2月のある日奥さんは、YouTubeに熱中している主人に何か話しかけていた。
しかし、主人は、「う~んう~ん」と、相変わらず、空返事で答えていたのである。その様子を見ていた吾輩は、今日もおもしろい話を聴いてみたいと思い、耳を傾けることにした。今回も何かが起こりそうな予感がしてきた。
奥さん:友達の旦那さんが、もうすぐ定年退職なので、次の仕事を探すためにハローワークに行くことになったのよ。でも、ハローワークに行くのが恥ずかしくて、尻込みしていたみたいなの。だから、友達も一緒に付いて行ったのよ。一家の大黒柱として、情けないわね。
(カメ子:吾輩は、ハローワークって何だかわからないが、そんなことで女性に頼るなんて、男として恥ずかしいと思う)それに、友達は言っていたわ。「うちの旦那は、家事を全くしたことがないのよ。これといって趣味もないようだし、このまま退職して仕事がなくなると、いつも家の中でゴロゴロすることになるのよ。ああ~このままだと私が夫源病※1になりそうだわ」って。
(カメ子:夫源病って、うちの奥さんが一人で食事の支度や洗濯、ゴミ出し等をやっているとき、主人に「あなた、少しは、手伝ってよ。私が、夫源病になっちゃうわよ」と言って、ちょくちょく夫婦喧嘩している、あのことかなぁ?
そうだとすると、奥さんの友達の気持ちもわかるなぁ。でも、旦那さんも仕事をして疲れきって帰っているのに、そのうえ、家事の手伝いをしなくちゃいけないなんて、その辛さも理解できる。
どこの夫婦もこんな些細なことで、夫婦喧嘩をするのだろうなぁ~。結婚したことがない吾輩には、よくわからない。
ところで、人間は、どうして仕事をするのだろう?
もし、仕事をしていなければ、夫婦喧嘩もしないかもしれないし、主人もカメの世話(餌やりや水替え)をする時間がたっぷりとれるのになぁ。
生活するためには、やはりお金が必要なのだろうか?
お金のためだけに働くのは、なんだか虚しいなぁ。
話がそれてしまったが、人間社会での夫婦間の「家事役割分
担」が頭の中でグルグル回って、混乱しそうになってきた。
どうして、人間のことで、吾輩がここまで、悩まなきゃいけないのだろう?)
すると、今まで何も反応しなかった主人が、突如動き出した。主人は、何も考えていない様子で、「ちょっと、外に出てくる」と言って、玄関へ向かった。
すると、それを見ていた奥さんは、ちょっと、ムッとした表情で、黙って出て行く主人に対し「コロナがうつるから、マスクをしっかり付けて行きなさいよ」と言った。
そして、主人が出て行った後、奥さんは、吾輩の方に向かって来て、がっかりした表情で意味深なことを言ったのだ。
奥さん:うちの旦那は、何も言わないで、外出してしまったわ。私が話したことを旦那は、他人事のように思っているのかもしれないわね。
吾輩は、奥さんの意味ありげな言葉に呼応して、しばらくしてから、ある考えや疑問がどんどん湧いてきた。
もしかして、奥さんは、友達の話しを、自分のこととして受け取ってもらいたかったのではないだろうか?そして、奥さんが主人に対し、本当に言いたかったことは、いったい何だったのだろう?
一方、奥さんが思っているように、主人は他人事として何も考えずに外出したのだろうか?それとも、わざと黙して語らなかったのだろうか?
そして、最後に奥さんは、そこにはいない主人に向かって、痛烈は一言を放ったのだ。
奥さん:うちの大黒柱には、もう少し精神的にもしっかりしてもらわないと困るわね。いつかやってくる定年退職のときは、いったいどうするつもりなのかしら?
さらに、奥さんは、今度は吾輩に向かって言った。
奥さん:将来、もしかして、我が家にお金がなくなったら、
あなたの好きなホッケの塩焼きが食べられなくなるかもしれないわよ。
吾輩は、その言葉を聞き一瞬、愕然とした。
奥さんの話を他人事のように思って聞いていたのは、吾輩も同じであった。
「風が吹けば桶屋が儲かる※2」ってことかもしれないなぁ。
ご主人様、これからも我が家のため、そして、吾輩とカメ輔のためにもお仕事頑張って下さいね。
よろしくお願い致します。
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【後記】
この後、奥さんは、家に戻ってきた主人に、何も語らなかった真意を聞いてみたそうです。そして、家事の役割分担や今後の過ごし方について、二人でじっくり話し合ったようです。
夫源病※1:夫の言動が原因で妻がストレスを感じ、溜まったストレスにより妻の心身に生じる様々な不定愁訴を主訴とする疾病概念で、医学的な病名では無い。
【出典】: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
風が吹けば桶屋が儲かる※2:
日本語のことわざで、ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことの喩え
である。「大風が吹けば桶屋が喜ぶ」などの異形がある。
【出典】: 『フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』