カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第124話 ペットロス症候群

 

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  主人が、奥さんと何やら話しをしている。

今日は何の話しをしているのかなぁ?

吾輩はとても暇なので、盗み聞きすることにしよう。

主人:SNSを見ると、ペットロス症候群※1で悩んでいる飼い主さんが多いなぁ。

奥さん:へえ~そうなの。私も昔、お祭りで買った、ちっちゃい金魚2匹を玄関の金魚鉢で飼っていたことがあるわ!

とても賢くて、家に帰ると、いつも出迎えてくれたのよ!

名前はデブちゃんで、すぐ死んじゃうのかと思っていたら、5年間も生きたの。

ところが、1匹が死んだら、直ぐにもう1匹も死んでしまったわ。

でも、その時も可哀そうだとは思わなかった。

(ある意味、奥さんは強いのかもしれない)

主人:ワシも、今まで色んなペットを飼ってきたなぁ。

ニワトリから始まり、コリー、チャボ、アヒル、柴犬、そして

(吾輩が入っている水槽に向かって)お前達だ。

柴犬は2匹飼っていて、年上の珠(タマ:♀)と、年下の龍(リュー:♂)という名前だったんだよ。

その当時、柴犬は、みんな犬小屋で飼っていて、別々の犬小屋の中にいた2匹は、ワシが車で帰って来た時、エンジン音を聞くと、門扉の向こう側から、鉄柵に手をかけ、立ったままで、尻尾を振りながら、ワンワンと吠えて出迎えてくれたんだ。

どうしてそんなことをしていたのかって?

それは、夕方の散歩を楽しみに待っていたみたいで「散歩に連れて行ってくれ」と

おねだりしていたんだ。

でも、2匹は、一緒に散歩に行くのを嫌がった。

いつだったか、2匹で散歩中に、大喧嘩をしたことがあって、それ以降は、1匹ずつ散歩に連れていくことにした。

でも、散歩に行くのにも2匹で競争していたよ。

なぜって?先に連れて行ってもらいたいからだろうなぁ。

だから、いつも門扉に手をかけて自己アピールしているんだ。

でも、ワシは、いつも、この家に最初に来た、珠の方から散歩に連れ出すことにしていた。

すると、散歩から帰ってきた時、それまで門扉で待っていた龍は、奥の方に引っ込み、

いじけているんだ。

龍は、この家に来てから、ずっと珠には頭があがらなかったんだよ。

また、こんなこともあったなぁ。

犬同士で仕事の役割分担をしているようだった。

珠は、人間担当で不審者だけにワンワンと吠え、そうではない人間には吠えなかった。

不審者がわかるのかなぁ?

珠は、本当に役に立つ犬だった。

一方、龍は、人間以外の全ての動物が担当だったようだ。

ある時、龍はマムシにちょっかいを出し舌を噛まれ、3日3晩病院で苦しんだことがあった。そして、噛まれた舌の部分が朽ち落ちた状態で、帰って来た。

いつも、ヒヤヒヤさせられて、心配ばかりかける犬だった。

そして、月日は流れ、2匹はだんだんと年老いていった。

散歩に行こうとした時、珠は、首輪に自分から首を突っ込み、散歩に行こうと催促するんだ。

そして、白内障脳梗塞を患っていたので、前には進めず、その場でくるくると回るようになっていた。

しかし、それでも、自分から散歩に出掛けようとしていた。

こんな状態の珠に、とうとう、最期の時がやって来た。

ワシは、外出して家にはいなかったが、父親の話では、その夜、珠は、痛さのあまり

一晩中、キャイン、キャインと泣いていたそうだ。

そして朝方、ついに息絶えてしまった。

すると、あまり仲の良くなかったはずの龍が、突然、家の中に侵入し、珠の亡骸に近づき、身体をなめ始めた。

そして、それが終わると、何度も遠吠えをしたそうだ。

犬って、身内が死んだということがわかるんだよ。

ワシは、そのことを聞き、ショックでしばらくの間、動物を飼おうとは思わなかった。今から考えるとこれが、ペットロス症候群ということだったのかなぁ~

そして、あれから20年ほどが経ち、ワシも、珠と龍のペットロス症候群から、ようやく解放されてきたようだ。

そんな時、カメ子と今は亡きカメ吉に出会うことになった。

今思うと、これも運命だったかもしれないと思う。

カメ子が珠で、カメ吉は龍の生まれ変わりに思えてしょうがないんだ。

不思議な縁で結ばれている、カメ子と、カメ輔も大事にしなくちゃいけないなぁ。

ああ~死んだという言葉で、思い出した。※²

首を伸ばしたまま動かないカメ吉を見て、お前(奥さん)は、

「カメ吉が死んでしまった」と泣きながら電話をかけてきたことがあったなぁ~

すると奥さんは、ちょっと照れながら、

奥さん:ああ~そういえば、そんなこともあったわね。と答えた。

そして、こんな主人と奥さんの会話を聞いていて、吾輩は、ふと思った。

カメ子:ああ~そうだったんだ。

日頃、泣いたのを見たことがない、奥さんが泣くなんて、初めて知ったよ。

吾輩は、ペットロス症候群っていう言葉はあまり好きではない。

それは、吾輩はペットではなく、家族の一員だと思っているからだ。

だから、主人と奥さんの話を聞いて、涙が出るほどうれしかった。

ペットロス症候群って、ペットを家族の一員として思っていると感じる、深い悲しみなんだよね。

僕らを家族の一員として思ってくれたんだね。   

本当にどうもありがとう。

これからも、一緒に楽しく過ごしていこうね。

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※1:文字通り「ペットを失う事」である。これは、ペットと共に過ごす事によって培われた深い愛着・愛情が、突然に訪れるペットの「」や行方不明などによって行き場をなくしてしまうことによって強い悲嘆に陥る。このような愛情の対象を喪失することで起きる悲嘆によって抑うつ分離症状といった心身(精神的・身体的)の症状が起きることを病理的悲嘆(pathologic grief)といい、慢性的で強い症状を経験するとペットロス症候群と呼ばれる。

(出典先:Wikipedia

※²:「カメのひとりごと」の本に掲載中です。