カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第97話 Happy Halloween

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 *動画をご覧になりたい方は、

  Instagramhino0719を検索してください。

 

 主人は、なぜか今朝から機嫌が良い。

今日は、夕方から久しぶりに職場の飲み会があるらしい。

「コロナ禍で自粛しなければいけないときだが、まあ、たまには良いではないか」と

のんきなことを言っている。

一方、奥さんは部屋の隅で、何やらゴソゴソと作っている。もしかして、今度も吾輩の身に何かかが起こるのかも?嫌な予感がしてきた。そして、それが現実になったのである。吾輩とカメ輔をベランダに出し、甲羅の掃除をしているときに「カメ子ちゃん。カメ子ちゃん」と呼んだ後、「今日も素晴らしい演技をしてね」と言ったのだ。

吾輩は、「あ~また、あの時のように、吾輩をダシにして何かをしようとしているのか」と思った。(あの時とは、吾輩と奥さんが初めてテレビ放映されたとき、奥さんは、自分のテレビ映りの事ばかりを気にし、吾輩のことなんか全然気にしていなかったときのことだ。)

そして、夜を迎え、奥さんは、吾輩を水槽から取り出し、濡れた身体をタオルで拭き、意外な行動をとったのだ。

奥さんは、吾輩が未だ踏み入れたことがない、未開の部屋に連れて行き、部屋の中央の床の上に置いた。

すると、吾輩は、横に何かが置いていることに気が付いた。「これは、どこかで見たことがあるぞ!そうだ、奥さんが、朝、部屋の隅で作っていたものに似ている」と、ブツブツ言っていると「さあ、これを着るのよ」と言うや、それを吾輩の身体に着せ始めたのである。

ひとつは、鳥の翼のようで、そして、もうひとつは、帽子のようである。奥さんは「この格好をして、演技をするのよ」と言ったが、吾輩は、いったい何のことだかよくわからぬまま、呆然としていた。

奥さんは、吾輩がいる所から少し離れ、部屋の片隅に移動し、そして、吾輩を「こっちにおいで」と呼んだのである。吾輩は、初めて来た場所なので、辺りを見渡し、敵がいないことを確認して奥さんの呼ぶ方に向かって進んだ。ワックスがかかっていて滑りやすい床と、妙なものを身に付けられているので、なかなか前には進めなかった。

やっとの思いで奥さんの所にたどり着くと、「う~ん」と言い、「もう一回」と言った。

吾輩は、「*よだきいなぁー」とも思ったが、奥さんの命令には絶対服従なので、もう一回同じことをやった。

ところが、奥さんは、納得しないのか、「もう一回」と言ったのである。

吾輩は、「いい加減にしてくれよ。また、同じことをやるの」と思ったが、しかし、奥さんは、また、吾輩を部屋の真ん中に置き、部屋の隅から「こっちにおいで」と呼んだのである。でも、吾輩は、今度ばかりは、我慢が出来ず、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまった。

ビクともしない吾輩を見て、業を煮やした奥さんは、吾輩の方に近寄って来た。吾輩は、近づいてくる奥さんを、にらみ返しながら、後退したのだった。奥さんが最接近したところで、吾輩は、ついに「シューッ」喉を鳴らし威嚇した。ところがどうだ。それを見た奥さんは、「あ、ごめん。ごめん」で済ませたのである。呆れてものが言えない。とその時、「ピンポン」という音が聞こえ、玄関のインターホンが鳴った。「いったいこんな時間に誰だ?」と思ったが、誰だかすぐにわかった。その主は主人だった。

奥さんは、すぐさま、玄関に出迎えに行った。そして、「今、帰ったぞ」と、あのなつかしい声が聞こえてきたのである。酔っ払いオジサンの主人の声だ。彼は、酒臭い匂いをプンプンさせながら、部屋に来て、吾輩の姿を見るなり言った。

主人:カメ子、お前はいったいここで何をしているんだ?それに、背中に翼を付け、頭に帽子のようなものを被って、その恰好はいったい何だ?

「吾輩もよくわからない」と思っていると、その質問に対して、奥さんは、ようやく何をやろうとしているのかを話し始めた。

奥さん:ねえ、今日、10月30日は何の日か知っている?

ハロウィンなのよ。だから、カメ子に変装させているの。

鳥の翼っていうのは、コウモリの翼だし、頭に被っている帽子はカボチャなのよ。

すると、主人は、半分、呂律(ろれつ)がまわらない口ぶりで、「そうか。そうか」と言った。吾輩も、奥さんの言葉を聞いて、ようやく、こんな格好をしてこんなことをするのかが、わかった。

そんな中、奥さんは、「さあ、これからが本番だよ。カメ子、こっちにおいで」と言うと、スマホで吾輩の動画を撮影し始めた。さっきまで、ムカットして、「もう奥さんの言うことはきかないぞ」と思っていた吾輩も、今度は、奥さんの言うことに従った。(これからは、何をするのか教えてくれないで、指図するのは止めて欲しいよ)そして、吾輩は、モデルと化し、カメ子を演じ、ついに奥さんの足元に到着したのだ。そして、撮影が終了した。吾輩は、完璧だと思ったが、奥さんは、ちょっと不満げな顔で、首をかしげているのである。吾輩は、何か嫌な予感がした。奥さんは、早速、録画を再生し、チエックをしていた。そして「これじゃあ駄目だわ。もう一回、やり直し」と言った。吾輩は、一生懸命演じたので、「なに~」と叫んだ。なんと、録画の中に、変なノイズが入っていたのである。そのノイズは、吾輩の隣にいる主人の大イビキであった。

ご当人は、今も、よだれを垂らしながら吾輩の隣で、うるさいノイズを発している。

吾輩は、いつも信頼申し上げている?ご主人さまに対し「あ~何と、情けない姿」だと思った。

ある意味、今回のハロウィンの本当の主人公は、主人かもしれないなぁ。

 

【追記】

カメ子の仮装をした姿の動画をご覧になりたい方は、インスタグラム(hino0719)を検索してくださいね!

 *「よだきい」は、大分県、宮崎県の方言で、ものうい、おっくう、大義という意味。

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