さあ、前回に引き続き、「あの世からの訪問者Part2」のおもしろい話しが始まるよ!
爺ちゃん:良いことを聞いたので、お前が喜ぶ話しをしてあげよう。
孫(奥さん)は、いつも、お前とカメ輔が、疲れた心を癒してくれ、モデルとしても頑張っていると褒めているぞ!
でも、困ったことに、主人は、「家の事を何ひとつ手伝ってくれない」と愚痴をこぼしている。
そして、さらに爺ちゃんから何気ない一言が追加された。
爺ちゃん:どうか、お前から、そのことを主人に伝えてくれないか?
吾輩は、褒められたので、有頂天になってしまい、何も考えず、
爺ちゃんの願い事に思わず「うん」と言ってしまったが、
追加された爺ちゃんの発言が、後になって大問題になろうとは、知る由もなかった。
一方、爺ちゃんは、吾輩から良い返事をもらったことで、雄弁の爺ちゃんに豹変してしまった。
そして、この後、爺ちゃんから、予期せぬ重大発言が飛び出したのである。
爺ちゃん:カメ子。今までのことでわかっただろうが、
もし、ご先祖様に助けを求めたい時は、一心にご先祖様のことを強く念じなさい。
そうすれば、必ずご先祖様が、お前の夢の中などに現れて助けてくれるはずだよ。
だって、あの世と言っても、ここから遙かに遠い、西の彼方にあるのではなく、
お前の直ぐ傍にその世界があるんだ。
ただ、それがこの世からは見えないし、気付いていないだけなのさ。
吾輩は、それを聞いて、愕然とした。
正直に言うと、これまで、吾輩のご先祖様が、吾輩の夢の中に、ほとんど出てくることはなかった。
そして、その原因が、吾輩自身にあったなんて。
吾輩は幼い頃、口減らしのために里子に出され、この家に来た。
両親の顔も知らないし、両親が今、生きているかどうかさえもわからない。
だから、ご先祖様を想う気持ちなんてこれっぽっちもなかった。
(吾輩の両親は、主人と奥さんだと思っている)
それで、ご先祖様が一度も夢の中に現れてくれないのかなぁ?
でも、ご先祖様がいてくれなければ、吾輩は、この世には存在していないし、
「カメのひとりごと」の本も世に出ることはなかった。
ああ~吾輩も反省しないといけないなぁ~
もちろん、吾輩のこのような心の葛藤は、爺ちゃんにはお見通しであった。
それを察してか、しばらくして、お爺ちゃんが吾輩にポツンと言った。
爺ちゃん:これからは、ご先祖様のことを、たまには思い出してあげるのだよ。
そうすれば、きっと、ご先祖様も喜んでくれるよ。
だって、生きることに精一杯で、一寸先は闇のこの世とは違い、
ワシのいるあの世は、時間という観念や音がまったくないフリーズしている世界なんだ。
だから、あの世にいる人達は、この世からたまに送られてくる想いをとても楽しみに待っている。
そしてさらに、爺ちゃんから、びっくり仰天するような、発言が飛び出したのである。
爺ちゃん:ああ~そろそろ、あの世に帰る時がやって来たようだ。
閻魔様がお呼びだ。
実は今、ワシは、三途の川の近くの関所で、閻魔(えんま)様の第1秘書をしている。
そこは、閻魔様が亡くなった人達をどの世界(地獄界等)に送るか詮議(せんぎ)し、言い渡す所なのだ。
なぜ、ワシが、そこで第1秘書をしているかって?
昔、ワシは死んで、閻魔様の前で裁きを受けた。
ワシは、若気(わかげ)の至りで、今でも、恥ずかしくて
とても人には言えないような悪さをしたことがあった。
(【カメ子のひとりごと】に掲載しています)
だから、ワシは閻魔様の前で裁きを受けているとき、地獄に行くことを覚悟していた。
ところが、閻魔様の計らいで、どうにか地獄行きを免れた。
だから、今は、閻魔様に恩返しをするつもりで、そこで働いている。
そのお勤めをし、それが終われば、あの世の世界に戻ることになっている。
じゃ、ちょっくら、宮仕えに行くとしよう。
カメ子。たまには、ワシのことも思い出してくれよ。
その時は、いつでも、夢の中に出て相談にのってあげるからな。
お爺ちゃんは、そう言い残し、再び白いモヤの中に消えていった。
そして、しばらくすると、モヤの向こう側には、いつもの水槽の壁と人間のいびきが聞こえてきたのだ。
ああ~ようやく吾輩は夢から目覚めてきたようだ。
しばらくして、吾輩は、今回の夢を思い出してみた。
すると、今度の夢は、今までになく、かなりリアルであった。
やっぱり、今回現れた爺ちゃんは、妄想の創造物ではなく、本当の爺ちゃんが、
あの世から現れてきたかもしれないな。
そうだとすると、あの時のお爺ちゃんとの約束は、絶対に果たさなくてはならぬのか?
ああ、爺ちゃんとの約束を簡単に引き受けてしまった。
どうしよう?
吾輩が言っても、主人にはカメ語は通じないだろうなぁ?
今、主人は、水槽の向こう側で、大きないびきをかいて寝ている。
ああ~困った。困った。
一体どうしたらいいだろう?
考えたが、全然、良い考えが浮かばない。
ああ、そうだ、良いことを思いついた。
吾輩は、もう一回寝て、これからどうしたらいいか?を
考えることにした。
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