8月某日、僕(カメ輔)は、いつものようにベランダを探検していた。
ふと、ユッカ姉さんを見上げると、葉っぱの一部が上下に揺れていたのである。
僕が「何だろう?」と凝視すると、そこには、僕が今まで見たことがない生き物がいた。
ユッカ姉さんも、僕には何も言ってくれないし、僕の敷地に無断で侵入して来た不届き者は、言語道断だ。と思った。そして、僕はこの怒りを我慢できずに、ユッカ姉さんにぶつけてしまった。
ところが、ユッカ姉さんからは、何の返事もなかった。
いったいどうなっているのだろう?と思い、業を煮やした僕は、直接その得体の知れない生き物に話しかけることにした。すると、その生き物からびっくりするような言葉が返ってきたのである。
生き物:私の嫌な予感が的中して、とうとうカメ輔君が登場したわね。
貴方とまともに付き合うと、私の貴重な時間がいくらあっても足りなくなるわ。
ああ、時間がもったいない。
でも、まっ、それも仕方がないわね!それで、私に、何が聞きたいの?
あなたの質問には簡潔に回答をするので、私の話をよく聞いてね!
僕は、なぜ、この生き物は、こんなに上から目線で話すのだろう?
どうして僕の名前を知っているのだろう?と不思議に思った。
そして、この生き物からの返事に、一瞬凍りついてしまったが、少し時間を置き、
頭の中をよく整理してから、3つの質問を投げかけたのである。
カメ輔:①なぜ、僕の名前を知っているの?②あなたは、いったい誰?③番目は、どうしてここにいるの?といった質問だった。
すると、その得体の知れぬ生き物から丁寧な答えが返ってきた。
生き物:まず、①番の質問に答えるわね。私がこの地上に産まれ出た時、周りの木々や草達から情報をもらっていたので、あなたのことを知っていたのよ。植物は動けない代わりに口が達者*¹で他の生き物の噂話をするのが好きなの。それで、あなたがこの家の、「期待の星」であることがわかったのよ。
次に②の質問ね。人間の学問によると、「蝉(セミ)」の部類のクマ蝉に入るわね。
私は、空を飛ぶこともできるのよ。だけど、スズ吉やハト吉とは種類が違うわよ。
(カメ輔:ハト吉*2やスズ吉*3のことまで知っているなんて、これは本物だ。 やっぱり、植物の情報収集能力は凄いなぁ)
私達セミの一生は、とてもセンセーショナルなのよ。セミは、木の中に卵で産み落とされ、しばらくしてから幼虫になり、その後、その木の下の土の中に移動をする。
そこで7年ほどじっと耐え忍んだ後、その年の夏にようやく地上に出ることができる。その後、再び木に登り脱皮をして今の姿になるのよ。
そして、それから7日後、ある目的を達成したら死ぬの。だから、私にとって、今が一番大事な時なのよ。
(カメ輔:あっ、もしかして、ユッカ姉さんがセミのことを全く僕に話さなかったのは、これが理由なのかもしれないなぁ)
そして、初めは「あなたの質問には簡潔に回答をする」と言っていたセミは、いつの間にか話をヒートアップさせ、エンジン全開でベラベラしゃべり始めたのである。
次回の話は意外な方向に展開し、佳境を迎えることになるので、乞う御期待!
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*1 :第154話 おしゃべりトマト
*2 :第150話 フイアンセ
*3 :第147話 リアリスト