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吾輩は、令和3年2月2日になるのを心待ちに待っていた。
その日は、吾輩が、世界の晴れ舞台で
ヒーローになれるかもしれない、
とても大切な日だった。
そして、とうとう、その時がやって来た。
主人は、仕事が終わり帰宅すると、吾輩がいる水槽に近づいてきたのである。
吾輩は、うれしさのあまり、いつもの調子で、主人に近づき、
水槽の壁にもたれかかって、バタバタと音をたてた。
それを見た主人は、「そうか、カメ子は、ワシを労ってくれているんだなぁ。
ありがとう」と言った。
吾輩は、「ちょっと、主人は、勘違いしているんじゃないの?」とも思ったが、
これから始まる吾輩の一世一代の大舞台を想像しながら、ウキウキしていた。
一方、主人は、カメ輔のいる水槽を覗き込むと、「おい、カメ輔。お前は、ワシの労をねぎらってくれないのか?
今日は、特に暗い顔をしているぞ!」と言った。
吾輩は咄嗟に、「もしかしたら、カメ輔は、今日もモデルデビューできなくて、
いじけているんじゃないかなぁ?」と感じた。
吾輩は、奥さんと主人が、「2月2日の【節分の日】に、吾輩を主人公にして、
インスタグラムに登場させよう」と話しているのを聞いた。
そして、「今度こそ、カメ輔もモデルデビューできるんじゃないか?」と
期待していた。
でも、その期待は、闇に葬られてしまったかもしれない?
謎は、謎のままである。
なしか?
これじゃカメ輔が、かわいそうだ。
今度こそ、モデルデビューできるかもしれない。と張り切っていたのに・・・。
もしかしたら、カメ輔のモデルデビューを阻止した黒幕がいるのかなぁ?
ああ~吾輩は、物事を悪い方、悪い方に考えてしまう癖があるようだ。
こんなことでは、ダメだ。ダメだ。
でも、これも、吾輩の性格だから仕方がないのかなぁ?
この後も、「カメ輔は、いったいどうなるのか?」ということだけが、
頭の中をよぎっていた。
そして、吾輩は、いつもの撮影場所に連れて行かれたが、案の定、
そこには、カメ輔の姿はなかった。
吾輩は、「カメ輔が、かわいそうだ」と思いながらも、
「さあ、今日も頑張るぞ!」と気合いを入れた。
すると、奥さんが吾輩に近づき、
「カメ子ちゃん頑張ってね。今からドレスアップして、お多福になるのよ」と言った。
吾輩は、その言葉を聞き、「やっぱりか」と心の中で思った。
節分には、2人の主人公がいる。
それは、鬼とお多福だ。
男前の吾輩は、鬼に扮するのではないことはわかっていた。
だとすると、鬼はカメ輔になるなぁ。
たぶん、カメ輔のことだから、「鬼になるなんて嫌だ。僕は、怖い顔なんてしてないよ。それに、外に追い出されるなんて嫌だ」と言い、駄々をこねたのであろう。
とうとう、カメ輔の鬼としての出番はなかった。
しばらくして撮影は、滞りなく終了した。
奥さんは、吾輩に向かって、いつもの調子で「お疲れ様。上手く撮影ができたよ、
よく頑張ったね!」と褒めてくれた。
そして、それを編集し、SNSに投稿したのである。
すると、投稿をして1分を経たないうちに反応が出てきた。
奥さんは、主人に言った。
奥さん:ちょっと、ちょっと、もの凄い反響よ!
「カメ子ちゃん、ゆっくり歩いておとなしいですね!」とか、
「可愛いカメさんですね!」と評判が良いわよ。
吾輩は、「自分でも、凄いなぁ」と思い、誇らしくなった。
ところが、その後、奥さんが、意外なことを言ったのだった。
奥さん:ああ~カメ輔を鬼にしなくて良かった。もし、カメ輔を鬼にしていたら、
どこに行くかわからないし、速く走るので、カメ子が、カメ輔について行けなくて、
結局、撮影は失敗していたと思うわ。
吾輩は、それを聞き、「カメ輔を晴れ舞台に出演させなかったのは、奥さんだったのか?奥さんが黒幕だったのだなぁ?」と思い、びっくりした。
そして、奥さんに対しムカついてきた。
しかし、しばらくして、吾輩は、ハッと気がついた。
もしかしたら、吾輩が歯を食いしばり、カメ輔について行けば、撮影が上手くいったかもしれない。
奥さんが、カメ輔を出演させなかったのは、吾輩が原因なのかもしれないなぁ。
だとすると、本当の黒幕は吾輩か?
なんてこった。ああ、情けない。
でも、歯を食いしばっても、たぶん、走れなかっただろう?
「カメ輔、吾輩が太り過ぎていたのが悪かった。ごめんなぁ」
この前、主人と奥さんが、「以前は、くびれがあったカメ子の甲羅は、今では、
直径25cmのまん丸になってしまった」と笑いながら言っていたのを聞いた。
なんとまあ、こんなに太ってしまい、自分でも呆れるよ。
これじゃ、俊足のカメ輔には、とうてい着いて行けない。
吾輩もひと昔前までは、韋駄天(いだてん)と言われていたのになぁ。
ああ~情けない。
自己嫌悪に陥っている吾輩に、奥さんの口からさらに、追い打ちを掛ける発言があった。
奥さん:ねぇ、カメ子よりもっと評判が良いものがあったのよ。
いったい、なんだと思う。
それは、カメ子の甲羅にちょこんと載せていた恵方巻きだったのよ。
「恵方巻きが、とてもリアルでかわいい」って、大評判だったのよ。
それを作った奥さんは、満面の笑みを浮かべていた。
一方、吾輩は、「ああ、恵方巻きごときに負けてしまった」と思い情けなかった。
今日は、仏滅か?(いいえ、友引です。)
機嫌が悪いので、本来なら、ここで一杯やりたいところだが、
残念ながら、吾輩はお酒が一滴も飲めない下戸である。
しかたがないので、早く床につくことにする。
紙面の都合に関係なく、この話しは、
もうこれ以上したくないので、
これで、おしまいとする。
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