さあ、前話の続きを始めるよ!
読者の皆様、準備はいいかえ?
第135話「階段落ちPart2」のはじまり、はじまり。
僕は、突然、記憶が飛び、頭の中が真っ白になってしまった。
しばらくして、意識が回復すると、頭と顔に、今までに経験したことがないほどの痛みを感じた。
僕は、ある程度の痛みは覚悟していたが、これほどのものとは思ってもみなかった。
そして、とうとう僕が心配していたことが起こった。
目の前に見える光景が、斜めに見える。
どうやら、甲羅がひっくり返ってしまっているようなのだ。
僕は、顔半分を思いっきりコンクリートの地面で強打し、おまけに砂まみれで、ボコボコになっていた。
それに、誠にお恥ずかしい話しではあるが、脱糞までしていたのである。
僕は、そっと、辺りを見渡した。
すると、下に見えていたコンクリートの所を通り過ぎ、さらに下のアスファルトの地面に落ちてしまっていたのである。
さらに、驚いたことに、僕の身体はかろうじてコンクリ―トの壁に寄りかかっていた。僕は、なぜ、2度も衝撃がはしり、辺りの光景が傾いているのかが、ようやくわかった。
どうやら、高さが40cm位ある所から、落ちてしまったみたいだ。今、思い出しただけで、ぞっとする。自分でも、よく、命が助かったなぁと思う。
僕は、「ああ~厄介なことになってしまった。どうしよう」と思いつつ、ある事を期待していた。
それは、いつものように主人が、僕のひっくり返った身体を起こしてくれることである。
僕は、その時が来るのを今か、今かと待っていた。
しかし、待てど暮らせど、そこに主人の姿はない。
カメ子兄ちゃんに、「主人に知らせて」と頼もうかとも思ったが、約束を破ったので、そんなことはできない。
そこで、僕は、一大決心をした。
今まであまり成功したことはないが、自分の力で身体を起こすことに決めた。
そして、大きく首を伸ばし、後ろ側に反らせ、鼻先を支点にし、「てこ」の原理で、思いっきり身体をひねった。
でも、一回目はダメだった。さらに同じことを数回繰り返したが、やはり、出来なかった。
僕は、この時、初めてカメ子兄ちゃんが言っていた、「この門に近づくな」と言う意味がわかった。時すでに遅しか?
そして、僕は、最後の力を振り絞り、もう一度試みた。
すると、奇跡が起きて、上手く身体を起こすことが出来たのである。
その時、「ああ、助かった。生きていて本当に良かった」と心から思った。
僕は、どうして、自力で身体を起こすことが出来たのか、良く考えてみると、身体の一部がコンクリ―トの壁に寄りかかって落ちたのが、良かったのかもしれない。
そして、僕が、まだ息が荒く、心臓の鼓動がバクバクしている最中に、突然、主人が現れたのである。
ご主人様、時すでに遅し!
僕は、主人に呆れ果てていたが、主人の口からは意外な言葉が飛び出してきたのである。
主人:カメ輔。自分の力で、身体を元通りにすることができたじゃないか。大人になったなぁ。あっぱれだ。
実は、ワシは、お前の行動を始めから見ていたのだよ。
そんな事とは知らずに、お前は、玄関の門扉に向かい、
門扉の向こう側には、お前の好きな未知の世界が拡がっていた。
でも、そこに行くには、あの「階段落ち」※1が待っている。果たして、お前は、段差を見て、諦めるか?それとも挑戦するのか?
「階段落ち」を決断したとして、果たして、うまく降りることができるのか?とかね。(残念ながら、ヤスさんのように格好良く階段落ちが出来なかった※2ようだが)
そして、もしものことがあった時、お前は、どう対処するのだろうか?とかね。
僕は、主人の話しを聞き、「僕を試すつもりなら、始めから言ってよ」と思った。
でも、今回の一件で、僕は、自分に自信が持てるようになった。
そして、ずっと、僕を信じて温かく見守ってくれていたご主人様に「ありがとうございます」と、お礼を言いたいと思います。
【後記】
いつも奥さんは、主人に「泥棒が入るから、門は閉めて」と口を酸っぱくして言っていたのに、どうして今回は、実家の門扉を開けていたのだろうか?
それに、「カメ輔の行動を試す」と言っていながら、どうして、カメ輔とカメ子を向かい合わせに置いたのか?
そのことについては、後でたっぷり訊いてみたいと思います。
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※1:映画や演劇などで、人が階段を転げ落ちるシーン。役者やスタントマンに大きな危険が伴う。
[補説]映画「蒲田行進曲※2」は、ダイナミックな階段落ちと、危険なスタントをかってでる大部屋俳優の悲哀が見物。
(出典先:goo国語辞書)