今日、吾輩はあることを決心し、実行することにした。
そして、しばらくすると、突然、家中に「キャー」というけたたましい叫び声が鳴り響いたのである。
なんだ?なんだ?いったい、何が起こったのだ!
吾輩が、何のことやらわからないでいると、主人が吾輩に近づいて来て言ったのである。
主人:おい、おい、カメ子。また、水槽の縁によじ登ぼって、脱走するつもりかよ。
と、言い、笑いながら水槽の中に戻したのである。
吾輩は、「あっ、バレた」と思わず心の中で叫んだ。
感の鋭い読者の皆様は、もう、お分かりだとは思いますが、叫び声の持ち主は奥さんであり、吾輩が決めたのは、脱走することだったのです。
さて、話を先に進めることにしよう。
奥さんは、どうしたわけか、カメ子に対してブチ切れ、ムキになって言ったのである。
奥さん:あなた。もし、カメ子が水槽の縁から落ちて、首の骨でも折れたらどうするの?
奥さんの怒りは収まるどころか、さらにヒートアップし、きつい一言が発せられたのである。
奥さん:最近のカメ子の脱走劇は本当に凄いと思う。
今朝、水槽で大きな音がしたので、急いで近寄って中を覗いてみると、カメ子が脱走に失敗し、ひっくり返っていたわ。でも、自分では何もしようとはせずに人間が起こしてくれるのをじっと待っていた。
そして、私が仕事をしているテーブルの横で、また、カメ子が、脱出を企てて失敗し、私に大量の水しぶきがかかったのよ。これから頻繁にカメ子が水槽から脱走するようになったら、私は、心配で外出することができなくなるかもしれない。これは、他人事じゃないのよ、もう少し真剣に考えてよ。
(カメ子:奥さんは、主人が笑いながら言ったことが気にくわないようである)
そして、さらに奥さんは舌鋒(ぜっぽう)を緩めなかった。
奥さん:あなた、暇なら、カメ子が逃亡しない方法を考えてよ!と、言ったのである。
こうまで言われると主人は、奥さんの迫力に圧倒され、何も答えることができなかった。
そして、しばらく経った後、主人が奥さんに向かって言った。
主人:ちょっと、思い出したことがある。
そういえば数年前にカメ子が一度、水槽の壁をよじ登り、床めがけてジャンプして、俺の布団の中に潜り込んだことがあった。※1
その時は、すぐ、発見されお前にこっぴどく怒られて水槽の中でシュンとしていたなぁ。でも、よく考えてみるとその後は逃亡したことはない。やはり、あの時、こっぴどく怒られたことが効いたのだろう。だとすると、自分達が外出している間に脱走することはないはずだ。だって、一度水槽から脱走して、再び水槽の中に戻るなんて考えられないし、もし、俺達が外出していないときは、水槽から脱走できたはずなのに。もしかして、カメ子は、水槽から脱走しようとしてひっくり返り、人間がいなかったら、そのままの状態でひっくり返っているのが怖いのかもしれない。だから、カメ子は、俺たちが外出していない時は、水槽から逃亡なんかしないと思
うよ。カメ子は賢いからね。
すると、奥さんが言った。
奥さん:ふーん。そうなの。でも、あなたは、私の質問には答えていないわよ。(しばらくしてから)よくわからないみたいだから、私が代わって答えてあげる。
まず、カメ子が逃亡しないようにさせるのよ。それは、カメ子とカメ輔を散歩に連れて行くことね。それって、あなたの仕事でしょ。だから、他人事のような態度をとったあなたが許せないのよ。
吾輩は、奥さんの話を聞き、「良くぞ言ってくれた」と思った。奥さん、代弁してくれて本当にありがとうございます。
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【後記】
読者の皆様へ
カメが水槽から逃亡しないようにどのような工夫をしていますか?
水槽の上に網を掛け、脱走されないよう工夫をしたりしているのでしょうか?
もしかしたら、最も有効な方法は、カメを散歩に連れて行き、カメのストレス解消を図ってあげることかもしれませんね!
※1:第48話 大脱走(カメのひとりごと未掲載)