カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第85話 敵は本能寺にあり 

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 吾輩は、今、Sとはうまくいっていない。

読者の皆様、Sとはいったい誰のことだかわかるかな?

さあ、話を進めるぞ。

主人と奥さんは、また、吾輩とカメ輔のことで何やら話しをしている。暇な吾人(ごじん)である。でも、その会話を拝聴する吾輩も暇な吾人である。どれどれ、聞きたくない話しかな?でも、どうせ耳に入ってくるので仕方がない。聞くことにするか。

主人:今でも、わしに対するカメ子の態度がおかしい。

水槽を覗き込むと、カメ子は、上目づかいの冷たい目線でわしをジッと睨み返すんだ。それが、昔より一段とエスカレートをしているように感じ、まるでわしを敵扱いしているようだ。

「カメ子、カメ子」と呼んで、カメ子を安心させようとしても、カメ子は、わしをじっと見たまま、座して動かず。そして、カメ子に近づき、わしが身体をちょっとでも動かそうと

すると、カメ子は電光石火のごとく身体を後ろ向きにし、水槽の壁に向かって逃げるんだ。最後には壁に這いつくばって水槽の外に出ようと両足をバタバタさせる。どうしてだろう?

突然、主人がこんな話しを切り出したので、吾輩はにわかに心がいろめきだしだ。

すると、奥さんは、

奥さん:えっ、そうなの?カメ子は私にはそんなことしないわよ。

と、あっさり言ってのけたのだ。

主人:ふう~ん。ワシはカメ子に嫌われているのかな?何か悪いことしたかな? 

いや、そんなことした覚えはないよ。あ~待てよ。待てよ。

その時、吾輩は主人のその後の言葉に注目した。問題の核心部分だ。

そして、主人は言った。

主人;もしかして、カメ子は、そろそろ、マメ(市販のカメ餌)に飽きてしまったのかな?

吾輩:そうだよ。そうだよ。そうなんですよ。

Sとうまくいっていないのは、そこなんだよ。

吾輩は、心の中で、そうつぶやいた。

もう、読者の皆さまは、察しが付いているとは思いますが、

Sとは主人のことなのです。

吾輩は、奥さんから「私もそう思うよ。そろそろカメ子の好きな刺身とかをあげても良いんじゃない」という言葉を期待していた。

すると、奥さんからは、意外な言葉が発せられた。

奥さん:そうかもね。でも、絶対あげたら駄目よ。カメ子の好きな食べ物を与えるなんて。カメ子を殺す気なの?カメ子の好きな食べ物は、油っぽいものばっかりだし、パンとか炭水化物が多いじゃないの。他のカメはミニトマトやスイカをおいしく食べているのよ。だから、カメ子はぶくぶく太るのよ。(吾輩:失礼である)短命間違いなし。病気になったら治療費だって、高いんだから払えないわよ。

(吾輩:奥さんは怖い)それに、私が、また、刺身を買うために毎日スーパーに行かないといけなくなって、コロナに罹ったらどうするの?

吾輩は、奥さんが「しかたがないわね。久しぶりにカメ子においしい食べ物をあげようか」と、言って援護射撃をしてくれることを密かに期待していたが駄目だった。

Sとは、主人のことであると言ったが、吾輩とカメ輔の本当の敵は、主人の後に控える奥さんだったのである。「敵は本能寺にあり」だ。吾輩は愕然とすると同時に、奥さんに対して失望してしまった。

主人は、いつも「カメ子、カメ子」と変な声を出して、水槽に近づき、吾輩を覗き込む。プライベートもなにもあったもんじゃない。何せ、天井がない家だからなぁ。しかたがないかぁ。

それに比べ奥さんは、変な声も出さず優しく水槽を覗き、吾輩を驚かさないように気を使ってくれ、夜遅くまで電灯がついていて、吾輩が寝られないでいる時は、そっと電灯を消してくれる。

吾輩が食事をしている時は、決して水槽を覗き込むことはしない。気配りの奥さん。

気配りのない主人。雲泥の差だ。だから、主人とはうまくいってないんだよ。

でも、刺身などの美味しい食べ物を与えてもらえず、我慢させられている元凶は、奥さんだなんてどうも信じられない。まあ、いいさ。主人と奥さんは「どうせ我が亀族のような弱い者いじめをするのが楽しんでしょ。」と、吾輩は半分投げやりになっていた。その夜、吾輩は今日あった嫌な出来事をもう一度思い出してみた。どうして、主人達は我が亀族のような弱い者いじめをするんだろう?主人達にとって何も得はしないはずだ。なぜだ?あっ、待てよ。あの時、奥さんが何か言っていたな。「カメ子の好きな物を与えるなんて絶対ダメよ。カメ子を殺す気なの?カメ子の好きな食べ物は、油っぽいものばっかりだし、パンとか炭水化物が多いじゃない。だから、カメ子はぶくぶく太るのよ。短命間違いなし」というフレーズだったな。もしかして、「亀族のような弱い者いじめをする」ことが目的ではなく、我がカメ達が短命にならないよう、刺身を与えないことが目的だったかもしれない。これは、また、「敵は本能寺にあり」だ。でも良かったよ。奥さんは、良い意味での「敵は本能寺にあり」だった。吾輩も、もう少

し我慢をしてマメを食べることにするよ。だから、ご主人様、もう少し我がカメ達にも気を遣って行動してね。

 

天正10年(1582)明智光秀備中の毛利勢を攻めると見せかけて出陣し、京都本能寺織田信長を襲ったところから》本当の目的・目標は別にあるということ。

 

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