謎の女性の撮影が終わると、記者のBさんが「今度は、カメ子さんの映像を撮りましょう」と言った。
カメ子:なにー!そんなの聞いてないよ。だって、打ち合わせも何もないじゃん。何をしゃべって良いのかわからないよ。(カメ語を話したって、人間はわからないとは思うけど。)
そう言って、Bさんと謎の女性が、吾輩のいる水槽に近づいて来たのである。そして、Bさんが「カメ子さんが餌を食べるところを撮影しましょう」と言うと、謎の女性は主人に「餌を取って、そこにあるから」と指示をし、ピンセットで主人が持ってきた食べ物を掴み、吾輩の顔の近くまで持ってきた。
「う~ん。良い匂い」これは昨日、我が家で食べた鳥のササミの匂いだ。謎の女性は「カメ子ちゃん。おいしいよ」と言い、ササミを吾輩の鼻の近くまで持ってきた。
吾輩は、謎の女性がカメ子ちゃん呼ばわりしたことに対して、「カチン」ときた。「どこの馬の骨ともわからぬ人間から、カメ子ちゃん呼ばわりされる筋合はない」と思い、謎の女性
の顔を睨め返した。それでも謎の女性は「カメ子ちゃん、カメ子ちゃん、おいしいよ」と連呼するのである。そして、心が爆発寸前になった吾輩の目の前に、突如、現れてきたのが、小型のハンディカメラだ。そして、その瞬間から吾輩は、日頃の吾輩ではなく、モデルと化した吾輩になったのである。我が心の奥底からモデル魂が湧いてきたのである。モデルとなれば、Bさんの指示が絶対になるのだ。「旨そうに食べろ」と言われれば食べる。もちろん、撮影中のまばたきは、言語道断だ。しばらく撮影が続いた後、Bさんが「撮影は終わりです。うまく撮れましたよ」と言った。吾輩は、その言葉を聞いて今まで張り詰めていた心の糸がプッツンと切れ、頭の中は真白であった。
そして、謎の女性は、Bさんに「次は、カメ輔を撮りますか?」と言ったのだ。すると、Bさんは間髪入れずに「カメ輔君は撮影しなくていいです。」と言ったのである。
「なしか?」それを聞いたカメ輔は、いったいどう思っただろうか?
この後、育ての親のAさんは、BさんとCさんを連れ立って外に出た。そして、謎の女性と主人も外に出たのである。部屋に残っているのは、吾輩とカメ輔、そして、その他大勢の我が兄弟の小ガメ達である。かしましい後輩が少々うるさいが、束の間の静寂の中で、吾輩はようやく冷静に物事が考えられるようになってきた。しばらくして、謎の女性と主人が再び家の中に戻ってきた。そして、謎の女性は、吾輩の方にやって来て言ったのである。
謎の女性:カメ子ちゃん。カメラの前で、堂々とカメ子を演じてくれて、かっこ良かったよ!本番の時に餌を食べずに、顔を甲羅の中に引っ込めたままだったら、どうしょう?と思ったわ。カメ輔は、カメラの前で餌をあげても食べずに、頭を引っ込めたままで、この子ったら、小心者なのよ。(カメ輔が餌を食べるシーンがカットされた訳がわかったような気がする)謎の女性は、ニコニコしながら、吾輩をじっと見つめて、しゃべり続けた。それを聞いた吾輩は、
カメ子:この声は、どこかで聞いたことがあるような声だ。
えっ、もしかして、この声の持ち主は、奥さんなのか?
だとすると、マスクをして、ベレー帽をかぶり、目の辺りだけ出している、謎の女性は奥さんということになる。
でも、目はいつもの奥さんと違い、パッチリしていて、まつ毛も異様に長い。
昨日の夜、奥さんは、「一緒にカメ子の育ての親に会いに行こうね!」と話しかけてくれた。さらに、あの熊本地震で起きた事件のことを知っている人物は、吾輩と奥さんと主人の3人だけだ。吾輩と、主人もここにいる。とすると、吾輩の目の前にいる謎の女性は奥さんなのか?
そうだとすると、部屋の隅っこで、手鏡らしき物を持ち、それとにらめっこをしながら、顔に何かを塗っていた女性は、間違いなく奥さんである。そして、その化粧の成果がでたわけだ。それにしても、女性とは、化粧でこんなに変化し、化けることができるなんて、怖い生き物であることをはじめて知った。(奥さん、吾輩は、化粧をしていない奥さんの方が素敵だと思いますよ!)
男性諸君、女性を選ぶ時は騙されないように気を付けるべし。ああ、人間でなくて本当に良かった。
吾輩と奥さんが出演したこのニュースは、
〇〇〇放送で
令和2年9月24日に放映されました。
果たして、放送終了後、吾輩の運命は変わったのであろうか?
この結果については、また別の機会に報告することにしよう。
次回を、乞うご期待!
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