*手術後のユッカの写真です。
ついにその日がやってきた。
吾輩は、潔く手術を受ける覚悟を決めていた。
しかし、主人は、何か他の大きな物をバスケットの中に入れ、ベランダに運んでいるようである。
吾輩が、「主人はいったい何を運んでいるのかなぁ?」と思っていると、今度は奥さんがベランダに出て行った。
そして、しばらくして主人は家の中に戻ってきた。
吾輩は、「あっ、これは、もしかして、ベランダで運命の○○○が始まるのではないか?」と思った。
もし、そうだとすると、主人が重々しく持っていたバスケットの中には、もしかして、カメ輔が入っていたのかもしれない。
吾輩は、心の中で「カメ輔、がんばれ」とつぶやいた。
それから、どれくらい時間が経ったであろうか?
突然、吾輩を呼ぶ声がしてきたのである。
何とその声の持ち主はカメ輔ではないか。
カメ輔は、ベランダで大手術を受けているとばかり思っていたので、とてもびっくりした。
そして、カメ輔は言った。
カメ輔:カメ子兄ちゃん、僕のすぐ横の水槽に居るの?
吾輩は即座に答えた。
カメ子:その声はカメ輔なのかい?僕は、てっきりカメ輔が手術を受けているとばかり思っていたよ。
カメ輔:僕もカメ子兄ちゃんが手術を受けていると思っていたよ。
ふたりじゃないとすると、ベランダで手術を受けているのはいったい誰なの?
ふたりが不思議に思っていると、奥さんがリビングに戻って来て、主人に向かって言った。
奥さん:やっと、手術が終わったわ。ほら、ユッカを見て!
水をかけただけで急に葉が元気になったのよ!もしかしたら、葉を切らなくても良いかもしれないわ。
主人は、「ああ~それは良かった」とホッとした様子で返答した。
吾輩は、「な~んだ。そうだったのか。手術はユッカだったのか」と言うと、カメ輔も相槌を打った。
と、そのとき、誰かがベランダの方から吾輩に向かってテレパシーを送ってきたのである。その声をよく聞いてみると、
誰か:ちょっと、私よ、ユッカよ。なあ~んだ。とは何よ。
私のことを忘れてしまったの?
吾輩は、思わず「ごめん。ごめん」と謝った。
すると、ユッカは、とても寂しそうに話しはじめたのである。
ユッカ:実は、最近体の節々が痛くなってきたのよ。
そして、痛い所が枯れて赤茶けてしまったの。
私は、「もう、このまま、死んじゃうのじゃないか」と不安でしかたがなかったの。
そしたら、奥さんが私の惨状を見つけてくれて、「これで、助かった」と思ったのよ。
そんな大変なときにあなた達は、手術をするのは、自分ではないかと心配していたようね。私は全部見ていたので、わかっているのよ。
でも、二人とも私の存在を忘れているようだったので、私も黙っていたの。
吾輩は、「ユッカ姉さんには本当に悪いことをした」と心の底から反省し、そして、言った。
カメ子:ユッカ姉さん、ごめんね。大手術と聞いて自分のことだと思い、頭が真っ白になって、他人のことを思いやる余裕がなかったのだ。
でも、ユッカ姉さんも一言声をかけてくれたら良かったのに。
もし、言ってくれたら、もっと早く、奥さんに知らせてあげることができたのに。
奥さんは、カメの言葉が理解できるようになったのだよ!
それにしても、奥さんと主人がもう少しユッカ姉さんのことを気にしてくれたら、こんな姿にはならずに済んだのに・・・。
吾輩がそう言うと、ユッカ姉さんはこう言った。
ユッカ:もう、奥さんと主人を責めないで。
だって、私はこれまで二度も※1彼らに命を助けてもらったのよ。
カメ子くんにひとつ私からお願いがあるのだけれど、聞いてくれるかなぁ。
これから私の身に何か変わったことが起きていたら、奥さんと主人に教えてくれないかなぁ。よろしく頼みます。
主人は以前、水槽の掃除を2日に1回はしてくれていたのに、最近は3日に1回になってしまったり、毎日の食事時間も、昼間や寝る前だったりして不規則になってしまった。おかげで、吾輩の体内時計は無茶苦茶になってしまいとても困っている。
そこで、ユッカ姉さんに吾輩の味方になって欲しかったのだが、ユッカは誰の味方もしなかった。ユッカは人間?ができているなぁ。
主人と奥さん、これからも私達カメ一族やユッカ姉さんをよろしくお願いしますよ!
※1:第132話 命の恩人・第133話 黄泉がえりをご覧ください。
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