カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第160話 お彼岸Part1

 

 

 吾輩が昼寝をしていると、辺り一面が白いモヤに覆われて、何も見えなくなってきた。

そして、次第にモヤが消えていき、その向こう側には、いつもの光景が広がっている。いったい、ここはどこだろう?

よく周りを見渡すと、目の前には幅が約30m位の川が流れていて、両岸とその後ろ側に雑木林が生い茂っている。

空には、10数羽のカラスが「カーカー」と鳴きながら、飛んでいる。そして、横を見ると、石の上で甲羅干しをしているたくさんのカメ達が、こちらをジロジロと見ているのである。吾輩は、びっくり仰天して、「あなた達はいったい誰なの?」と聞いてしまった。

すると、その中の一匹が、「突然目の前に現れ、お前こそいったい誰だ?ここは、我がカメ一族の縄張りだぞ。誰の許可を得てここに入ってきたのか?」と上から目線で言い返してきた。そして、その声は、いつかどこかで聞いたことがある声であった。

吾輩は、ここがいったいどこなのかさっぱりわからず途方に暮れていると、突然、右の方から不思議なささやきが聞こえてきたのである。

不思議なささやき:ご先祖様、私です。30世紀生まれの貴方の子孫*¹ですよ。落ち着いてよく聞いて下さいね。あなたは、夢の中で私に、「今日はお彼岸だから、ご先祖様に一度で良いので、逢って話がしたい」と言いましたね。そこで私が、タイムマシンでご先祖様に逢わせてあげたのです。

貴方の前に現れたカメ達は、貴方のご先祖様ですよ。

ご先祖様と会話するためには、まず、貴方の素性やこれまでのいきさつを偽りなくちゃんと話さなくてはいけませんよ。

吾輩は、我が子孫のささやきを聞いて思い出した。そう言えば、昔そんなことを言った覚えがあるなぁ。吾輩は、今度こそご先祖様と会話ができるようにわかりやすく丁寧に話そうと思った。そして、勇気を出して挑戦してみた。

カメ子:私は、貴方達の子孫で、未来の世界からやって来ました。(子孫:あれっ、挨拶はたったそれだけ?)

すると、一匹のカメが即座に答えた。

カメ1:なにっ?未来からやって来ただと?お前は、いったい何を言っているのか?ますます怪しいなぁ。嘘をつくと罰を与えるか、ここからは、出て行ってもらうことになるよ。

吾輩は、このカメの「罰を与える」と言う言葉にびっくりして、この後、どうして良いか分からず、ただ茫然と突っ立っていた。

すると、別のカメが、吾輩に向かって話し始めたのである。

カメ2:彼を、あんまり怖がらせるようなことは言わないでよ。かわいそうじゃない。彼が言う「未来の世界」とやらをもう少し聞いてみても良いのじゃない?

吾輩は、彼女の言葉に救われた。

(彼女もどこかで逢ったような気がするが、しかし、誰なのかどうしても思い出せない)

そこで、ゆっくり丁寧に、自分の生い立ちや人間と同じ屋根の下で暮らしている日常生活について等を具体的に話した。すると、今度は、どこか風格のある別のカメ(カメ達の棟梁かもしれないが、彼もどこかで見たような気がする)が突然、吾輩の話に入ってきたのである。そして、こう言った。

棟梁:人間と同じ屋根の下で暮らしているって?

あの人間様と一緒に暮らしているのか?と言うと、棟梁は、右側の方に目をやったのだ。吾輩もその方向に目を向けると、そこには人間が畑を耕していた。その人は、お百姓さんのようだった。そして、棟梁は言った。

棟梁:あの人間様と生活しているのか?嘘だろ。

よく見ると、髪の毛がちょっと変だった。あれは、ちょんまげじゃないか?お百姓さんもちょんまげをしている。もしかして、ここは、随分前の時代かもしれない。引き続き棟梁は言った。

棟梁:人間様が家の中でカメを飼っているなんて、この辺では聞いたことがないなぁ。もし、カメを飼っているとすれば、殿様ぐらいだろう。そのカメは幸せ者だ。そして、それが、ワシの子孫だとすると、お前さんは、大したものだよ。とても誇らしいことだし、お前が気に入ったよ。と言うと、突然、他のカメ達に向かってびっくりするような発言をしたのだった。

棟梁:今から我が子孫のために晩さん会を開こうと思う。

各自で、食べ物を持参し、後程、もう一度、集まってほしい。

棟梁から、そう言われたので、カメ達は石から飛び降り、川岸まで泳いで渡った後、川原の向こうの草むらの中に入った。そして、しばらくすると、再び草むらから出てきた。カメ達は、甲羅の上や口に何かを加えて川原の中央の広場に集まった。そして、食べ物から色んな匂いをさせて、吾輩の目の前を通過したのである。それは、いったい何だろう?そして、最後に棟梁も甲羅の上に何かを載せてやって来た。何やら吾輩の好きな良い匂いがしている。

そして、みんなが揃ったところで、棟梁が言った。

棟梁:おお~みんな揃ったようだな。彼は、我が一族に逢うために、遠い未来の世界からやって来たんだ。さあ、今から我が子孫のためにお祝いをしようじゃないか。と言うと、吾輩に最初に話しかけてきたカメ1が、ある物を自分の甲羅の上に載せ、それぞれのカメの前に1個づつ置いていったのである。そして、吾輩は自分の前に置かれたそれを嗅いでみると、ちょっぴり腐ったような、でも甘ずっぱい香りがして、なんだか酔いそうになった。あれつ、最近これを食べた記憶があるぞ。丸い形をし、紺色の皮で覆われていて、それをむくと実が飛び出てくる。でも、その名前が思い出せない。

すると、再び棟梁はみんなに向かって言った。

棟梁:みんな準備ができたようだな。さあ~手元の食べ物で乾杯しよう。我が一族および子孫のご多幸と繁栄を祈念し、乾杯 ‼

みんなは、一斉にそれを食べ始めた。

(えっ、食べ物を食べて乾杯ってどういうこと?)

そこで、棟梁は、横にいる吾輩に向かって何やらささやいたのである。

そして、この後、話は意外な方向に展開する。

次回の話もおもしろいので、乞うご期待‼

 

*¹:第151話 未来からの訪問者(Part1) 

 

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