カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第106話 黒幕

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*動画をご覧になりたい方は、

 Insutagramのhino0719

 検索して下さい。

 

 吾輩は、令和3年2月2日になるのを心待ちに待っていた。

その日は、吾輩が、世界の晴れ舞台で

ヒーローになれるかもしれない、

とても大切な日だった。

そして、とうとう、その時がやって来た。

主人は、仕事が終わり帰宅すると、吾輩がいる水槽に近づいてきたのである。

吾輩は、うれしさのあまり、いつもの調子で、主人に近づき、

水槽の壁にもたれかかって、バタバタと音をたてた。

それを見た主人は、「そうか、カメ子は、ワシを労ってくれているんだなぁ。

ありがとう」と言った。

吾輩は、「ちょっと、主人は、勘違いしているんじゃないの?」とも思ったが、

これから始まる吾輩の一世一代の大舞台を想像しながら、ウキウキしていた。

一方、主人は、カメ輔のいる水槽を覗き込むと、「おい、カメ輔。お前は、ワシの労をねぎらってくれないのか?

今日は、特に暗い顔をしているぞ!」と言った。

吾輩は咄嗟に、「もしかしたら、カメ輔は、今日もモデルデビューできなくて、

いじけているんじゃないかなぁ?」と感じた。

吾輩は、奥さんと主人が、「2月2日の【節分の日】に、吾輩を主人公にして、

インスタグラムに登場させよう」と話しているのを聞いた。

そして、「今度こそ、カメ輔もモデルデビューできるんじゃないか?」と

期待していた。

でも、その期待は、闇に葬られてしまったかもしれない?

謎は、謎のままである。

なしか?

これじゃカメ輔が、かわいそうだ。

今度こそ、モデルデビューできるかもしれない。と張り切っていたのに・・・。

もしかしたら、カメ輔のモデルデビューを阻止した黒幕がいるのかなぁ?

ああ~吾輩は、物事を悪い方、悪い方に考えてしまう癖があるようだ。

こんなことでは、ダメだ。ダメだ。

でも、これも、吾輩の性格だから仕方がないのかなぁ?

この後も、「カメ輔は、いったいどうなるのか?」ということだけが、

頭の中をよぎっていた。

そして、吾輩は、いつもの撮影場所に連れて行かれたが、案の定、

そこには、カメ輔の姿はなかった。

吾輩は、「カメ輔が、かわいそうだ」と思いながらも、

「さあ、今日も頑張るぞ!」と気合いを入れた。

すると、奥さんが吾輩に近づき、

「カメ子ちゃん頑張ってね。今からドレスアップして、お多福になるのよ」と言った。

吾輩は、その言葉を聞き、「やっぱりか」と心の中で思った。

節分には、2人の主人公がいる。

それは、鬼とお多福だ。

男前の吾輩は、鬼に扮するのではないことはわかっていた。

だとすると、鬼はカメ輔になるなぁ。

たぶん、カメ輔のことだから、「鬼になるなんて嫌だ。僕は、怖い顔なんてしてないよ。それに、外に追い出されるなんて嫌だ」と言い、駄々をこねたのであろう。

とうとう、カメ輔の鬼としての出番はなかった。

しばらくして撮影は、滞りなく終了した。

奥さんは、吾輩に向かって、いつもの調子で「お疲れ様。上手く撮影ができたよ、

よく頑張ったね!」と褒めてくれた。

そして、それを編集し、SNSに投稿したのである。

すると、投稿をして1分を経たないうちに反応が出てきた。

奥さんは、主人に言った。

奥さん:ちょっと、ちょっと、もの凄い反響よ!

「カメ子ちゃん、ゆっくり歩いておとなしいですね!」とか、

「可愛いカメさんですね!」と評判が良いわよ。

吾輩は、「自分でも、凄いなぁ」と思い、誇らしくなった。

ところが、その後、奥さんが、意外なことを言ったのだった。

奥さん:ああ~カメ輔を鬼にしなくて良かった。もし、カメ輔を鬼にしていたら、

どこに行くかわからないし、速く走るので、カメ子が、カメ輔について行けなくて、

結局、撮影は失敗していたと思うわ。

吾輩は、それを聞き、「カメ輔を晴れ舞台に出演させなかったのは、奥さんだったのか?奥さんが黒幕だったのだなぁ?」と思い、びっくりした。

そして、奥さんに対しムカついてきた。

しかし、しばらくして、吾輩は、ハッと気がついた。

もしかしたら、吾輩が歯を食いしばり、カメ輔について行けば、撮影が上手くいったかもしれない。

奥さんが、カメ輔を出演させなかったのは、吾輩が原因なのかもしれないなぁ。

だとすると、本当の黒幕は吾輩か?

なんてこった。ああ、情けない。

でも、歯を食いしばっても、たぶん、走れなかっただろう?

「カメ輔、吾輩が太り過ぎていたのが悪かった。ごめんなぁ」

この前、主人と奥さんが、「以前は、くびれがあったカメ子の甲羅は、今では、

直径25cmのまん丸になってしまった」と笑いながら言っていたのを聞いた。

なんとまあ、こんなに太ってしまい、自分でも呆れるよ。

これじゃ、俊足のカメ輔には、とうてい着いて行けない。

吾輩もひと昔前までは、韋駄天(いだてん)と言われていたのになぁ。

ああ~情けない。

自己嫌悪に陥っている吾輩に、奥さんの口からさらに、追い打ちを掛ける発言があった。

奥さん:ねぇ、カメ子よりもっと評判が良いものがあったのよ。

いったい、なんだと思う。

それは、カメ子の甲羅にちょこんと載せていた恵方巻きだったのよ。

恵方巻きが、とてもリアルでかわいい」って、大評判だったのよ。

それを作った奥さんは、満面の笑みを浮かべていた。

一方、吾輩は、「ああ、恵方巻きごときに負けてしまった」と思い情けなかった。

今日は、仏滅か?(いいえ、友引です。)

機嫌が悪いので、本来なら、ここで一杯やりたいところだが、

残念ながら、吾輩はお酒が一滴も飲めない下戸である。

しかたがないので、早く床につくことにする。

紙面の都合に関係なく、この話しは、

もうこれ以上したくないので、

これで、おしまいとする。

 

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