前回の話※1には、もう少し続きがあるので、今回も僕、カメ輔がナビゲーターとして話しを進めていくよ。
奥さんは、ユッカ姉さんを部屋の中に入れ、あることをしゃべり始めた。
奥さん:ユッカと初めて出会ったのは、私の誕生日だったのよ。月日が経つのは早いもので、あれから、もう、20年が経ってしまったのかなぁ?
私の母親が、誕生日にお花をプレゼントしてくれるというので、一緒にお花屋さんに行ったのよ。そして、そこで、素敵な観葉植物を見つけた。それがドレセナだったのよ。
ところが、彼女は、少し葉っぱの色が悪かったので、お店の人がおまけで、別の観葉植物もプレゼントしてくれたの。
それが、ドレセナよりちょっと見劣りしているが、健康そうなユッカだったのよ。価格もドレセナの半額で売られていたわ。
ユッカ姉さんは、この話しを初めて聞いたようで、「えっ、そうだったの」とびっくりしていた。そして、奥さんに向かって「一言多い」と文句を言ったのである。
しかし、この後、あの衝撃的な事件についての話しが、奥さんの口から飛び出してきたのである。
奥さん:実は、ユッカがこんな姿になったのは、これで2回目なのよ。
1回目は、出会ってから、1年ほど経った頃かなぁ?そう、あの時は、真冬の寒い時で、ドレセナが、部屋の隅で枯れてしまったの。まさか、暖房が効いている部屋の中であんなことになるなんて・・・。そして、ユッカも枯れてしまっていたの。私は、「早く何とかしなくちゃいけない」と思い、ドレセナ※2とユッカにいろいろ蘇生を試みた。しかし、時すでに遅し、ドレセナは、駄目だったけれど、ユッカには、奇跡が起こり生き返ったのよ。
この話を聞いていたユッカからは、何も返答はなかった。
そこで、奥さんは、間髪を入れず、主人にも聞こえるように、再びしゃべり始めたのである。
奥さん:ねえ、ユッカの隣にいる植物を見て!
スーパーで買ったキャベツの芯をくり抜き、それを水に浸けていたら、そこから新しいキャベツが生えてきたのよ。
これは、まさに、蘇り(よみがえり)ね。
すると、今までじっと奥さんの話を聞いていた主人が、しゃべり始めたのである。
主人:そういえば昔、そんなこともあったなぁ~ユッカは、感謝しないといけないよ。あっ、そうだ、蘇り(よみがえり)で思い出した。
「黄泉がえり」※3っていう映画があったなぁ。映画のあらすじは、「交通事故で死んでしまった主人公の橘葵(竹内結子)がこの世に蘇り、橘葵が好きだった川田平太(草なぎ剛)にもう一度出会う。しかし、蘇った橘葵は、また、この世を去っていく」というストーリーだったね。でも、この映画と違うところは、橘葵役のユッカが今も生きているというところだね。
僕(カメ輔)は、「『黄泉がえり』という映画は知らないけれど、『ユッカ姉ちゃん』と『キャベッチ』を蘇えらせることができた奥さんは凄い、まるで神様みたいだ」と思った。
すると、今度はカメ子兄ちゃんが初めて話しに参加してきたのである。
カメ子:なるほど、2度も助けられているのだったら、ユッカは、奥さんに感謝しなくちゃいけないね。
今となっては、もう、遅いかもしれないが、「過去に戻って、もう一度、カメ吉を黄泉がえさせてくれないかなぁ~」と思う。でも、植物と違い動物は無理なのかなぁ?
奥さん、主人、カメ輔、そしてカメ子が話しに参加したところで、ユッカは、しんみりと話し始めたのである。
ユッカ:皆さんが、私の事をここまで親身になって想ってくださり、とても感謝しています。
ドレセナが死んで私だけが蘇えり、みなさんと出会えたのも、何か深い因縁があるに違いないと思います。私は、ドレセナの分まで長生きして、皆さんに恩返ししたいと思っています。本当にありがとうございました。
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【読者の皆様へ】
「カメのひとりごと」を読んで頂き、どうもありがとうございました。
来年も頑張りますので、応援してくださいね!
どうぞよろしくお願い致します。樋下由美子
【後記】
カメ輔が、「ユッカ姉さん」と「キャベッチ」を蘇えらせることができた人間を、神様だと思ったのも、無理がないことかもしれません。
カメ輔君、今日も、また、ひとつお勉強になりましたね!
※1:第132話 命の恩人
※2:熱帯アジヤや熱帯アフリカに分布している常緑性の中低木
※3:1999年に発表された梶尾真治の小説、2003年に映画化された。熊本市で火の玉やUFOのような不思議な発光体の目撃情報が寄せられ、また同じ頃、熊本地方を震源とする震度1の地震が観測された。この後、死んだはずの人達が熊本市内で次々に蘇る。
(出典先:ウィキペディア)