人生でたった一人しかいなかった。

「あれっ、待てよ。それは、鳩吉だ。それと

よく似た輩が目の前にいる」やっと、思い出した。

目の前にいる輩は、昔どこかの公園で会った

鳩吉だ‼

そして、あの公園は、ここだったのか?

吾輩は、ようやく謎が解けた。

すると、吾輩の表情が変化したことを察知した

鳩吉は言った。

鳩吉:ようやく、わしのことを思い出したよう

だな。  

その瞬間、これまで鳩吉が吾輩に投げかけてき

た毒舌に対する怒りが消え失せてしまったのである。

そして、鳩吉の存在が懐かしく思えるように

なり、初めて出会った時のことが、走馬灯のよ

うに浮かんできた。

あの時は、相手の生活を理解できず、けなしっ

ぱなしで、殴り合い寸前までいった。

でも、話し合いをする中で、お互いの気持ちを

認め合うことができ、最後は、鳩吉から主人や

奥さんの大切さを教えてもらった。

(詳細については、【カメのひとりごと】の本

【素敵な出会い】を参照してください)

もしも、鳩吉との出会いがなかったら、主人や

奥さんに対して、恩知らずのただのカメになっ

ていたに違いない。

このことに気づかせてくれたことは、たいへん

ありがたいことである。

鳩吉は、本当の「刎頸の友」に違いない。

しばらくの間、吾輩と鳩吉は、人間にはわから

ない、不思議なテレパシーで会話をしたが、

遂に、別れの時がやってきた。

そして、鳩吉が言った。

鳩吉:そろそろ、おさらばする時が来たよう

だ。おまえも元気でなぁ!

吾輩が、「また、会おう」と言うと、鳩吉は

こう言った。

鳩吉:生きていればな。俺は、お前ほど長生き

できないかもしれない。

「鶴は万年。カメは万年」と言うが、ワシは、

せいぜい生きられても10年ぐらいだからな。

あと、何年生きることができるのか?って、

そんなことは、仏様以外、誰にもわからないよ。

だって、今の自分の年齢がわからないのだから

なぁ。

この後、鳩吉は、右上空へ飛び去って行ったの

である。

何て、ニヒルな奴‼ 

彼は、吾輩の「刎頸の友」である。

 

※:お互いのためなら首をはねられても悔いの

  ない、堅い友 情で結ばれた友。

  生死を共にするほどの親密な間柄の友。

 

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