カメのひとりごと

ニホンイシガメのカメ子が、カメ目線でとらえた人間社会をおもしろおかしく書いています。

第89話 角(つの)

       カメの赤ちゃんの ひ・み・つ!_a0262716_19435182.jpg    

       二ホンイシガメの赤ちゃん

      (姫路市立動物園のブログから

       引用)

 

今日は、主人と奥さんが朝から外出し、

夕方、家に帰ってきた。

月に1度、いつも2人で、ある場所へ

行っているようだが、我がカメ達には

どこへ行っているのか教えてくれない。

どうして、教えてくれないのだろう?

吾輩も、家族の一員だぞ!

ところが、今日の2人はいつもの様子と

違っていた。

いつもは、疲れた顔をして帰ってくるの

だが、今日は2人とも少し興奮気味なの

か、顔を赤らめて部屋に入ってきたので

ある。

そして、主人は、一番先に吾輩がいる

水槽に近づいて来るなり開口一番に

言った。

主人:おい、カメ子。お前の行って

みたい所に行って来たぞ!

それを聞いた吾輩は「ピー(カメ語で)

えっ、いったい何のこと?」と聞き返し、

そして、主人は言った。

主人:お前の育ての親に会ってきたぞ。

吾輩は、主人が何のことを言っているのか?

よく分からず、しばらくの間、脳が思考停止

状態になっていたが、少し時間が経って

やっと脳が動き出した。

(カメの脳の記憶容量は、人間と比べると

かなり少ないので許してください)

そして、それを察知した主人は言った。

主人:カメ子、ようやく頭の整理が出来た

ようだな。

それじゃ話しを始めるよ!

お前が知りたがっている両親の存在について

だが、

(吾輩の心臓の鼓動がバクバクしてきた)

もう、この場所には、いなかったよ。

吾輩は、その言葉を聞いて愕然とした。

そして、主人は言った。

主人:わしもお前の両親を、一度で良いから

見てみたかったので、とても残念だ。

あっ、そうだ。

お前たちの兄弟たちを撮影してきたからな。

後でカメ輔と一緒に見たら良いよ。

お前達も、こんなに小さくて可愛いときが

あったのになぁ・・・。

カメ子:なんで、過去形なんだよ!

これで、話しが終わったかと思いきや、

主人が別の話を始めたのだ。

(カメ子:もっと要領よく話してくれよ!)

主人:おい、これから、お前達が知らない

おもしろいことを話すからな。

よく、聞けよ。

お前達が産まれたときは、鼻のところに

角(つの)があったんだぞ!

カメ子:えっ、誇り高きニホンイシガメに、

そんな鬼の頭に生えているような角なんて

生えているわけがないじゃないか。

ご先祖様からもそんな話しは、全然聞いた

ことがないよ。

冗談は顔だけにしてくれよ。

吾輩やカメ輔も絶対信じないぞ。

人権に関わる問題だ。

(カメ子の頭の中の回線が切れてきて、

本人も何を言っているのか、よく分から

なくなってきているようだ)

こんな、聞いたこともない話題の後に、

主人は、真剣な眼差し(まなざし)で

別の話しを始めたが、何だか重い話し

のようだ。

主人:カメ子、お前の意見を聞きたい。

お前はわしら人間と一緒に、同じ屋根の下で

暮らしていて楽しいか?

蛇やイノシシ、カラスから狙われることは

ないし、食べ物や病気の心配もない。

しかし、生活するスペースは水槽の中だけと

いう非常に狭い所に限られている。

それに、人間からいつも観られていて、

プライバシーがない。

一方、外で生きているカメは、家の中の生活

とは全く逆で、自分の好きな所で自由に行動

でき、プライバシーもある。

でも、食べ物は自分で捕るしかない。

餌を捕ったところで、せいぜい小バエか

腐った肉というところだと思うので、お腹が

空くと思うよ。

そして、天敵や台風・集中豪雨等の天災は

勿論、交通事故や人間が仕掛けた罠にかかる

かもしれないので、緊張の連続だ。

恐らく長生きは出来ないであろう。

お前は、どっちが良いと思う?

この質問は、吾輩にとってまさしく

Tobe, or not to be, that is the question.だ。

吾輩は、日頃見せない悲壮な主人の顔と、

あまりにも難しい質問なので、即答は

できなかった。

ただ、主人の顔をじっと見つめているだけ

だった。

吾輩は「主人がこんな質問をするなんて変だ、

何かあったんだな」と思い、主人が立ち去った

後、主人の言ったことをもう一度思い出して

みた。

もし、育ての親がいなければ、吾輩はこの世

にはいなかった。そして、今の主人と奥さんが

いなければ、家つき・Carつき・ばばぁ抜きで

3食・昼寝つきなんて、到底できていないと

思う。よく考えてみると、育ての親の主人と

奥さんに感謝しないといけないなぁ。

しかし、主人の問いに対し、人間さまと同じ

屋根の下で暮らした方が幸福だとは即答出来

なかった。

ご主人様、奥さん素直にお礼が言えなくて

ごめんなさい。

今まで育ててもらって感謝しています。

それと、一度でいいから、育ての親のところ

に連れて行ってください。

大切に育ててもらった、お礼が言いたいと

思っているんだ。

そして、カメ子の思いが、近い将来実現する

ことになり、それがきっかけとなり、

大きな出来事が起きる事になる。

さて、いったいどんなことが起こるのかなぁ?

次回を、楽しみにしてくださいね!

 

※:角(つの):ふ化のときにだけみられる

もので、卵の殻を内側から破るのに役に立つ。

 

 

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